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ラグビー コラム 2018年5月14日

サンウルブズ、今季最後の秩父宮で勝利の雄叫び!チーム最多得点で豪州勢から初勝利

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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試合終了直後、歓喜の瞬間

サンウルブズに関わるすべての人にとって待望の瞬間がやってきた。

5月12日(土)、スーパーラグビーの第13節、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、ホーム・秩父宮ラグビー場での最終戦、同じオーストラリアカンファレンスのレッズを迎えた。

序盤から集中力のあるディフェンスと安定したセットプレー、そしてSO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカーのキックも冴えて試合を優位に進めると、WTB(ウィング)ホセア・サウマキが3トライのハットトリックも達成し、63-28で快勝した。

WTBサウマキはハットトリック達成

サンウルブズにとっては今季10戦目の初勝利で、オーストラリア勢からは史上初めての勝利。そして63得点は史上最多得点という記念すべき勝利となった。

4月のニュージーランド遠征の後、「BYE」(休みの週)を挟み、2週間ぶりの試合となったサンウルブズは、前節から10人がそのまま先発。

キャプテンのSH(スクラムハーフ)流大を筆頭にHO(フッカー)堀江翔太、NO8(ナンバーエイト)姫野和樹、WTB福岡堅樹ら日本代表でもお馴染みの選手が名を連ねた。

FLリーチもケガから復帰

また、肋骨の骨折から日本代表のスキッパーを務めるFL(フランカー)リーチ マイケルが1ヶ月ぶりに復帰を果たした。

同じく「BYE」明けの2011年の王者レッズは、今年からかつて日本でもプレーした元オールブラックスのブラッド・ソーンHC(ヘッドコーチ)が指揮する若いメンバーが多いチームだ。

今季は4勝5敗と波のあるシーズンを送っているが、第11節には南アフリカのライオンズに勝利している。

ゲームキャプテンのPR(プロップ)ジェームズ・スリッパー、CTB(センター)サム・ケレヴィ、昨シーズンまでサントリーでプレーしていたFL(フランカー)ジョージ・スミスなどメンバーのうち8人がオーストラリア代表経験のある選手を揃えた。

夏を感じさせる日差しの中、今季の秩父宮ラグビー場のラストゲームには1万2386人のファンが駆けつける中、ゲームはキックオフされた。

この試合のサンウルブズは、「Swing the sword」(刀を振り切れ)を掲げて、自分たちから積極的に仕掛けることをテーマにしていた。

また、サンウルブズは序盤からの失点を許して苦しい展開になることが多かったため「とにかく前半から7点、8点とリードを広げていきたい」(SH流)という強い思いで試合に臨んでいた。

そういった思いがすぐゲームに出る。

ラインアウトもリードしたハッティングのトライ

相手より出足で勝っていたサンウルブズは2分、7分と接点で相手のペナルティを誘いSOパーカーがPG(ペナルティゴール)を決めて、6-0とリードする。9分、相手にモールからトライをされ6-7と逆転されてしまうが、15分、すぐにPGで9-7とする。

だが、21分にも再びモールから、昨シーズンまでトヨタでプレーしたSHベン・ルーカスにトライを許し、9-14と再びリードされてしまう。

攻守で頼りになるWTB福岡

しかし、ここから狼軍団が牙を剥いた。SOパーカーのPGで、12-14とした30分、LO(ロック)グラント・ハッティングのショートパスにPRクレイグ・ミラーが抜け出し、フォローしたハッティングがトライを挙げて、17-14と再び逆転に成功。

さらに33分、自陣スクラムから途中出場のFB(フルバック)ジェイソン・エミリーが裏へとキック、そのボールをWTB福岡が確保し、左に展開。

攻撃の起点を作ったCTBリトル

最後はCTBマイケル・リトルのオフロードパスがSOパーカーにつながって、SOパーカーがトライを挙げて26-14とリードを広げる。

前半終了間際にも相手陣奧深くまで攻め込んだサンウルブズは、トライこそならなかったがSOパーカーがPGを沈めて、29-14と15点をリードして前半を折り返した。

後半もサンウルブズが主導権を握り、PGを決めて32-14とした後半14分、ボールを動かして、最後はWTBサウマキが自らピック&ゴーして、左隅に飛び込んでトライ(39-14)。「ブラインドサイドを(上手く)突くことができました」(サウマキ)。

