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第19回全国高校選抜ラグビー大会が、今年も3月30日から4月8日まで、2019年ラグビーワールドカップの開催地で「ラグビータウン」、埼玉県熊谷市で開催される。
全国の9ブロック予選を勝ち抜いた27チーム、開催県枠1チーム、そして実行委員会推薦枠で出場する4チームを合わせて、全国32校が参加する。
32チームを4チームずつ、8つのグループに分けて、3月30日、31、4月1日、3日に予選リーグが行われ、各グループの上位1チーム計8チームが決勝トーナメントに進出。
3日に各校の主将が抽選し、組み合わせが決まり、5日に準々決勝、7日に準決勝、8日に決勝が行われる。なお、J SPORTSオンデマンドでは全試合LIVE配信される。
春の選抜大会は冬の「花園」こと、全国高校ラグビー大会の「前哨戦」の位置付けもあり、2014年度~16年度は春と冬の王者が同じ高校になるなど、春に上位に進出したチームは、冬も上位に進出する傾向にあることは間違いない。
昨年度の花園でベスト4に入った東海大仰星、大阪桐蔭(ともに大阪)、東福岡(福岡)、桐蔭学園(神奈川)といった強豪も、もちろん今年も選抜に出場する。
優勝争いは連覇を狙う昨年度の覇者・桐蔭学園、最多となる6度目の優勝を狙う東福岡。昨年度の花園準優勝&今年度の近畿大会優勝の大阪桐蔭、近畿大会準優勝の報徳学園(兵庫)、近畿大会でベスト4に入った奈良の天理、御所実あたりを軸に争われることになろう。
また、今大会は初出場校が6校出場することも特筆すべきだ。東海大会を準優勝した関商工(岐阜)、昨年度の花園で初出場を果たし、今年度の埼玉県の新人戦で準優勝した昌平は開催県枠で出場。
そして、実行委員会推薦枠(東)の仙台工業(宮城)、佐野日大(栃木)、実行委員会推薦枠(西)の関大北陽(大阪)、福岡工業(福岡)の4校も初めて春の全国大会に挑む。
それでは予選リーグのカードを見ていこう。
◆Aグループ:御所実業(奈良)、深谷(深谷)、大分舞鶴(大分)、黒沢尻工業(岩手)
Aグループはやはり、近畿大会ベスト4の御所実業が頭抜けた存在だろう。伝統のモールも相変わらず強く、1年生から活躍しているSO(スタンドオフ)青木拓巳、ケガから復帰してCTBメイン平(ともに3年)らタレントも揃う。昨年度、花園出場を逃した深谷、古豪の大分舞鶴、東北大会準優勝の黒沢尻工業はFWも強く、展開力のある御所実業にどう挑むか。
◆Bグループ:流通経済大柏(千葉)、長崎北陽台(長崎)、関大北陽(大阪)、仙台工業(宮城)
Bグループは、PR(プロップ)葛西拓斗、WTB(ウィング)永山大地(3年)らがおり、関東大会の決勝で桐蔭学園に肉薄した流通経済大柏、九州大会で準優勝し、セブンズのユース日本代表のFB山口泰輝(2年)のいる長崎北陽台の争いか。
選抜大会は初出場ながら、昨年度の花園予選で大阪府決勝まで進み、近年強化が進んでいる関大北陽も実力校だ。同じく初出場の仙台工業は全国の強豪に胸を借りる形になりそうだ。
◆Cグループ:天理(奈良)、佐野日大(栃木)、福岡工業(福岡)、函館ラ・サール(北海道)
Cグループは近畿大会ベスト4、花園も選抜大会でも優勝経験のある、パスラグビーを信条とする天理がリード。FL(フランカー)照井悠一郎主将を軸に2度目の優勝を目指す。
関東大会で國學院久我山を破った初出場の佐野日大、同じく初出場の福岡工大、3度目の出場となる函館ラ・サールの3校は、まず選抜大会での初勝利を挙げて勢いに乗りたいところ。
◆Dグループ:桐蔭学園(神奈川)、関商工(岐阜)、城東(徳島)、札幌山の手(北海道)
