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『深紅の王者』帝京大学にとって、2011年から続く対抗戦の連覇を「8」に伸すことができるか。そして、その先にある大学選手権10連覇の偉業を達成できるかにも注目が集まる今季。
しかし、春先に行われた新チーム初の公式戦となる関東大学春季大会では厳しい船出となった。札幌ドームで行われた初戦の明治大学戦。
FB(フルバック)の奥村翔(2年=京都工学院)や、CTB(センタ-)のニコラス・マクカラン(2年=ハミルトンボーイズ)らをはじめとする、BK(バックス)陣が個々の強さを発揮し、勝利を掴みかけた。
だが、FW(フォワード)陣のスクラムやラインアウトといったセットプレーに安定感を欠き、14-17で対大学生チーム相手では2年ぶりの黒星を喫した。
そんなこともあって、今秋の対抗戦ではFW陣のセットプレーの安定が大きな鍵を握ることは間違いない。
ラインアウトでは、主将の秋山大地(4年=つるぎ)を筆頭に、副将のブロディ・マクカラン(4年=ハミルトンボーイズ)や、菅原貴人(4年=御所実)、藤田達成(4年=東福岡)などが要となる。
また、スクラムにおいてもフロント陣では岡本慎太郎(4年=京都成章)や淺岡俊亮(4年=京都成章)らが牽引する。
さらに春は清水岳(2年=大阪桐蔭)やルーキーの細木康太郎(1年=桐蔭学園)ら下級生も出場機会に恵まれ、FW陣全体の底上げから、初戦以後の4戦においては徐々にセットプレーに回復。
秋山は「80分間チャレンジし続けられるようになってきている」と手応えを感じていた。
一方のBK陣。「誰か一人に頼るのではなくキャプテンを中心に全体のレベルを上げていく。そういうチームにしていく」と語るのは学生としてはラストイヤーを迎えた竹山晃暉(4年=御所実)。
WTB(ウィング)としての攻撃力に加え、昨季から務めるキッカーとしての活躍にも注目が集まる。
また、CTB(センター)の本郷泰司(3年=京都成章)は「得意なプレーは1対1のタックル」と話すように春季大会では持ち前の運動量で積極的にディフエンスラインに参加する姿が目立った。
アタックでもボールキャリとして毎試合、ビッグゲインみせていただけに対抗戦でも攻守の中心になるに違いない。
さらに昨季を通じて多くの試合経験を得て、今やレギュラーに定着したSO(スタンドオフ)の北村将大(2年=京都工学院)や、WTBの木村朋也(2年=京都工学院)、FBの奥村らも確実にレベルアップをしている。
BK陣はこれらの選手に加えて西川虎哲(1年=京都成章)や、押川敦治(1年=京都成章)など、高校時代に花園を沸かせたルーキーが、この秋でいかなる成長を見せるかも、チーム全体のレベルアップという意味で注目したい。
特に西川は春季大会で全4試合中、途中出場も含めると3試合に出場し、第2戦の大東文化大学戦では公式戦初となるトライを挙げた。
西川はこの秋の対抗戦においても、1年生として注目選手の1人になることは間違いなく、本人も「ステップで相手のディフェンスをずらすのは自信がある」と話すように自他ともにステップに定評がある選手だ。
このようにFWとBKともに活躍に期待がかかる選手が今年も多い帝京大であるが、対抗戦においてやはり大きなカギを握るのはセットプレー。
そこで相手を圧倒し、綺麗な球出しがされることで個々のレベルの高いスキルが攻守ともにリズムを生み、試合の主導権を掴むことができる。
初戦の相手は成蹊大学(昨季対抗戦8位)で昨年は帝京大が優位に立ち、完封勝利を見せている(○70-0)が、会場が秩父宮ラグビー場というだけあって必要以上に力が入る可能性も考えられる。
対抗戦8連覇、その先の大学選手権10連覇の偉業を成し遂げるためにも、まずは初戦で昨年同様に相手を圧倒し、チームとして勢いに乗りたいところだ。
文:清水幸志郎/写真:太田和樹(帝京スポーツ新聞部)
帝京スポーツ新聞部
1996年創刊。帝京大学体育局所属の公認クラブにして唯一の学生新聞。ラグビー部をはじめ、柔道部、空手部、野球部など帝京大体育局の情報を年4回の発行で熱く伝える。現在部員13名で活動。 Twitter @teikyo_sports
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