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16年目を迎えるジャパンラグビートップリーグも、いよいよ8月31日に開幕する。16チームそれぞれが大学卒業や高校卒業の新人を獲得して補強を進めている中、各チームのルーキーたちを紹介していきたい。
◆即戦力の4人を獲得 サントリー
まずは3年連続優勝を目指すサントリーサンゴリアスは、強豪大学から即戦力の4人の新人を獲得した。
昨年度の大学選手権9連覇に輝いた帝京大学の主将だったHO(フッカー)堀越康介、同じく帝京大学のFB(フルバック)尾崎晟也、準優勝を果たした明治大学の副将だったCTB(センター)梶村祐介、早稲田大学のキャプテンだったFL(フランカー)加藤広人の4人だ。
堀越は本来HOだが、今年はチーム事情により3年ぶりに左PR(プロップ)でもプレーし、梶村も慣れ親しんだ12番ではなく13番ですでに練習試合に出場、さらに尾崎もFBではなくWTB(ウィング)でもプレーしている。チャンピオンチームだけに、まずは試合に出場して、沢木敬介監督にアピールしたいところだ。
◆日本代表・野口竜司が加入 パナソニック
次に3年ぶりに王者奪還を狙うパナソニック ワイルドナイツには、すでに日本代表、サンウルブズで実績のある、昨年度の東海大学主将も務めたFB野口竜司が加入。
日本代表やサンウルブズでもチームメイトの選手も多いため、慣れるまで時間はかからないだろう。すでにフォース戦にも出場しており、ワールドカップに向けてプレーの質、精度を高めることができるか。
他にも大卒新人としてはPR床田裕亮(中央大学)、FL(フランカー)大西樹(流通経済大学)、CTB笠原開盛(中央大学)、WTBラトゥ クルーガの4人(大東文化大学)が加わった。
さらに東福岡高校から大学を経由せずに、「挑戦できるなら日本最高の舞台で」とFL福井翔大もパナソニックに入団。能力の高い個性派集団の中で、まずはメンバー入りを狙う。
◆3人のCTBを補強 ヤマハ発動機
昨年3位だったヤマハ発動機ジュビロは今季、BK(バックス)の移籍や退部などが多く、大学時代にCTBとして活躍した3人が加わった。
日本代表キャップホルダーでもある東海大学出身のハードタックラーCTB鹿尾貫太、そしてWTBでもプレー可能な中央大学出身の白井吾士矛、7人制日本代表歴もあり、トップリーグではWTBに専念する帝京大学出身の矢富洋則だ。WTB矢富は、SH(スクラムハーフ)矢富勇毅の弟で、兄弟でのプレーが楽しみだ。
◆新しい風を吹き込む8人の新人 トヨタ自動車
昨年3位に躍進したトヨタ自動車ヴェルブリッツは、昨年度で社業専念する選手が多かった一方で、大学ラグビーで活躍した新人選手が8人加わった。
ジェイク・ホワイト監督が「ヴェルブリッツが常勝集団になるためにチームに新しい風を、そして更なる競争を吹き込んでもらえることを期待している」というように、すでに新人の多くは練習試合に出場しており、メンバー争いにも絡んできそうだ。
日本代表キャップ5を持つ、左PR三浦昌悟(東海大学)、天理大学のスクラムを支えた右PR木津悠輔、帝京大学でレギュラークラスだった右PR垣本竜哉、明治大学でキャプテンシーを発揮したLO(ロック)古川満。
帝京大学で1年生から活躍し、WTBでもプレーした突破力が持ち味のNO8(ナンバーエイト)吉田杏、東海大学出身の大型SO(スタンドオフ)金典弘、突破力が魅力のCTB鈴木啓太、帝京大学の9連覇に貢献したCTB岡田優輝の8人である。
◆18歳の逆輸入選手 神戸製鋼
2003年度以来の優勝を狙う神戸製鋼コベルコスティーラーズにはHO佐野瑛亮(中央大学)、FLタウムア・ナエアタ(流通経済大学)、地元出身のNO8前田剛(明治大学)、鋭いランが魅力のWTB井関信介(天理大学)が加入。
さらにニュージーランドのクライストチャーチボーイズ高校から日下太平も入った。18歳の日下はサントリーや日本代表で活躍した、小野晃征のような逆輸入選手としてトップリーグで大きく成長できるか。
◆7人制ワールドカップ日本代表が加入 東芝
2009年度以来の優勝をもくろむ東芝ブレイブルーパスには、PR藤野佑磨(立命館大学)とWTBジョネ・ナイカブラ(摂南大学)の2人が入団した。
WTBナイカブラは、すでに7人制日本代表としても活躍し、7月のワールドカップにも出場した、柔軟合わせもつランナーで、フィニッシャーとして期待されている。
◆実績のある4人を獲得 リコー
上位進出を伺うリコー・ブラックラムズには、PR西和磨(帝京大学)、LO永井達啓(筑波大学)、SH米村龍二(筑波大学)、SO堀米航平(明治大学)と大学時代に実績のある4人が入った。
◆日本代表、トンガ代表が加入 NEC
6月にワラターズも破り、勢いに乗るNECグリーンロケッツにはPR足立匠(流通経済大学)、昨年、トンガ代表デビューも飾り、WTBでもプレーできるSH岡新之助タフォキタウ(大東文化大学)。
