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一時はカミナリもとどろく悪天候のなか、昨季王者クルセイダーズを苦しめた。
ニュージーランド(NZ)に遠征中のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは4月21日(土)、クライストチャーチのAMIスタジアムに乗り込み、5勝2敗のクルセイダーズとの遠征初戦に臨んだ。
前節は同じNZ勢であるブルーズと対戦。前半を10-5とリードして折り返したものの、後半は無得点となり、10-24で今季7敗目を喫した。
迎えた第10節は王者クルセイダーズとの敵地戦。
サンウルブズは、共同主将の流大がリザーブ、ヴィリー・ブリッツがNDS(ナショナル・ディベロップメント・スコッド)に合流となったため、今季ここまで獅子奮迅のFLピーター・ラブスカフニがゲーム主将を務めた。
サンウルブズの先発メンバーは前節から6人変更(FW1人、BK5人)となり、フォワード唯一の変更は、現役ジョージア代表のHOジャバ・ブレクバゼ。
全試合出場中のPRクレイグ・ミラー、またLOグランド・ハッティング、FL徳永祥尭、NO8姫野和樹らが前節に続いて先発となった。
5人変更のバックスでは、まずハーフ団がSH田中史朗、SOヘイデン・パーカーという元ハイランダーズ・コンビに。
バックスリーは総入れ替えとなり、NDSから合流のWTB福岡堅樹、海外メディアも注目するWTBホセア・サウマキ、FBウィリアム・トゥポウに代わった。
一方のクルセイダーズは、南アフリカ・アルゼンチンツアーで2連勝したのち、BYE(休みの週)を挟み、昨季は50-3で勝利しているサンウルブズ戦に臨んだ。
クルセイダーズの先発メンバーは、前回のジャガーズ戦から8人変更(FW5人、BK3人)で、うち7人が今季初先発。
フォワードではHOベン・ファネル、LOクインテン・ストレンジ、NO8トム・サンダース、そしてクルセイダーズ指揮官だったトッドを父に持つFLイーサン・ブラッカダーにチャンスが与えられた。
バックスでは元パナソニックの35歳、SOマイク・デラニーが今季初スタメン。
一方でビッグネームも登場し、共に怪我明けであるNZ代表95キャップのPRオーウェン・フランクス、66キャップのWTBイズラエル・ダグがそろって復帰戦を飾った。
挑戦的なメンバーを組んだクルセイダーズだが、全員がラグビー王国NZを生き抜いたラグビーエリートであることに変わりはない。
王者に挑む格好となったサンウルブズはこの日、立ち上がりに苦しんだ。
クルセイダーズは前半1分、SOデラニーが防御網の切れ目を突破し、CTBライアン・クロッティにロングパスを通して先制トライ。
さらに前半9分、サンウルブズはスクラムでのペナルティから自陣ゴール前に後退。
ラインアウトモールでインゴールを割られ、立ち上がりの10分間で14点(2トライ、2ゴール)を失った。
しかしクルセイダーズが直後のキックオフから4連続で反則を犯す。
狼軍団はこのチャンスを逃さず、クイックリスタートから連続攻撃。前半14分に絶好調のCTBマイケル・リトルが左隅にトライ(ゴール失敗)。5-14と点差を縮めた。
直後からAMIスタジアムはひょうや雨が降る悪天候に。
しかし雨でハンドリングによるワイド展開が難しくなったことで、守備ラインを素早く上げる狼軍団のディフェンスが効果的となった。
前半29分にはゲーム主将のFLラブスカフニがピンチでボールを奪取するなど奮闘。混戦模様のまま前半を5-14で折り返した。
後半、サンウルブズが王者を3点差まで追い詰める。
後半1分、SOパーカーがペナルティーゴール(PG)を決めて6点差(8-14)。
プレーに精彩を欠くクルセイダーズを追い立てるサンウルブズは、後半10分に敵陣ゴール前スクラムでペナルティを獲得。
ここでSOパーカーがショットを成功させて、ついに3点差(11-14)に。戦前予想を覆すような戦いを披露した。
ここで勝負強さを発揮したのは、しかしクルセイダーズだった。
後半17分、CTBクロッティがDFライン内側を突破し、この日自身2トライ目をスコア。
後半22分にもDFライン内側に隙を見つけたSOデラニーが、WTBマナサ・マタエレへオフロードパス。独走トライが決まり11-26と突き放された。
ただサンウルブズは最後まで諦めなかった。後半32分には相手キックカウンターからの24次攻撃を防ぎきる。
その後もペナルティが続いたことで自陣に釘付けとなったが、後半38分に相手がノックオンを犯すまでインゴールを割らせなかった。
後半40分にようやく自陣を脱出したサンウルブズ。しかしここでクルセイダーズが右大外で次々とパスをつなげる流石のスキルを見せ、最後は19歳のジャック・ストラットンがトライ。
ゴール成功で最終スコアは11-33。ホームのクルセイダーズが今季6勝目を挙げた。
これで0勝8敗となったサンウルブズのジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、反省を交えつつも「試合の序盤でイージートライを取られてしまいましたが、クルセイダーズに対してプレッシャーをかけ続ける事ができたのは、よかった点だと思います」と手応えも語った。
選手も反省の中に収穫を感じている様子で、この日先発したWTB福岡は「ディフェンスもしっかり声でコミュニケーションがとれていましたし、皆すごく頑張ってくれていたと思います」
「相手に最初にリードされてしまうと苦しい展開になってしまうので、次戦ではまずこちらから得点をあげ、相手を焦らせるような展開に持ち込みたいです」と、次戦への意気込みを語った。
その次戦は4月27日(金)、中5日でNZ北島ウェリントンに移動して相まみえるハリケーンズ戦。
ハリケーンズはここまで6勝1敗で、優勝候補の一角に挙げられている。
昨季王者クルセイダーズと後半途中まで競ったことを自信に変え、NZツアー最終戦でファンに希望を与える戦いを見せたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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