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早いものでスーパーラグビーも後半戦。今週は第10節を迎え、4月21日(土)は、オーストラリアカンファレンス4位&全体12位のレッズ(3勝4敗/勝ち点13)が、ホームにニュージーランドカンファレンス3位&全体5位のチーフス(5勝2敗/勝ち点21)を迎える。
毎年4月25日は、「アンザック(ANZAC)・デー」と呼ばれており、1915年の第一次世界大戦で、トルコで行われた「ガリポリの戦い」で戦ったオーストラリア・ニュージーランド連合軍(Australia and New Zealand Army Corps:ANZAC)兵士の追悼を行う日であり、両国などで休日となっている。
そのため、アンザック・デーを控えて、このオーストラリアとニュージーランドの両チームの戦いは特別なものになろう。
ホームのレッズは、開幕戦でレベルズに敗戦したが、その後はブランビーズ、ブルズ、ジャガーズに3連勝した。
しかし、前節は同じオーストラリアカンファレンス首位のワラターズに黒星を喫し、現在は3連敗と調子を落としており、久しぶりのホームで勝ち星を上げて、再び上昇気流に乗りたいところだ。
一方、ニュージーランドの強豪チーフスは5連勝中だったが、前節、ニュージーランドカンファレンス首位のハリケーンズに13-25で敗戦。5勝2敗となったが、強豪ひしめくニュージーランドカンファレンス内では3位につけており、今年も安定的な強さを見せている。
まずはホームのレッズのメンバーを見てみよう。前節のワラターズ戦から先発を3人変更した。FW(フォワード)はPR(プロップ)タニエラ・トゥポウがケガから復帰。
FL(フランカー)はアンガス・スコット ヤングが、第6節以来のスターティングメンバーに入った。BK(バックス)はトヨタ自動車でもプレー経験のあるSH(スクラムハーフ)ベン・ルーカスが、2週間前のブランビーズ戦の脳しんとうから戻ってきた。
もちろん、ワラビーズ経験者のPRジェームズ・スリッパー、LO(ロック)ケイン・ダグラス、CTB(センター)サム・ケレヴィといった主力もスターターに名を連ねる。司令塔のSO(スタンドオフ)にはキックも上手いジョノ・ランスが入った。
そして、リザーブにはサントリーで活躍して日本のファンにもお馴染みの、オーストラリア代表111キャップのベテランのFLジョージ・スミスが背中のケガから復帰し、今年初めてスーパーラグビーのメンバー入りを果たした。
また、昨シーズンまでトヨタ自動車でプレーし、先週はリーグの「ベスト15」にも選ばれたルーアン・スミスはベンチからのスタートとなった。
レッズはFWが前に出てしっかり相手にプレッシャーを与えること、SHルーカス、SOランスがしっかりゲームを組み立てることができるかが鍵を握るだろう。
さらにレッズにとって、今回のチーフス戦が136年の歴史を誇る、レッズが所属するクイーンズランド協会のラグビー史上通算1000試合目の記念すべき試合でもある。
レッズのブラッド・ソーンHC(ヘッドコーチ)は、「このタイミングでホームに帰って来られたことは非常に良かった。主力も万全で帰ってきたし、まだケガ人もいるが、若い選手にもチャンスが与えることができる」。
さらに「ジョージ・スミスが戻ってきたことで、彼の経験をチームに注入してもらい、相手にとってもブレイクダウンでの脅威になろう。この数週間、私たちの調子は良くなかったし、オーストラリアのチームはなかなかニュージーランド勢に勝てない。タフなチャレンジになるだろうが楽しみにしている」と意気込みを語った。
対するチーフスはFWのみ、4人を変更してアウェイの戦いに臨む。PRはカリ・トゥイヌクアフェ、HO(フッカー)リアム・ポルワート、LOにはタイラー・アードロンが、オールブラックスのブロディー・リタリックとコンビを組む。
NO8(ナンバーエイト)にはピタ・ソワクラが起用され、オールブラックスである共同キャプテンの一人、FLサム・ケインはもちろん7番をつけて先発する。
BK(バックス)はSO(スタンドオフ)ダミアン・マッケンジー、CTB(センター)アントン・レイナート ブラウンの23歳の若きオールブラックスコンビ、そして共同キャプテンのFB(フルバック)チャーリー・ナタイらが前節と変わらず先発し、変更はない。
チーフスとしてはセットプレー、そして接点でFWが上回ることができれば、パスも、ランで仕掛けるのも上手いSOマッケンジーを起点に攻撃ラグビーを見せることができよう。
チーフスのコリン・クーパーHCは、「ブリスベンでレッズと戦うことは難しい挑戦になる。リーダーグループを中心にハードな練習をしてマインドをセットしてきた。レッズはFWもBKもボールキャリーがいるので、なんとか前に出て試合を進めたい。先週の敗戦が良い薬になった」と気を引き締めた。
クイーンズランド・レッズがクイーンズランド協会にとって記念すべき試合に連敗を脱出して浮上のきっかけをつかむか。それとも今年も好調のチーフスがアウェイでも勝利して、上位のハリケーンズ、クルセイダーズについていくことができるか。
熱戦必至のレッズvs.チーフスは日本時間4月21日(土)午後6時45分にレッズのホーム、ブリスベンのサンコープ・スタジアムでキックオフされ、J SPORTS 4で生中継、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
サンウルブズファンにとっても、レッズは5月12日(土)に東京・秩父宮ラグビー場で、相対するだけに見逃せない戦いとなろう。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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