日本代表キャップも持つSH中嶋大希(流通経済大学)、ロングキッカーのSO横山陽介(早稲田大学)、CTB/WTB亀山雄大(筑波大学)が新たに加わった。亀山はSO亀山宏大の弟で、兄弟でグリーンロケッツのBK陣を引っ張れるか。
◆上位浮上を目指し5人を補強 NTTコム
昨年9位に終わり、今季は再び上位浮上を狙いたいNTTコミュニケーションズシャイニングアークスには、5人の新人が加入した。
PR平井将太郎(帝京大学)、LO佐藤大樹(慶應義塾大学)、FL斉田倫輝(法政大学)、SO喜連航平(近畿大学)CTB池田悠希(東海大学)、WTB石井勇輝(東洋大学)だ。
佐藤と喜連は大学でキャプテン経験者であり、将来のリーダー候補だ。また大型CTB池田はロブ・ペニーHC(ヘッドコーチ)に期待されており、デビューも早そうだ。
◆若い力でチームを勢いづけられるか キヤノン
トップリーグに加入した2012年度以来の2桁の順位で、今季は再び上位争いを目論むキヤノンイーグルスには、HO岡部崇人(関西学院大学)、筑波大学のキャプテンだったFL占部航典、そして大東文化大学で活躍していたFB中川和真の3人が加入した。若い力でチームを勢いづけたい。
◆レギュラー争いに加わってほしい2人 クボタ
スーパーラグビー優勝経験のあるフラン・ルディケHC3年目、勝負のシーズンを迎えているクボタスピアーズは、HO大熊克哉(近畿大学)、LO孫昇己(日本大学)の2人が入った。2人はどこまでレギュラー争いに加わることができるか。
◆7人制日本代表エースが加入 豊田自動織機
豊田自動織機シャトルズには天理大学出身でスクラムに定評のある右PR水野健、PR渡邊彪亮(立命館大学)、LO中村大志(筑波大学)、WTBシファ・リサラ(花園大学)の4人が加わった。
すでに、WTBリサラは7人制日本代表のエースとしてワールドシリーズで実績を残している選手だけに、チームのトライゲッターとして活躍するはずだ。
◆トライアウトで加入した異色の新人 宗像サニックス
宗像サニックスブルースにはSH山岡楽(中部大学)、大阪体育大学の関西Aリーグ昇格に貢献したCTB森林啓斗、WTB/FB盛田気(大東文化大学)の3人。
そしてケガのため大阪体育大学を中退したが、そのケガを治療し、クラブチームを経て、合同トライアウトて加入したLO/FL廣田耀規(四日市農芸高校)も今年からプレーする。
◆九州出身を中心にリクルート コカ・コーラ
昨季は入替戦で引き分けて、何とかトップリーグに残留したコカ・コーラレッドスパークスには新人8人が加入、6人が九州出身と特色あるリクルートを行っている。
明治大学で活躍した熊本県・荒尾高校出身の右PR久原綾眞、宮崎・高鍋高校出身のLO西村龍馬(専修大学)とFL西川中(流通経済大学)の2人、地元の福岡大学出身のFL/NO8花田広樹、春から試合に出場している佐賀工業高校出身のSH三股久典(明治大学)、SH星野玄太(中京大学)。
韓国セブンズ代表歴を持つSOパク・ジス(徳山大学)、そして帝京大学でスピードスターとして活躍した佐賀工業高校出身のWTB津岡翔太郎だ。
◆FW5人、意図のある採用 Honda
今季、再昇格しそのままトップリーグ定着を狙うHonda HEATには6人が加わったが、その内5人がFWという意図のあるリクルートだったと言えよう。
関西大学のキャプテンだったPR藤井拓海、天理大学でスクラムを鍛えたPR赤平勇人、同じく天理大学出身のHO藤浪輝人、東海大学のセットプレーを支えたLOテトゥヒ・ロバーツ。
さらに帝京大学で活躍したFL古田凌、明治大学で大型BKとして活躍したFB/WTB渡部寛汰が加入した。新人選手の勢いも借りつつ、トップリーグで旋風を巻き起こせるか。
◆大卒3人を加えトップリーグ初参戦 日野
入替戦でNTTドコモレッドハリケーンズを下して、嬉しい初のトップリーグ参戦となった日野レッドドルフィンズ。
大卒新人としては、左PRとしてもプレーするHO井越慎介(拓殖大学)、捌きの上手いSH橋本法史(東海大学)、そして、CTB/WTB竹澤正祥(日本大学)の3人が加入。
特に高校時代はFLだった竹澤は、すでに春から試合に出場しているだけに、力強いランで会場を沸かせる存在になりそう。
今季のトップリーグはリーグ戦、そして順位決定トーナメント以外にも、11月と1月にトップリーグカップ戦も行われるため、新人選手の出場する機会は多そうだ。
これらのルーキーの中からトップリーグの新人賞が選ばれることになる。昨年度はトヨタ自動車のLO/FL姫野和樹が受賞したように、前例では5位以上のチームからしか選ばれていないが、チームを大きく躍進させるような活躍を見せる新人が現れるか――。ルーキー選手たちにも注目してトップリーグを楽しんでほしい!
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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