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ラグビー コラム 2018年8月14日

これは楕円球の神様からの贈り物か?ダン・カーターがトップリーグにやってきた

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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もう2週間もすれば、16年目のジャパンラグビー トップリーグが開幕する。今シーズンも海外からスター選手が多数来日し、ファンを喜ばせてくれそうだ。なかでもとびきりのスーパースターが、神戸製鋼コベルコスティーラーズ入りしたダン・カーターである。

ダン・カーター

トップリーグに“あの”ダン・カーターがやってきた

先日、あるラグビーイベントの企画にかかわる機会があり、集客の見込めそうな選手としてダン・カーターの名をあげた。すると、なんと、代理店の担当者がカーターを知らなかった。えっ?ダン・カーターですよ。元オールブラックスのスタンドオフの。ニュージーランドの人に聞いてみてください。ダン・カーターを知っていますか?って。ニュージーランドの首相の名前を言えない人はいても、ダン・カーターを知らない人はいませんよ。下着メーカーの広告モデルもしていて、オークランドのビルの壁面に巨大ポスターがあったり、自伝が出版されていたり、まあ、とにかく、いろんな場所でよく顔を見かけますよ。

179cm、94kgと大きな体ではないけれど、世界の年間最優秀選手賞を3回受賞していて、2015年のラグビーワールドカップ(RWC)で優勝したオールブラックスの中心選手です。決勝戦では最優秀選手(マン・オブ・ザ・マッチ)にも選ばれた。サッカーでたとえると、メッシとか、ロナウドみたいな選手ですよ。そりゃまあ、ラグビーはサッカーに比べるとマーケットは小さいし、競技人口も少ないから、一緒にはできませんけどね。

でもね、かっこいいですよ、男前ですよ、オーランド・ブルームみたいなイケメンですよ。オールブラックスで112試合に出場して、1598得点。プレースキッカーとしても超一流です。これってテストマッチ(国代表同士の試合)の個人得点の世界記録です。えっ、それでも日本代表選手か元日本代表選手が良い。はい。分かりました。考えてみます。だけど、声だけでもかけてみたらどうですか。ぜったいにお客さん、集まりますよ! ほんとですから~!

ダン・カーターのすごさならいくらでも語ることができる。彼はただ上手いだけではなく、記憶に残る選手でもある。2007年のRWCでは準々決勝で失意の敗退。2011年、自国開催のRWCではチームは優勝したものの、大会中の怪我のため松葉づえで表彰式に。喜びも半分の複雑な表情だった。満を持して臨んだ2015年大会決勝戦はオーストラリア代表との大接戦になったが、終盤にカーターのドロップゴールで勝敗は決した。そこには長年積み重ねた正確なスキルと経験が凝縮されていた。カーターは会心の笑顔で表彰台に上った。ニュージーランドの人々は心から祝福の拍手を贈った。

ダン・カーター

世界最強ニュージーランド代表の一員としてワールドカップ連覇にも貢献

その後、フランスのトップリーグ「トップ14」のラシン92でプレー。そして、36歳になったカーターが現役最後の場所として選んだのが日本だった。日本のラグビーファンにとっては、楕円球の神様からの贈り物のようなニュースだった。

8月初旬、北海道の網走には、神戸製鋼の一員としてトレーニングするカーターの姿があった。チームのスタッフに訊くところでは、フランス時代から抱える怪我のリハビリ中だが、トレーニングコーチの指導に素直に従い、偉ぶったところはまったくないという。食事のときも進んで日本選手の中に入って談笑し、神戸では銭湯に行き、カウンターで寿司をほおばるなど日本の生活を大いに楽しんでいる。網走でもカーターの行くところ必ずファンの行列ができていたが、嫌がる顔一つ見せず、写真撮影とサインに応じていた。オールブラックスになった者の務めは、その経験と技術を若い選手に伝えることだ。「私はそのキャリアを通してたくさんのことを学びました。その知識を次の世代にシェアすることが重要なのです」。神戸製鋼でも惜しげもなくノウハウを伝える。カーターは、日本のラグビー選手にとってもロールモデルなのだ。

網走での取材は、8月18日(土)に初回放送される「ジャパンラグビー トップリーグ18/19 プレビュー」の中で紹介されるものだ。もちろん、ダン・カーターにもインタビューした。全チームを紹介する番組なので、カーターだけには偏れないが、本コラムで明らかなように、特別扱いしていることを告白しておきたい。他チームのファンの皆さん、ごめんなさい。サービス精神旺盛なカーターが、ちょっと面白い表情も見せてくれるのでお楽しみに。

ダン・カーター

番組のインタビューではサービス精神旺盛なカーターが、ちょっと面白い表情も見せてくれた

このほか、注目ルーキーのコメント、首脳陣の意気込みなど盛りだくさんの内容だ。今シーズンは短期決戦。16チームを8チームずつのカンファレンスに分けて総当たり戦を行い、最後は順位決定トーナメントで優勝を争う。そんな大会方式をおさらいし、各チームの戦力をチェック、16年目のトップリーグを大いに楽しんでいただきたい。

放送予定

ジャパンラグビートップリーグ18/19 プレビュー
8月31日(金)のジャパンラグビートップリーグ18/19の開幕にむけて、北海道の網走を中心に夏合宿を行っている各チームにJ SPORTSスタッフが精力取材! 世界の「ダン・カーター」独占インタビューや注目ルーキーのコメントなど、開幕に向けて盛りだくさんの内容でお届け! 8月31日のトップリーグ開幕を前に全16チームを要チェック!

放送予定は
https://www.jsports.co.jp/program_guide/69222.html

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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