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ラグビー コラム 2018年7月9日

前半はクロスゲーム。後半はワンサイドゲーム。カードで様相一変した「ワラターズ×サンウルブズ」

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ワラターズvs.ヒトコム サンウルブズ

サンウルブズ(日本)が遠征先のオーストラリアで、今季最後の戦いに挑んでいる。

前節、チーム過去最多となる1シーズン3勝を挙げたサンウルブズは、勝利の舞台となったシンガポールからオーストラリアへ移動。

スーパーラグビー2018の第18節。7月7日(土)に、シドニーで相まみえたのは、8勝1分け5敗のワラターズ(オーストラリア)だ。

サンウルブズは前節から先発メンバーを6人変更。

6月の日本代表に選ばれたFLリーチ マイケル、NO8姫野和樹、SH流大、FB野口竜司がスターター入り。

今季大活躍のLOグラント・ハッティング、昨季の共同主将を務めたFLエドワード・カークも先発に名を連ねた。

迎え撃つワラターズは、ダリル・ギブソンHC(ヘッドコーチ)が就任した2016年からプレーオフ進出を逃してきたが、今季は下馬評を覆し、オーストラリア・カンファレンスの首位に立つ。

サンウルブズ戦は主将のマイケル・フーパーを怪我で欠くが、先発15人には現役オーストラリア代表の強力メンバーがずらりと並んだ。

PRセコペ・ケプ(94キャップ)、LOロブ・シモンズ(85キャップ)、SOバーナード・フォーリー(58キャップ)、CTBカートリー・ビール(74キャップ)、そして前節から唯一の変更として先発FBに入ったイズラエル・フォラウ(65キャップ)。

東京・秩父宮で過去2度あった対戦はいずれもワラターズが勝利。しかも今回は敵地戦、ワラターズは今季好調とあって、厳しい戦いも予想されていた。

しかしトニー・ブラウンHC代行の率いる狼軍団は頼もしかった。

先制点はサンウルブズ。

司令塔としての存在感が増してきたSOヘイデン・パーカーが、前半10分、風に煽られながらもPG(ペナルティゴール)を成功。

しかしワラターズは失点直後、FBフォラウが狙い通りにキックオフボールをキャッチ。

連続攻撃で畳みかけ、最後はPRケプがフィジカルにものを言わせてインゴールにねじ込んだ(ゴール成功)。3-7。

SOパーカーの左足でさらに3点を追加した前半22分、サンウルブズは自陣でCTBジェイソン・エメリーが好タックル。ターンオーバーが生まれると、SOパーカーが無人エリアへキック。

ここでチェイスしていたWTB山田章仁がタッチライン間際でキャッチ。そのままインゴールへ駆け抜けて自身今季初トライ(ゴール)。13-7とリードした。

負けられないワラターズはその3分後、FBフォラウが抜け出して5点を追加するが、狼軍団は引かなかった。

前半28分、序盤は不安定だったラインアウトから、今季大活躍のCTBマイケル・リトルが突進。左サイドへの展開からWTB山田が抜け出し、ボールは左大外にいたFLリーチへ。

今季チーフスから移籍の頼れるバックローワーが、相手をハンドオフで振り切り、左中間にトライ。

コンバージョンキックは失敗で、SOパーカーのキック連続成功は38回で途絶えたが、狼軍団はカンファレンスの首位チームに対し、アウェイで堂々たる戦いを見せた。18-12。

しかし巨漢WTBタンゲレ・ナイヤラボロを中心にエリア外側を攻略するワラターズは、前半終了までに2トライ1ゴールを追加。

前半をワラターズリードの18-24で折り返したが、ゲーム展開にインパクトを与えたのは前半終了間際のレッドカード。

前半40分、サンウルブズのWTBセミシ・マシレワが相手10番に対する危険なタックルで退場。

のちに3週間の出場停止処分が下されたタックルにより、狼軍団は後半の40分間を14人で戦うことになった。

後半のサンウルブズは立ち上がりの反則で3点を追加(18-27)されると、後半15分までに失3連続トライ。18-46。

数的不利によりボール保持も厳しくなったサンウルブズだが、しかし14人でも底力は見せた。

敗戦ムードが漂い始めた後半15分。

FLカークがしぶとくキャリーで前進すると、左展開から細かいパスを重ね、左大外でボールを持ったのはWTB山田。大外の防御を埋めてきたFBフォラウを置き去りにし、左隅へ華麗なトライ(ゴール成功)。25-46。

試合後にWTB山田は「皆が繋いでくれたボールをトライに持ち込むことができ嬉しく思います」と謙虚に語ったが、オーストラリア代表の世界的スターを抜き去る姿は、まさにフィニッシャーと呼ぶにふさわしいだろう。

ただ14人で劣勢を覆すには、ワラターズは強力だった。

後半21分、25分にトライを奪われると、同30分には途中出場の田中史朗がこちらも危険なタックルによりシンビン(10分間の一時退場)。

13人となり、ここからさらに3トライを浴びた。

最終スコアは25-77。ワラターズはチーム歴代最多を更新する1試合12トライで9勝目(1分5敗)を挙げ、カンファレンス1位でプレーオフ進出を決めた。

今季12敗目(3勝)を喫したのはサンウルブズ。

しかし前半は取られても取り返し、準備とハードワークでシーソゲームを演じた。試合後のブラウンHC代行のコメントにも手応えが滲んだ。

「強豪相手にサンウルブズは 14人、最後は 13人になってしまい、今日は厳しい試合となりました。前半はワラターズ相手に十分にプレッシャーをかけることができていたと思います」

シーズンが深まり総合力は高まっている。ブラウンHC代行の「自分たちのやり方を確立して、スーパーラグビーで戦えるところまでになりました」という言葉は、偽らざる実感だろう。

SH流主将も試合後、チームメイトに「今まで自分たちが積み重ねてきたことは間違いではない」と声をかけたという。

そしていよいよ迎えるのは、険しかった2018年の終着点。

サンウルブズは7月13日(金)、ブリスベンで今季ラストゲームを迎える。

対戦するレッズ(オーストラリア)は、サンウルブズが第13節で63得点を奪って撃破し、秩父宮のファンへ今季初勝利を届けた相手だ。

「今季4勝目をアウェイで挙げて、新しい歴史を作ろうと声をかけました」(SH流主将)

海外初勝利、初の連勝、1シーズン3勝…。新しい歴史を作ってきた2018年シーズンを、ファンの心を揺さぶる熱戦で締めくくりたい。

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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