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ラグビー コラム 2018年8月7日

クルセイダーズの2年連続9回目の優勝で幕!スーパーラグビー2018 シーズンレビュー

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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優勝を果たしたクルセイダーズ

優勝を果たしたクルセイダーズの選手ら

スーパーラグビー2018は、ニュージーランド(NZ)のクルセイダーズの2年連続9回目の優勝で幕を閉じた。 2月17日(土)、ストーマーズ(南アフリカ)対ジャガーズ(アルゼンチン)から始まった半年間の戦いは、2015年以降顕著になったNZ勢の充実が目立ち、なかでもクルセイダーズの安定感が際立っていた。 ラグビー理解が深く、運動能力抜群の選手たちがスピーディーに動き回るのがNZラグビーの特徴だが、クルセイダーズは攻守にミスが少なかった。 ディフェンスの激しいプレッシャーの前でも、正確にパスを通し、守ってもミスタックルが少なく、攻め込まれた時のバッキングアップのディフェンスは驚くべき反応の速さだった。

第4節にハリケーンズ、第5節にハイランダーズとNZ勢に敗れたが、第6節からは15連勝でのV2だった。決勝戦は、昨年と同じく、 南アフリカカンファレンス1位のライオンズとの戦いになった。6割方、ライオンズにボールを支配される展開になったが、203回ものタックルを決め、 ライオンズが得意とするラインアウトからのモールも低く結束して押し返した。

プレーオフに入ってから存在感を高めたのが、SOリッチー・モウンガだ。決勝戦では、タイミングの良いパスでWTBセタ・タマニヴァルのトライを演出し、 何度もディフェンスを破ってチャンスを作った。緩急をつけたステップワーク、タックラーを振り切る際の瞬時の加速は過去の伝説的SOに見劣りしない。 プレースキックの成功率は100%。4本のトライ後のゴール、3本のペナルティーゴールを決めた。準決勝のハリケーンズ戦では、 オールブラックスの正SOでもあるボーデン・バリットにも勝った。これについては、クルセイダーズのほぼオールブラックスのFWの後ろでプレーしていることもあって、 バリットをかばう声もあるが、これから始まるザ・ラグビーチャンピオンシップのオールブラックスでどんな存在感を見せるのか注目される。

3年連続で準優勝となったライオンズは、レギュラーシーズンで9勝7敗と苦しんだが、 強力なスクラム、ラインアウトからのモール、HOマルコム・マークスを筆頭にしたターンオーバー能力の高さでプレーオフを勝ち進んだ。 アルゼンチンのジャガーズは参戦3年目にして初のプレーオフ進出。南アフリカカンファレンスでは、ライオンズと同じ9勝7敗で2位となった。 大半がアルゼンチン代表で固めたメンバーでも3年かかったことが、スーパーラグビーのレベルの高さを証明しているとも言える。

日本代表との連携を密にしたサンウルブズも3年目で最高の3勝をあげたが、日本代表選手を休ませる試合も多かった。2019年はラグビーワールドカップイヤーであり、今季以上の結果を残しながら、日本代表強化にいかにつなげるか。難しいかじ取りが求められる。

個人賞レースでは、トライ王は16トライでハリケーンズのベン・ラムが受賞。得点王は、223得点のバーナード・フォーリー(ワラターズ)。2017年から3チーム減の15チームで行われたことで、2018年シーズンは全体がレベルアップし、好勝負が相次いだ。フィールドの中でボールが動き続ける時間が長くなり、相手ボールを奪ったときにどう有効な攻撃につなげるか、きめ細やかな戦略と正確なスキルがこれまで以上に求められるようになる。2019年のラグビーワールドカップイヤーも、今年と同じく15チームで開催されるが、例年のように6月の国代表戦での休みはなく、7月6日が決勝となる。クルセイダーズの三連覇か、新王者の誕生か。開幕が待ち遠しい。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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