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ラグビー コラム 2018年8月23日

【ザ・ラグビーチャンピオンシップ】オーストラリア代表、ワラビーズの注目選手

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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先週開幕したザ・ラグビーチャンピオンシップ。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの4カ国が南半球No.1を賭けて戦う。その注目選手を紹介するコラム。今回はオーストラリア「ワラビーズ」だ。

◆オーストラリアを象徴する闘将
 マイケル・フーパー(Michael Hooper)

所属:ワラターズ
ポジション:FL(フランカー)
身長/体重:182cm/101kg
生年月日:1991年10月29日
キャップ数:82

オーストラリアラグビーを象徴する選手の一人がマイケル・フーパーだ。180cmそこそこと決して大きくはないが、運動量とジャッカルの巧みさで、そしてボールアタックのセンスもある世界屈指のオープンサイドFL(フランカー)だ。

2010年、18歳の時にブランビーズで、ジャッカルの名手であるジョージ・スミス(元サントリー)と交替してスーパーラグビーデビューを果たした。2013年にワラターズに移籍し、2014年にはキャプテンとして決勝でクルセイダーズを破っての初優勝に貢献した。

オーストラリア代表としては、2012年にスコットランド戦でデビューを飾り、それ以来中心選手として活躍し、26歳ながら80キャップを超えた。

所属のワラターズだけでなく、2017年からオーストラリア代表でも最年少キャプテンを務めるようにリーダーシップに優れている。もちろん、2015年ワールドカップの準優勝にも貢献し、2015年、2016年と2年連続でオーストラリア最優秀選手にも選出された。

今年、6月のアイルランド代表戦で太ももを痛めてしまい、残りのスーパーラグビーの試合は欠場したが、ザ・ラグビーチャンピオンシップを前にキャプテンが復帰したのはワラビーズにとって心強い。闘将の復帰がワラビーズの躍進には欠かせないだろう。

父デービットはイングランド出身だが、24歳の時にオーストラリアを気に入って移住し、現地の女性と結婚し生まれたのがフーパーだ。今でもフーパーは良きアドバイザーとして父を信頼している。

◆オーストラリアが誇るボールハンター
 デービッド・ポーコック(David Pocock)

所属:ブランビーズ
ポジション:FL(フランカー)
身長/体重:183cm/103kg
生年月日:1988年4月23日
キャップ数:69

主将のマイケル・フーパーとともに、オーストラリアが誇る世界有数のボールハンターとして名をはしているのがFL(フランカー)デービッド・ポーコックだ。パナソニックでもプレーしていたため、日本のファンにもお馴染みだろう。

ジンバブエ出身だが、育ちはオーストラリア。身長187cmと特別に体が大きいわけではないが、豊富な運動量とボールに絡むセンスは1級品であり、そのプレースタイルは、ブランビーズで活躍したジョージ・スミス(元サントリー)を彷彿させる。

スーパーラグビーでは2006年からフォースでプレーし、2013年にブランビーズに移籍した。オーストラリア代表には2008年から選出されており、以来中心選手として活躍を続けている。2010年にはオーストラリアの年間最優秀選手賞にも選出された。

その後、2016年から3年契約でパナソニックに加入。昨年は代表活動も休んだが、今シーズンはブランビーズに復帰し、6月には再び代表に復帰を果たした。2019年ワールドカップ終了後は再び日本でプレーする予定だ。ジャッカルといえばフーパーであり、やはりワラビーズには欠かせない選手の1人である。

環境保護活動家、人権活動家としての顔も持ち、2014年にはモールス・クリーク炭鉱開発が森林破壊を進めるとして抗議活動に加わって、逮捕までされている。慈善活動にも積極的で、ジンバブエの貧困層などを援助するNPOの共同設立者でもある。初めて行った土地では、川に飛び込むことを習慣にしており、来日後もある川で弟と泳いだという。

◆観客をワクワクさせるアタッカー
 カートリー・ビール(Kurtley Beale)

