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ラグビー コラム 2018年5月8日

日本のファンに勝つ姿を見せる今季最後のチャンス ヒトコム サンウルブズ vs. レッズ プレビュー

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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挑戦の続くサンウルブズは日本のファンを前に勝つ姿を見せられるか

サンウルブズの今季第10戦目が5月12日(土)、秩父宮ラグビー場で行われる。スーパーラグビー2018のレギュラーシーズンは、7月15日まで行われ、サンウルブズも7月13日まで試合があるのだが、日本で行われるのが今年はこれが最後。ニュージーランド勢とのタフな連戦を終え、一週の休みをはさんでの戦いで、今季初勝利をつかみとりたい。

オーストラリアからやって来るのは、ブリスベンを本拠地とするレッズ。日本代表のツイ ヘンドリック、五郎丸歩が所属したチームとして知られる。レッズは現在、4勝5敗でオーストラリアカンファレンスの3位。今季よりヘッドコーチに就任したブラッド・ソーンは、ラグビーリーグ(13人制)のオーストラリア代表で活躍した後、ニュージーランドでオールブラックス入りを果たし、59キャップを獲得した名LOだ。現役引退後の2015年からレッズの育成部門でコーチを務めてきたこともあって、若手を思い切って起用しながら徐々にチーム力をアップさせている。

第6節のストーマーズ戦からは4連敗を喫したが、第11節で南アフリカの強豪ライオンズを27-22で破った。ボール保持の割合が37%という苦しい試合展開ながら、インターセプトやモールを押し込んでのトライで効率よく得点して切り抜けた。この試合でも抜群のディフェンス突破能力を発揮したのはサム・ケレヴィ(186cm、108kg)。オーストラリア代表18キャップのCTBだ。彼を走らせるとレッズは勢いづく。スーパーラグビー初先発となったSOハミッシュ・スチュワート(180cm、87kg)は、スピードもあり、第11節ではライオンズのディフェンスをあっという間に置き去りにしてトライチャンスを作っていた。ケレヴィと同じくフィジー出身のWTBフィリポ・ダヴングヌ(175cm、91kg)も小柄だが力強い。出てくれば要注意だろう。

本稿執筆時点でメンバーは未定だが、オーストラリア代表86キャップのPRジェームズ・スリッパー(186cm、115kg、28歳)、日本のNECでプレーしたNO8スコット・ヒギンボサム(195cm、110kg、31歳)は怪我のためライオンズ戦は欠場し、逆に37歳のベテランFLジョージ・スミス(180cm、106kg)が復帰。メンバー編成が注目されるが、南アフリカ出身のFLリアム・ライト(193cm、97kg、20歳)、オーストラリア代表の父を持つFLアンガス・スコット=ヤング(194cm、108kg、21歳)など、20歳前後の生きのよい選手も多く、試合を重ねるごとに急速にチーム力を上げる可能性がある。どんなメンバー編成になるにせよ、侮れない。

サンウルブズとしては、ここ数試合の課題であるスクラムを安定させ、ラインアウト、前に出るディフェンスについては引き続きレベルアップさせたい。特にディフェンスについては、激しく前に出るだけではなく、相手に数的有利を作られたときには臨機応変に対応したい。攻撃面に関しては、SH、SO、FBを軸に相手のいないスペースを素早く、いかに突くかの判断を的確に遂行。ここまで9戦では、ミス、反則が即失点につながっており、規律の部分でも成長したところを見せてほしい。

スタッツ(統計数値)で見ると、レッズは9試合で「19トライ」しかあげておらず、これは15チーム中最下位、サンウルブズは「23」で14位。選手がボールを持って前進した距離でも、レッズの3,434mは最下位、サンウルブズは3,534mで14位である。アタック面の数字は両者ともに低く、サンウルブズとしては失点をできるかぎり抑えて勝ち切りたい。日本のファンに勝つ姿を見せる今季最後のチャンスだが、気負いすぎず、準備されたプレーを丁寧に遂行することで初勝利をもぎ取ってもらいたい。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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