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一年前である。ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の開幕まで、365日なのである。日本開催が決まったのは2009年だ。あれから9年の歳月が流れ、いよいよ一年を切ってしまう。2019年9月20日の開幕に向け、準備は大丈夫なのか、チケットの売れ行きはどうか、いろんな心配事がある。だが、同時に、どんな大会になるのか胸が躍るのである。
8月31日、RWC前最後のトップリーグが開幕した。日本代表に選ばれる資格のある選手たちは、ここが勝負とばかり、例年以上に気持ちのこもったプレーでアピールしている。そして、9月14日の秩父宮ラグビー場は同会場では今季最多の約1万8000人の観客がスタンドを埋めた。2015年のRWCで2連覇を達成したオールブラックスのSOダン・カーターがトップリーグデビューを飾ったからだ。
カーターを軸にした神戸製鋼コベルコスティーラーズは王者サントリーサンゴリアスを下した。この試合では神戸製鋼のアダム・アシュリークーパー(オーストラリア代表116キャップ)、サントリーのマット・ギタウ(オーストラリア代表103キャップ)もプレー。世界的スーパースターの競演に興奮を隠せないファンが多かった。RWCはそんなスター選手が一挙に来日し、全身全霊で戦うのである。これを楽しまなかったらもったいないではないか。ラグビー関係者、ファンの多くが、このことをたくさんの国民に伝えたいと思っている。
この9月は、全国各地で一年前の盛り上げイベントが行われた。なかでも際立っているのは、RWC2019オフィシャルスポンサーの三菱地所グループによる企画である。東京駅前の丸ビル1階では、「丸の内15丁目PROJECT」が始動。2015年の南アフリカ戦勝利をさまざまな角度で振り返り、「ラグビズショー」と題して各界で活躍する元ラガーマンらが「不屈の社会学」をテーマに語った。9月16日には、南アフリカ戦勝利の日本代表メンバーが多数揃ってのトークセッションも行われている。※本イベントは9月20日まで。
筆者も、東京・池袋のサンシャインシティ、宮城県・仙台の泉パークタウンでのラグビーイベントに出演した。この2つも三菱地所グループのイベントだが、一般の人々が行きかう商業施設でのラグビーイベントは、RWC2019の告知には効果的だ。買い物客が足を止め、RWC日本大会を知る姿を多数見かけた。
今春、本サイトでインタビューした清宮克幸さんが言っていた。「日本全体が盛り上がるには日本代表が勝つしかない。でも、試合の開催地やキャンプ地といった、それぞれのエリアでの企画で小さな花を咲かせていくことはできる。ラグビーに関わってきた人間が力を合わせ、いろんなところで花火を上げていくしかない。それぞれの地元で、みんなが汗をかいていくしかないと思います」。この言葉を、いま一度かみしめたい。あと一年、まだまだできることはある。
チケットについては、9月19日から一般抽選販売が始まった。これまでは各チームのファンクラブ会員などが優先されたが、ここからは誰でも抽選販売に応募できる。いずれにしても、公式チケットサイトからのチケットID登録は必要だ。そして、2019年1月19日からは、一般先着販売。好きな試合のチケットを先着順に買うことができる。まだまだチケットを買うチャンスはある。トップ国ではないチームの試合などはチケットの料金が安く設定されている。安価でRWCの雰囲気を味わうことができるのだ。子供(16歳未満)が、1,000円で見られる試合は、プール戦の40試合の中で16ある。RWCはすべてのチームの選手が一生に一度かもしれない晴れ舞台で全力プレーをする。どの試合にも見どころがあり、観客の胸を打つ。ぜひ生で観戦してもらいたい。
本コラムを執筆している9月19日夜、大阪のラグビー居酒屋「ラグビー部マーラー」では、「あの日から3年、歴史的勝利を語り、2019年につなげよう!」というイベントが開催される。スポンサーなしの手作りイベントだ。2015年9月19日、歴史的勝利のスタジアムに応援に行っていた13名のファンと、日本でテレビ観戦した熱いファンが集うことになっている。筆者は進行役として参加する。あの日のことを楽しく語り、2019年の成功のために気持ちを新たにしようと思っている。
さあ、自分にできることを見つけて、それぞれの場所で花を咲かせましょう。2015年のことを忘れてしまうくらい、2019年を最高の思い出にしましょう。それでは、行ってきます!
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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