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ラグビー コラム 2018年6月8日

【ラグビー日本代表コラム】「自分の役割を遂行する」6月の3連戦に腕を撫す、日本代表の若き司令塔SH流大

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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2019年のラグビーワールドカップ(W杯)まで500日を切りいよいよ本番の足音が聞こえてくる中、「ブレイブブロッサムズ」ことラグビー日本代表はイタリア代表と2試合、そしてジョージア代表と1試合のテストマッチに挑む。

流 大

その3連戦に腕を撫しているのは、トップリーグ王者サントリーサンゴリアス、そして今年はヒト・コミュニケーションズ サンウルブズでもキャプテンを務めている25歳のSH(スクラムハーフ)流大(ながれ・ゆたか)だ。

――流選手は今年、サンウルブズのキャプテンの一人としてスーパーラグビーデビューを果たしました。現在の日本代表は33名中30名がサンウルブズの選手で構成されています。サンウルブズの経験がチーム、そして個人にどう活きているのでしょうか?

ジェイミー(ジェイミー・ジョセフHC)以外にも、ブラウニー(トニー・ブラウンアシスタントコーチ)、(スクラムコーチの長谷川)慎さんもサンウルブズと日本代表を兼任しているので、基本的な部分の戦術は同じでそこまで変わりはないです。それに多くの試合を高い強度の中ででき、チームメイトとも長い期間一緒にいて戦術を理解し、互いがどういうプレーをしているのか、して欲しいのかがわかってきているので兼任がプラスになっている。一貫性はありますし選手もやりやすいです。
個人としても、サンウルブズは接戦が何度もありましたし、ニュージーランド勢との対戦では途中まではうまくいっていたことあり、プレッシャーがかかった中での判断がすごく勉強になりました。どれだけプレッシャーをかけられてもいい判断をすることが6月のテストマッチシリーズで大事になってくると思っています。

――今年はスーパーラグビー期間中でも、流選手を含めて日本代表の主力選手は休みをもらい、5月27日からの1週間を宮崎で合宿として過ごしテストマッチに向けて準備してきました。

休んだことでメンタル的にもリフレッシュできました。さらに宮崎合宿でハードなトレーニングをこなせたのでチームにまた一体感が出てきています。昨年の11月にチームカルチャーが出来上がってきて、宮崎ではそれを呼び起こすことができました。サンウルブズに参加していた選手も合流したので、「ワンチーム」として、まとまりを持ってやっていきたいと思います。

――流選手は2季連続2冠のサントリーでもキャプテン、サンウルブズでも共同キャプテンを務めていて、6月の日本代表では、久しぶりにキャプテンではない立場で参加しています。

流 大

キャプテンではないですが、7人いるリーダーの一人ですし、やることはあまり変わらないと思っています。自分が一番声を出して、グラウンド内でハードなトレーニングをする。気がついたことがあれば発言することもありますが、そこは(田村)優さんとか(堀江)翔太さんとか、ベテランで発信力がある人もいるので(任せています)。しんどい練習だったり、疲れがたまってきてミスが出てきたりすれば、僕はみんなを明るく前向きにできるようなリーダーシップをとっていきたい。そして、リーチさんには自分のプレーと、キャプテンとしての仕事に集中してもらえるようにしたいと思います。

――昨年の4月にはアジア選手権を戦う若手中心の日本代表でキャプテンを務めて初キャップを獲得し、6月、11月の日本代表にも参加、選手として成長を感じている部分はありますか?

昨年の6月にアイルランド代表とテストマッチで対戦したことで、本格的にティア1(世界の強豪10ヵ国)の強度を感じ、11月にもオーストラリア代表、フランス代表とも対戦し、判断の部分などで僕自身すごく成長したと感じています。リーダーも任されているので、リーダーとしての仕事もしたいとは思っていますが、まずは一プレーヤーとしてのパフォーマンスをもっともっと上げていかないといけないと思っています。

イタリア代表

――対戦するイタリア代表の印象は?

