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真夏の高校セブンズ決定戦は新たなチームが栄冠に輝いた。
7月21~23日、「アシックスカップ2018」こと、第5回全国高校7人制ラグビー(セブンズ)フットボール大会が開催された。
全国の都道府県予選を勝ち抜いた47校と、3連覇を狙う東福岡(福岡)の計48校が参加し、最終日は長野県・菅平高原サニアパークで、各決勝トーナメントが行われた。
予選プールを1位で突破した16チームによるカップ戦は、決勝では流通経済大柏(千葉)が、3年ぶりの優勝を目指した東海大大阪仰星(大阪)を17-5で破って初制覇。
同校にとっても、そして千葉県勢の全国タイトルは初めてだという。カップ戦のMVPも同校のセブンズキャプテンの永山大地が選ばれた。なお、同校には来年の第6回アシックスカップの出場権が与えられた。
予選プール2位の16チームによるプレートトーナメントは、決勝が19-19の同点だったため城東(徳島)と石見智翠館(島根)が同時優勝。プレートトーナメントのMVPには遠藤岳歩(城東)と谷仁之介(石見智翠館)の2人が選出された。
予選プール3位の16チームによるボウルトーナメントは、日本航空高等学校石川(石川)が西陵(愛知)を43-0で下して優勝。ボウルトーナメントのMVPには大村亮介(日本航空石川)が選出された。
まず、予選リーグの結果を見てみよう。ディフェンディングチャンピオンの東福岡は、國學院久我山(東京)とプールMで引き分けたが得失点差で1位通過。
他には優勝経験のあるプールHの東海大大阪仰星、決勝に進出したことのあるプールBの京都工学院(旧伏見工業/京都)とプールIの御所実業(奈良)、春の選抜王者であるプールPの桐蔭学園(神奈川)などが順当に1位通過を果たした。
プールFは新田(愛媛)、プールGは八幡工業(滋賀)、プールJは秋田中央(秋田)、プールNは佐賀工業(佐賀)が1位通過した。
カップトーナメントに進出したのは國學院栃木、京都工学院、深谷(埼玉)、報徳学園(兵庫)、東海大福岡(福岡)、新田、八幡工業、東海大大阪仰星、御所実業、秋田中央、茗渓学園(茨城)、流通経済大柏、東福岡、佐賀工業、尾道(広島)、桐蔭学園の16校だった。
カップトーナメント1回戦の8試合の結果は下記のようになった。國學院栃木が、過去3回決勝に進出している京都勢の1つ京都工学院に快勝。
深谷も報徳学園を接戦で下し、フィナウ・ポロメアがハットトリックを達成した東海大福岡も、新田を倒してベスト8に進出した。
◆カップトーナメント1回戦
○國學院栃木 33-14 京都工学院
○深谷 21-12 報徳学園
○東海大福岡 33-7 新田
○東海大大阪仰星 47-7 八幡工業
○御所実業 35-5 秋田中央
○流経大柏 38-5 茗溪学園
○東福岡 35-17 佐賀工業
○桐蔭学園 31-10 尾道
準々決勝の結果は下記の通り。國學院栃木が同じ関東勢の深谷を倒し、東海大勢対決は大阪仰星に軍配が上がった。また、流通経済大柏が、メイン平がおり優勝候補の1つと見られていた御所実業との接戦を制した。
そして春の王者・桐蔭学園がセブンズでも強さを見せて、3連覇を狙う東福岡を破った。「西高東低」と言われて久しいラグビー界だが、今年のセブンズのベスト4には関東勢が3校入る躍進を見せた。
◆カップトーナメント準々決勝
○國學院栃木 21-12 深谷
○東海大大阪仰星 33-7 東海大福岡
○流経大柏 12-7 御所実業
○桐蔭学園 38-19 東福岡
最終日には準決勝と決勝が行われた。準決勝の1試合目は東海大仰星が國學院栃木に攻守で圧倒して、40-7で快勝した。
もう1つの準決勝・流通経済大柏と桐蔭学園の対決は、点の取り合いとなったが、先制された流通経済大柏が、諸井琉哉と家村健太のトライで12-7と逆転。
その後も當眞慶の力強いランからのトライや、5点差とされた後も自陣のラインアウトからつないで、永山大地が90mを走り切ってトライ。26-21で勝利した。
◆カップトーナメント準決勝
○東海大大阪仰星 40-7 國學院栃木
○流経済大柏 26-21 桐蔭学園
決勝は初優勝を狙う流通経済大柏と3年ぶりの優勝を狙う東海大大阪仰星の激突となった。
流通経済大柏が前半、永山、當眞のトライで10-0とリードする。後半、東海大大阪仰星・谷口宜顕がトライを挙げて10-5と5点差に追い上げる。
それでも流通経済大柏が堅いディフェンスを見せて追加点を許さず、終了間際に諸井がステップで相手をかわしてトライを挙げて17-5で勝利し、初優勝を飾った。
◆カップトーナメント決勝
○流経大柏 17-5 東海大大阪仰星
流通経済大柏は今大会に向けてBK(バックス)を中心に指導している中村龍一ヘッドコーチの下、1ヶ月前から平日は週に1回ほどセブンズの練習をして準備をしてきたという。
また、週末は相亮太監督がリコーブラックラムズの同期で、セブンズ日本代表経験のある小吹祐介(現・神奈川県選抜監督)氏も招聘して強化を進めた。
「いくら得点を取ってもディフェンスが良くないと勝てない。今年のBKのメンバーには動ける選手が多かったので、アタックよりもディフェンスをベースに大会に臨みました」。
「立ってプレーすること、そしてアタックもそうですがディフェンスでも相手と2対1の状況を作るように注力してきました」と相監督が大会を振り返ったように、特に顕著だったのは通経済大柏のディフェンス力だった。
流通経済大柏の予選プールから、カップトーナメントまで6試合の平均失点は7.2点で、準決勝の桐蔭学園との試合で3トライを取られた以外は、残りの5試合は1トライ以下だった。
1対1の状況で飛び込まず、しっかりと相手を倒すタックルで頂点に駆け上がったと言えよう。
また、相監督は大会前、勝ち上がるためにキーとなる試合はカップトーナメント2回戦の御所実業戦と考えていたという。
今年5回目の対戦だったという桐蔭学園にも準決勝で、接戦でやっと勝つことができて「御所実業と桐蔭学園に勝つことができて、自信をつけて決勝に臨むことができた」。その勢いが決勝の東海大大阪仰星戦にも出たというわけだ。
チームには葛西拓斗キャプテンや家村健太バイスキャプテンがいたが、相監督はセブンズのキャプテンに永山を指名したことも功を奏した。
コーチ陣の期待通り、永山はカップトーナメントのMVPにも選出。指揮官は「永山大地はポテンシャルがある選手だったので、期待を込めてセブンズのキャプテンに任命しました。今後も成長してくれると思う」と目を細めた。
「年間のターゲットの1つだったアシックスカップで優勝できて良かった。今後は15人制ラグビーをしっかり強化したい」と相監督。
流通経済大柏は、真夏の全国高校7人制ラグビー大会に続いて、冬の「花園」こと全国高校ラグビー大会に初優勝に向けてさらなる挑戦を続けていく。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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