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ピックアップ コラム 2021年7月16日

セリーナ vs. 主審

スポーツレポート by 神 仁司
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セリーナ・ウイリアムズ(左)大坂なおみ(右)

2018年9月8日は、日本テニス界にとって、決して忘れられない日である。
大坂なおみ(WTAランキング19位、大会時、以下同)が、USオープン決勝で、セリーナ・ウイリアムズ(26位、アメリカ)を、6-2、6-4で破って20歳で初優勝を飾り、自身初のグランドスラム初タイトルを獲得した日だからだ。

大坂が、大きな目標の一つを結実させ、彼女のテニスキャリアを大きく前進させた瞬間だった。そして、日本テニス史上で男女を通じて初めてグランドスラムタイトルを獲得した選手として、歴史にその名を刻むことになった。同時に、日本テニス界に初めてもたらされたシングルスでのグランドスラムタイトルとなり、長年テニスに携わってきた関係者を大いに喜ばせた。

しかし、あの決勝は、ある出来事によって、後味の悪いものになってしまった。
騒動の発端は、第2セットに入ってから起こった――。
第2ゲーム40-15の時点で、セリーナが帯同するパトリック・モラトグルコーチから彼女にコーチングがあったと主審のカルロス・ラモスがみなし、セリーナは1回目のコードバイオレーション(警告)を受けた。

さらに、第5ゲーム後に、セリーナがラケットを壊したため2回目の警告で、ポイントペナルティとなり、第6ゲームは大坂のサーブが15-0から始まった。
そして、第7ゲーム後に、ベンチからセリーナが、ラモス主審に向かって、「嘘つき!」、「泥棒!」などと暴言を吐き続け、3回目の警告を受け、ゲームペナルティとなり、大坂のゲームカウントが4-3から5-3になった。

グランドスラム優勝23回を誇るセリーナは、母国アメリカでのUSオープンで24回目のグランドスラムタイトル獲得を期待されていた。セリーナを応援するニューヨーカーは彼女への処置を不服として、ラモス主審や大会関係者らにブーイングを浴びせる異常事態になった。

そんな過酷な状況下でも、落ち着いてプレーできるメンタルの強さを見せた大坂が、試合には勝ったものの、表彰式でもブーイングは起こり、大坂は涙せずにいられなかった。
セリーナによる一連の騒動が無くても、実力的に大坂が勝っていた試合だったが、セリーナサイドやアメリカ人たちは女性差別まで持ち出して、ラモス主審の対応を非難した。

果たして、ラモス主審の判断は適切だったのか。セリーナの抗議は妥当だったのか。番組では、往年の名プロテニスプレーヤーで、現在はテニス解説者を務めるクリス・エバート(アメリカ)をはじめ、さまざまな関係者からの証言を得ながら、検証を進めていく。ぜひ、「セリーナ vs. 主審」を見て、あなた自身も判断を下してほしい。

文・写真/神 仁司

神 仁司

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)勤務の後、テニス専門誌の記者を経てフリーランスに。テニスの4大メジャーであるグランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材している。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材も行っている。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。国際テニスの殿堂の審査員でもある。著書に、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)がある。ITWA国際テニスライター協会のメンバー。

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