所属:ワラターズ
ポジション:CTB(センター)
身長/体重:184cm/92kg
生年月日:1989年1月6日
キャップ数:74

CTB(センター)としてプレーをすることが多いが、BKならどこでもこなせるユーティリティーで、攻撃的な選手がカートリー・ビールだ。ステップワークも上手くて突破力があり、ロングキックも得意だ。

オーストラリアの先住民アボリジニの血を引くビールは、3年連続でオーストラリアの高校代表に選ばれ、在学中の16歳の時にワラターズとプロ契約し、2007年に卒業してすぐ、18歳でスーパーラグビーデビューを果たした逸材だった。

2009年にワラビーズで初キャップを獲得すると、2010年はワラビーズ全14試合のうち13試合に出場し、7トライを記録するなどの活躍でオーストラリア年間最優秀選手に輝き、さらにIRB(現ワールドラグビー)の年間優秀選手にノミネートされた。

2011年、ワールドカップに初出場した後、2012年にレベルズに移籍したが、2014年にワラターズに復帰した。昨年はイングランドのワスプスにプレーしていたが、今年から再びワラターズに戻り、オーストラリア代表にも名を連ねている。

ボールを持ったらワクワクさせてくれる選手の1人だ。CTBもSO(スタンドオフ)、FB(フルバック)でもプレーでき、安定感もあり、マイケル・チェイカ ヘッドコーチにとっても信頼できる選手の1人だろう。

グラウンド外ではお騒がせな一面も多く、飲酒運転などを過去に起こしている。また、2014年には代表の女性スタッフへの不適切な発言をめぐって、当時のユアン・マッケンジー ヘッドコーチが辞任に追い込まれる事態に発展したことも。ただ、来年30歳になるベテランとなり、昨今はプレーに集中していると言えよう。

◆決定力が魅力の長身フルバック
 イズラエル・フォラウ(Israel Folau)

所属:ワラターズ
ポジション:FB(フルバック)
身長/体重:193cm/103kg
生年月日:1989年4月3日
キャップ数:65

3つのフットボールでその能力をいかんなく発揮している、オーストラリアを代表するスポーツ選手の1人がイズラエル・フォラウだ。193cmの長身でハイボールに強く、しなやかな走りで決定力も高いFBだ。

両親はトンガ系で、フォラウ自身はオーストラリアで生まれた。17歳のときに13人制ラグビーでプロデビューを果たし、18歳の時に史上最年少で13人制オーストラリア代表に選出された。

さらにオージールールズ(オーストラリアンフットボール)でも活躍したが、2013年から15人制ラグビーに転向し、ワラターズに所属。15人制ラグビーでもすぐに頭角を現し、ワラビーズにも選出され、2014年にはワラターズの優勝に大きく貢献した。

2015年ワールドカップではワラビーズこそ準優勝だったが、フォラウ自身はケガの影響もあり、期待通りの活躍ができなかったと言えよう。ワールドカップ後はNTTドコモでプレーする予定だったが、ケガの影響で登録は抹消されて日本でプレーすることはなかった。また、昨年はパナソニックと契約するかもという噂話が出たが、家族との時間を優先したという。

2014年、15年、17年とオーストラリアの年間最優秀選手賞である「ジョン・イールズ・メダル」を3度受賞する快挙を成し遂げた唯一の選手である。今年のスーパーラグビーで11トライを挙げた決定力と、ハイボールキャッチを武器に、ザ・ラグビーチャンピオンシップ、そして2019年ワールドカップでも大いに活躍が期待されている。

愛称は「イジー」。4月にフォラウのインスタグラムでの発言が物議を醸し出したが、協会はあくまでも個人の発言として距離を取っているという。ニュージーランドのネットボール選手だった夫人との間に2人の子供がいる。少年時代にプレーしたクイーンズランドの街には「イズラエル・フォラウ通り」がある。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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