SOパーカー、この日は36点の大活躍

その後、レッズにトライ喫したものの、サンウルブズは、29分にはFBエメリーがトライ直前にハイタックルを受けてペナルティートライ(相手にイエローカード)を得て49-21。

数的有利な状況で、34分に相手にもう1トライ与えてしまったことは残念だったが、終了間際の38分と41分にはCTB田村優とSH田中史朗の飛ばしパスを受けたWTBサウマキがトライを重ねてこの試合でハットトリックを達成。終わってみればサンウルブズが、63-28で快勝した。

サンウルブズは、相手のモールに苦しんだものの、マイボールスクラムは100%、マイボールラインアウトは90%を超えて、しっかりとセットプレーを起点にアタックできたことも流れを作る上では大きかった。

12本のキックを全て決めたSOパーカー

また、SOパーカーが12本のプレースキックを全て決め、狙い通り、得点で相手にしっかりとプレッシャーをかけることができた。

7つのPG、5本のゴール、そして1トライと36得点を挙げたSOパーカーは「すべてのキックを決めることができて、もちろん気分はいいです。キックが決まり続けるとそれが自信につながり、キックだけではなく他のプレーも良くなっていきます」と胸を張った。

サンウルブズは勝ち点4を重ねて総勝ち点6に、勝ち点を取れなかったレッズは総勝ち点17のままとなった。

ハイランダーズでジョセフHCの下でプレー経験もあるレッズのソーンHCは、「もともと(サンウルブズは)コーチ陣素晴らしさや、普段のラグビーを見て値する力持っていると思っていたが、それがなかなか結果に結びつかないシーズンをずっと過ごしていたと思います」。

「逆にレッズは厳しい結果です。我々の選手も一丸でよくやったが、サンウルブズはブレイクダウンが非常に良かったという印象です」と相手を称えた。

会見で質問に答えるSH流キャプテン

今季初勝利を挙げたサンウルブズのSH流キャプテンはまず「勝ってみなさんの前で報告できることを嬉しく思います」。

「ファンも含めて、苦しい時も応援し続けてくれたおかげで、こうやって僕らもパワーをもらい勝つことができました。サンウルブズに関わっているすべての人に感謝したい」と謝辞を述べた。

ゲームに関しては「今までのサンウルブズは、途中が良くても最後に離されたり、トライを取られたりして勝利に結びつかなかった」。

「だが、今日もソフトなトライがあったが要所、要所でチームがコネクトして、次にやることを明確にしてゲーム続けることができた。自分たちのゲームプランを遂行して、こういう結果になりました」と振り返った。

選手と談笑し、笑顔のジョセフHC

ジョセフHCは、「コーチとしてはサプライズとは思っていない。ここまでチームは発展を遂げてきた。ニュージーランドでもいいゲームをしていたし、成長していたと思いますが、なかなか勝ちきることできなかった。今日は選手たちが集大成を出してくれた」と満足げな表情を見せた。

さらに「タフなとき、厳しい期間が続き、負けが込むと選手たちの自信喪失につながるが、そういう苦しいときでも、試合の次の日にしっかり反省して、検証して、次の試合の勝ち方を考えていく姿は感心していました」。

そして、「それを流キャプテンを始め、リーダーが引っ張っていた。選手たちを褒めたいと思います」と選手たちを称えた。

長い苦しいトンネルを抜けて、今季初勝利を挙げたサンウルブズにとって、この1勝は大きな、大きな自信になることは間違いない。次戦は5月19日(土)、香港で南アフリカのストーマーズと対戦する。

次戦に向けてジョセフHCは、「待ちきれない気持ちです。今日も暑かったが、次の香港はさらに暑いと思っています。大きな南アフリカ人にとってはかなり苦戦すると思っていますし、我々に有利に働くと思います」と連勝に向けて意気込んだ。

流キャプテンは「勝った試合でも目を向けなければいけないところがある。厳しい目を向けて改善したい。次の試合に関しては、今日のホームでの勝利の価値を上げるためにも、次の試合大事になってくる」と次戦を見据えた。

一昨年は1勝、昨年は2勝だったサンウルブズ。今季のスーパーラグビーは残り6試合、どこまで白星を重ねることができるか、大いに期待したい。

◆サンウルブズvs.レッズ 録画放送
・5月14日(月)午後9:45 J SPORTS 1
・5月17日(木)深夜1:00 J SPORTS 1
※J SPORTSオンデマンドでも配信中

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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