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6月のテストマッチシリーズ。6月16日(土)、ニュージーランド(NZ)の首都ウェリントンでは、世界ランキング1位の「オールブラックス」ことNZ代表が、同8位のフランス代表を迎え、3連戦の第2戦に臨んだ。
オークランドで行われた第1戦は、1枚のカードが均衡を崩したと言える展開だった。
第1戦の前半はプレー精度に問題を抱え、低調な滑り出しとなったオールブラックス。この日3点リード(11-8)で後半を迎えたのは「レ・ブルー(Les Bleus)」ことフランス代表の方だった。
しかし同点で迎えた後半11分、フランスのLOポール・ガブリアーグが、CTBライアン・クロッティへハイタックルを見舞ったとしてシンビン(10分間の一時退出)。
その直後、オールブラックスはフランスが14人の間に2トライを奪った。
この日はのちに問題視される一連の展開もあった。
後半19分、この日好調だったフランスのWTBレミー・グロッソが、オールブラックスのFLサム・ケインと途中出場のオファ・トゥウンガファシのダブルタックルを受け、ピッチを後にした。
のちにWTBグロッソは顔面骨折の重傷を負っていたことが明らかとなったが、このときオールブラックス側に下された判定はペナルティのみだった。
その後も優勢のオールブラックスは、後半21分に投入されたダミアン・マッケンジー、ンガニ・ラウマペらがライン突破やトライなどで、切り札としての役割を発揮。
また初戦のフランスはセットピースが不安定。スクラム成功率は75%(4分の3)、ラインアウト成功率は58%(12分の7)。一方のオールブラックスのセットピースはともに成功率100%で、勝ち目は薄かった。
黒衣軍は結果的に8トライを奪取。うち7トライは後半30分間でのスコア。第1戦はニュージーランドが52-11で勝利していた。
これでNZ相手の連敗が「12」となったフランスは、舞台をウエストパック・スタジアム(ウェリントン)に移しての第2戦へ。
敗北すればNZツアーの負け越しが確定するフランスは、序盤で快調な出だしだった。
前半5分にはビッグゲインからインゴールへ持ち込んだが、ノックオン判定でトライはならず。
しかしレ・ブルーはその後もNZディフェンスを的確に突いてゲインを繰り返した。前半11分にはSHモルガン・パラのPG(ペナルティゴール)で3点を先制する。
ここで初戦に続き、ふたたびカードが主役になった。
前半12分、フランスのFBベンジャミン・ファルが一発退場に。FBファルはハイボールをジャンプでキャッチしようとした相手SOボーデン・バリットと交錯。SOバリットは後頭部から落下していた。
フランスは世界最強国を相手に、その後の約70分間を14人で戦うことに。
すると案の定オールブラックスが攻勢。
レッドカード直後の前半13分、接点に走り込んだPRジョー・ムーディーが独走トライ(ゴール)。
前半20分にもWTBベン・スミスが内へ切れ込みゴール下を奪取(ゴール)。20分間で14-3とリード。
フランスも前半31分、SHパラのPGで8点差(6-14)と追いすがったが、前半終了間際、オールブラックスの若き才能たちが光った。
キックカウンターからWTBリーコ・イオアネ(21歳)が一瞬の加速でゲイン。
オフロードパスをCTBアントン・レイナートブラウン(23歳)につなげ、最後はFBジョーディー・バリット(21歳)がチーム3トライ目(ゴール)。21-6で前半を折り返した。
ここから後半に7トライを挙げた初戦同様、大量得点の可能性もあったオールブラックスだが、後半の追加点は5点のみ。
後半17分、SOボーデン・バリットに代わり途中出場していたダミアン・マッケンジーが、俊足を活かしてラインブレイク。FBバリットのこの日2トライ目を演出して26-6とした。
しかしフランスは試合を通してブレイクダウンでプレッシャーをかけ、オールブラックスのリズムを崩した。
オールブラックスも得点チャンスでのハンドリングミスもあり、スコアを思うように伸ばせなかった。
後半だけのスコアを見ると、14人のフランスが7-5で上回った。
フランスのこの日最初で最後のトライは、20点差を追いかける後半ロスタイム。
自陣でフルタイムのホーンが鳴る中、意地のラストアタック。ショートサイドでオフロードパスを重ねて、途中出場のゴム・サがインゴールへ滑り込んだ(ゴール成功)。
最終スコアは26-13。
終わってみれば約70分間を14人で戦いながら、大崩れしなかったフランスの意地が光るスコアボードとなった。
いよいよ迎える3連戦の最終戦は、現地時間23日(土)。NZ南島のオタゴ(フォーサイス・バー・スタジアム)が舞台となる。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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