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短期決戦の熱量ゆえか。それとも、2019年W杯へ向けたファンの期待感ゆえか。
8月31日(金)開幕のトップリーグが白熱している。
愛知・豊田スタジアムで行われたトヨタ自動車ヴェルブリッツ×サントリーサンゴリアスには、3万1332人が来場し、トップリーグの歴代最多入場者数の2万7871人を更新。
また開幕節の8試合中6試合が、7点差以内の接戦。実に6チームが「7点差以内の敗戦」によるボーナスポイント「1」を獲得した。
先週金曜の夜、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われた神戸製鋼コベルコスティーラーズ×NTTコミュニケーションズ シャイニングアークスも、そんな熱戦のうちのひとつだったろう。
昨季5位の神戸製鋼は今季、ニュージーランド(NZ)代表で112キャップを重ねた世界的スター、ダン・カーターが新加入。
しかし、主に代表初期はセンターでもプレーした天才司令塔はメンバー外となり、この日はウォーターボーイとしてピッチに登場。
司令塔を務めたのは、精確なプレースキックを武器に、今年スーパーラグビーのサンウルブズ(日本)で躍動した新加入のヘイデン・パーカーだ。
敵地に乗り込んだ昨季9位のNTTコムは今年、千葉・浦安市に完成した新拠点「アークス浦安パーク」が話題に。
この日は、チームから日本代表の第2次トレーニングスコッドに選出された2人、CTBシェーン・ゲイツ、東芝から移籍のWTB石井魁も先発。昨季はドロー決着(28-28)だった相手との再戦に臨んだ。
試合前の激しい雨により、ハンドリングエラーが起きやすい状況となるなか、午後7時30分にキックオフ。
序盤は両者がペナルティーゴール(PG)で加点する手堅い展開。
前半3分にNTTコムのSO小倉順平がショットを成功させると、神戸製鋼は前半6、17分にSOパーカーがPGを連続成功させ、6-3とリードした。
そのまま引き離したい神戸製鋼だったが、前半21分、危険なプレーによりFL谷口到がシンビン(10分間の一時退場)。
すると神戸製鋼が14人となっていた前半25分、NTTコムはWTB石井がキックチェイスからトライ(ゴール)を挙げて、10-6と逆転に成功した。
NTTコムのFL金正奎キャプテンが「セットピース、特にスクラムはドミネート(支配)できた」と語ったように、この日の神戸製鋼は、スクラム成功率80%(NTTコムは100%)、ラインアウト成功率は77.8%(NTTコムは83.8%)と不安定。
しかし強烈な推進力を持つNO8中島イシレリ、途中出場の重一生らが確実にゲインを切るなど、接点における力勝負で力を見せた。
前半33分にはスクラムからのサインプレーから、CTBアダム・アシュリークーパーの逆転トライ(ゴール)が生まれて13-10。
その2分後、NTTコムのSO小倉がPGを成功させ、前半は13-13で折り返した。
後半開始早々、2連続で反則を犯して自陣で後退した神戸製鋼。
しかしPR山崎基生がラックで相手に絡んでペナルティを獲得すると、後半5分、敵陣右ラインアウトから強固なモールを組んでトライ(ゴール)。
その3分後にはSHアンドリュー・エリスの背後死角からWTBアンダーソンフレイザーが走り込み、2連続トライ(ゴール)。
共同キャプテンのSHエリスは、このトライについて「シーズン当初からやろうとしていた、起き上がる速さ、ダブルアクションの努力ができました。それらができたことにより、あの(WTBフレイザーの)トライが生まれたと思います」と振り返った。
しかし粘るNTTコムは後半23分、途中出場の鶴田諒のキックをWTB石井がチェイス。グラウンディングはならなかったが、ここで神戸製鋼のFB山中亮平がWTB石井を押してトライを防いだとしてシンビンに。
さらにペナルティトライ(7点)が与えられ、NTTコムは7点差(20-27)に追いすがった。
14人となった神戸製鋼だが、ここで強靱なフィジカルを見せた。
サントリーから新加入し、この日後半21分から投入されたSH日和佐篤の配球で、ブレイクダウン周辺でじわじわと前に出る神戸製鋼。
最後は直前まで足が攣っていたNO8中島が、インゴールに突破を決め(ゴール成功)、34-20と突き放した。
NTTコムは後半33分、CTBゲイツのトライで7点差に迫ったが、届かなかった。後半はエリア両サイドでのノックオンやパスミスに苦しんだ。
初陣を飾った神戸製鋼のウェイン・スミス新監督は「きれいな勝ち方ではなかったですが、勝てて良かった」と安堵の表情。
一方、5年目を迎えたNTTコムのロブ・ペニーHC(ヘッドコーチ)は「後半、ターンオーバーからプレッシャーをかけられてしまう場面がありました。そこから神戸さんに14点を奪われ、勝つことが難しい状況になりました」と悔やんだ。
敗れたNTTコムの次戦は9月7日(金)、東京・秩父宮ラグビー場で行われるサントリーサンゴリアス戦。
一方、白星スタートの神戸製鋼は9月8日(土)、北海道・月寒屋外競技場で、黒星スタートの宗像サニックスと対戦する。
ラグビーW杯日本大会を来年に控え、例年以上の熱量を感じさせるトップリーグ。
リーグ戦7試合、順位決定トーナメント3試合のすえ、果たしてどのチームが頂点に立つのだろうか。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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