Dグループは連覇を狙う、関東大会優勝の桐蔭学園(神奈川)が群を抜いた存在だ。1年生から活躍しているSH(スクラムハーフ)小西泰聖(3年)、WTB谷口宜顕(2年)ら花園で活躍した選手も多い。
初出場の関商工は東海大会準優勝の、城東は四国大会優勝の勢いを選抜大会でも出せるか。北海道の雄・札幌山の手も14年連続出場中の意地を見せたい。
◆Eグループ:中部大春日丘(愛知)、仙台育英(宮城)、尾道(広島)、茗渓学園(茨城)
Eグループは強豪4校が同じグループに入り、予想が難しい組み合わせになった。元日本代表の大籔正光を父に持つWTB大籔洸太(3年)がいる東海大会優勝の中部大春日丘、NO8(ナンバーエイト)高武俊輔(3年)のいる四国大会王者・尾道、関東大会3位でパスラグビーが魅力の茗渓学園、そして東北大会3位の仙台育英と強豪が揃う。決勝トーナメントに勝ち抜けるチームはどこになるのか。
◆Fグループ:東福岡(福岡)、秋田工業(秋田)、東海大仰星(大阪)、昌平(埼玉)
Fグループは最も注目を浴びる組になりそうだが、藤田雄一郎監督がパナソニックに研修に赴き、キックも取り入れているという九州大会優勝の東福岡が優勢だろう。そして、昨年度の花園優勝の東海大仰星は近畿大会5位で、何とか選抜大会に出場。FWが小型化したが、大会中にどこまで成長できるか。
また、モールだけでなく展開ラグビーを指向し、東北大会で優勝した秋田工業はPR金森栄人主将(3年)中心に上位チーム打倒に意気込む。昨年度の花園にも出場して会場を沸かせた昌平は、地元の声援を背に選抜大会でも躍動するか。いずれにせよ楽しみなグループだ。
◆Gグループ:大阪桐蔭(大阪)、日本航空石川(石川)、高鍋(宮崎)、東京(東京)
Gグループは優勝候補の一角、大阪桐蔭を止めるのはなかなか難しいだろう。大阪桐蔭は昨年度の花園でも躍動したSO高木幹也、CTB(センター)松山千大(ともに3年)、FL奥井章仁(2年)ら能力の高い選手も多く、近畿大会優勝の勢いのまま選抜大会でも2度目の頂点に駆け上がるか。
LO(ロック)/NO8アサエリ・ラウシ(3年)がいる北信越大会優勝の日本航空石川、伝統のパス&ランラグビーが持ち味の高鍋、前に出るディフェンスとモールが伝統の東京はどこまで大阪桐蔭に伍することができるか。
◆Hグループ:報徳学園(兵庫)、東海大相模(神奈川)、佐賀工業(佐賀)、新潟工業(新潟)
Hグループは、近畿大会準優勝の報徳学園が一歩リードしている存在だ。主将のNO8福西隼杜、SO森元翔紀(ともに3年)ら昨年度の花園で活躍したメンバーがチームを引っ張る。
1月のサニックスワールドユース予選で優勝し、関東大会でも準優勝した流通経済大柏に善戦した東海大相模、九州大会3位で昨年度はベスト8の佐賀工業の2校も実力あるチームだ。北信越大会準優勝の新潟工業は、FWを軸に勝利を挙げられるか。
予選グループから接戦が予想される試合も多い中、決勝トーナメント進出はどこのチームになるのか。そして、今年は強豪校の実力差がないと言われている中で、選抜大会で優勝し、今年の高校ラグビー界をリードするチームはどこになるのか。
熊谷の桜はすでに満開。桜の花びらが舞う中で、将来、日本代表の「桜のジャージー」を着ることになるだろう若人たちの熱き戦いを熊谷で、もしくはJ SPORTSオンデマンドで目撃してほしい!
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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