イタリア代表はヨーロッパの強豪ですし、フィジカルもセットプレーも強いと思います。(6月2日、の)ヤマハ発動機ジュビロとの試合でもセットプレー、フィジカルが強く、オフロードパスをして思ったよりボールを動かす印象を持ちました。ディフェンスで相手のアタックをシャットダウンすることが大事ですが、フィットネスがそこまであるようには見えなかったので、ボールを動かしてどんどん振り回していきたいと思います。9日の試合は大分の開催で地元が近いというのもありますし、高校時代に九州代表でお世話になった先生もいらっしゃるので、元気な姿を見せられるように頑張りたいと思います。

――3戦目で戦うジョージア代表の印象は?

ジョージア代表はセットプレーと激しいプレーが持ち味だと思います。U20日本代表の時にジョージア代表と対戦したことがありますが、スキルを使わず、とにかくフィジカルで、FWで来る感じだったので、今回も同じような展開になるのではないかなと思っています。日本代表のFW陣がしっかり戦うことが前提ですが、FW戦に付き合い過ぎるのではなくて、パスやキックでスペースを攻める自分たちの土俵に持っていくことが大事です。

――ジョージア代表には、サンウルブズの同僚であるHO (フッカー)ジャバ・ブレグバゼ選手がいます。ジョージア代表の特徴や戦い方など何か聞いたりしたのでしょうか?

ジャバとはふざけあって「シェイプ(アタックの陣形)をばらすなよ!」と話したりしました。ですが、それをわかっていてもたくさんのアタックオプションがあるのが日本代表のラグビーだと思うので、うまくスペースをついていきたいと思います。

――同じポジションのSH(スクラムハーフ)にはベテランの田中史朗選手、内田啓介選手もいます。

田中史朗

ポジション争いにはしっかり勝ちたい。サンウルブズでも、先発で出ることもあればリザーブで出ることもあって、僕の中では、どちらでも自分の仕事を遂行できたと思っているので、それをジャパンでも続けることが大事だと思っています。もちろん本心で言えば「9」番を付けて先発で出たいですし、「9」番でゲームを作りたいという思いは強いです。ですが、ベンチスタートだとしても、チームを勝たせるという責任があるので、どちらで出ても自分の役割を遂行することだけを考えています。

――2019年のラグビーワールドカップで日本代表はアイルランド代表、スコットランド代表、ロシア代表と、欧州勢と同じプールに入りました。この6月の3戦もイタリア代表、ジョージア代表のヨーロッパ勢と対戦します。来年を見据えると、欧州の強豪との対戦はどういった意味があると考えているでしょうか?

リーチさんからも「ワールドカップを想定しよう」という話がありました。またリーダーグループでも「6月の3戦は本当にワールドカップを想定したテストマッチにしよう」と話し合いました。もちろんイタリアとジョージアのスタイルがワールドカップで対戦する代表と被っているわけではなく、強さも違うので一概には言えないのですが、相手どうこうよりも自分たちにフォーカスして、どれだけ準備できるかにこだわってやっています。もちろん3戦とも勝ちたいですし、僕らも「絶対に3試合勝たないといけない」というプレッシャーを自分たちにかけていきたいと思っています。

――最後に、流選手個人として、6月の3戦はどういうプレーをしたいですか? またファンにどんなところを見てほしいですか?

この6月のシリーズでは試合に出た時に自分の役割をしっかり務めること、つまりスピードを上げるべきときにはスピードを上げてアタックを引っ張り、落ち着かせる時は落ち着かせるといったSHとして求められることをしっかりやっていきたいと思います。特にファンのみなさんにはスピードのあるアタックに注目してほしいと思います!

昨年4月に日本代表初キャップを獲得し、6月と11月にさらに高いレベルのテストマッチを経験して「徐々に自分のパフォーマンスに自身が持てるようになってきた」というSH流。さらにサンウルブズで得た経験も武器に、来年のW杯を見据えて、この6月も日本代表のゲームメイカーの一人としてピッチに立つ。先発で出場しても、ベンチスタートだとしても、テンポの良い、スピードのあるアタックで日本代表の勝利に大きく貢献してくれるだろう。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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