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モーター スポーツ コラム 2024年12月28日

小暮卓史&元嶋佑弥(No.88 VENTENY Lamborghini GT3)「みんなありがとうっていういろんな感情が一気に出てきた(元嶋)」 | SUPER GT 2024 第5戦(最終戦) 鈴鹿サーキット【SUPER GTあの瞬間】

SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子
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小暮卓史&元嶋佑弥(No.88 VENTENY Lamborghini GT3)「みんなありがとうっていういろんな感情が一気に出てきた(元嶋)」

小暮卓史&元嶋佑弥(No.88 VENTENY Lamborghini GT3)

「あのとき、何があったの?」__ レースウィークの出来事、ドライバーに話してもらいたいと思いませんか? タフなレースを終えたドライバーに改めて話を聞く「SUPER GT あの瞬間」。2024年シーズンもレースの舞台裏に着目し、ドライバーの気持ちをコラムでお伝えします!

No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が逆転チャンピオンをかけて臨んだ最終戦鈴鹿。ランキング暫定トップのNo.65 LEON PYRAMID AMGトップとの差は11点。実力伯仲の戦いが予想されるなか、まず88号車は予選でポールポジションを獲得、その差を8点に縮めて最終決戦を迎える。すると、決勝では緊張みなぎる状況をものともせず、圧倒的な速さを披露してポール・トゥ・ウィンを達成!チーム悲願のチャンピオンを獲得した。 大舞台に挑み、晴れて王者となった小暮選手、そして元嶋選手に戦いを振り返ってもらう。

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── チーム悲願のGT300クラスチャンピオンとなりました。タイトル獲得からおよそ2週間(※)経ちましたが、もう気持ちは落ち着きましたか?
※ インタビューは12月20日に実施

小暮卓史(以下、小暮):レースのあと、結構忙しくて。チームの祝勝会はあったんですけど、忙しくしてたので……お祝いはいっぱいしてもらっているんですが、徐々に徐々に実感しつつあるかなっていう感じですね。

元嶋佑弥(以下、元嶋):そうなんですよね。僕もレース終わった当日にチームで祝勝会をやって、その翌日、出張前に家に帰っただけで、そこからまだ僕は家に帰れてなくて。昨日は(SUPER GTのシリーズ)表彰式でまたチームのみんなと顔合わせて……という感じで、もうバタバタです。正直、早く家族でゆっくりしたいなぁと思ってるんですが(苦笑)、まぁ見てのとおり(※)、今、走行を終わって(クルマから)降りてきたばっかりなんです。今週もレースで。なので、なかなかゆっくりできてないんですよね。
※ 富士スピードウェイで開催されるインタープロトシリーズ・CCSRクラス参戦のため、この日はプラクティスセッションに出走。

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小暮卓史&元嶋佑弥「みんなありがとうっていういろんな感情が一気に出てきた(元嶋)」

── 11点差で臨んだ最終戦では、ポール・トゥ・ウィンを飾って逆転王者となりました。実現できた要因を分析していただけますか?

小暮:まず、クルマの速さがすごくあったことと、タイヤのパフォーマンスもすごく良かったところですね。あと、僕たちドライバーはいつもベストを尽くしてますし、チームもいい仕事をしてますが、(レース時の)状況……気温だったりタイヤのマッチングとか、そこら辺もすごく良かったのは間違いないですね。

元嶋:クルマは以前から勝てるポテンシャルはあったと思うんです。それにプラスして、僕は、昨年の最終戦で勝ったことでチームがすごく地に足ついてレースできるようになったなぁと一番感じます。やっぱり、一勝したことによるチームメンバーひとりひとりの自信だったり、伊与木(仁チーフエンジニア)さんの機転の利く経験値……その辺が大きいのかなと。チームがどしっと構えてくれてると、ドライバーもドライビングに集中して走れるので、本当に今年はみんなが良い相乗効果を生むような雰囲気があったと思います。

── チーム悲願のタイトル獲得を果たしたあと、則竹功雄オーナーとはどのような会話をしたのですか?

小暮:特に則竹さんとふたりだけで話をしたっていうのはないんですけれど、でも、ひと言ふた言会話を何回かするなかで繰り返し言っていたのは、『(タイトルを)獲れると信じていた』と。ここまでうまくこういう形になるとは思ってなかったけど、こうなるんじゃないかと信じていたっていうようなことをおっしゃっていましたね。則竹さんのそういう“パワー”じゃないですけど、そういう“思い”がやっぱり少なからず影響したところもあったと思うんですよね。則竹さんの意思の強さというか、その思いがやっぱり僕たちドライバーやチームに伝わるところがあると思いますよね。

元嶋:特別ゆっくり喋ることはなかったんです。則竹さんって、初優勝したときも、『良かったなぁ。じゃあ帰ろっか!』って感じで結構ドライなんですよ。で、最後は『解散!』って(笑)。こっちは、気持ち的に“わぁー、やった!うれしい!”っていう感じなのに、『じゃあ帰ろっか』って(笑)。毎回、それが意外な感じでした。一方で、チャンピオンを獲ったあとの影響がすごく大きくて。もう行くところ行くところで声をかけてもらったりしています。昨日の(SUPER GTの)表彰式でもたくさん則竹さんが表彰されましたが、『やっぱりチャンピオンって違うんだなぁ』とずっとおっしゃっていましたね。そういう話をしているなかで、ちょっとずつお互い実感が湧いてきたのかなという感じです。僕らドライバーに対して、則竹さんから何か言葉があったわけではないんですけど、今、一緒に(喜びを)噛み締めてるような感じですかね。

No.88 VENTENY Lamborghini GT3

No.88 VENTENY Lamborghini GT3

── 逆転チャンピオンのシナリオは、やはり小暮選手のQ1でのトップタイムから始まったように思います。3番手だった公式練習からQ1に向けて、なにかされたのでしょうか?

小暮:フリー走行(公式練習)で乗ったときから、クルマのパフォーマンスはある程度確認できていました。どっちかというと路面がどんどん良くなっていく予選に(クルマやタイヤが)マッチングしたんじゃないかな。一旦、セッティングを変更したんですけど、また戻して、どちらかというと走り出しに近いような状態で予選には挑みました。本当にクルマのパフォーマンスがすごく高かったですし、自分も大きなミスなく走れました。結果的に良かったんじゃないかなと思いますね。

── Q1トップタイムを受け、元嶋選手がQ2を担当。相当プレッシャーがあったのではないですか?

元嶋:僕、基本的に予選とかまったく“緊張しない人”なんですよ(笑)。何にも気にしてないだけだと思いますけどね。本当にレースのなかで緊張することってないんで。あんまり考えても結果が変わらないから、“まぁいいや”っていう感じで気楽にやってます。いつも平常心で走れるし、今回も緊張はしてないんですけど、さすがにちょっと“本気で決めなきゃ”っていうのがありました。なので、いい意味でいつも以上にすごくいい緊張感をもって集中できた予選だったと思います。フリープラクティス(公式練習)から、もう小暮さんにクルマ(のセットアップ)を完全に任せていたし、チームから『クルマ、どう?』って聞かれても、『うーん、わかんないです。小暮さんと話してください』っていう感じだったんですよね。Q1で小暮さんのタイムを見て、『あ、これはポール(ポジション)が獲れる』って、もう手応えがありました。だから、あの状況で自分が小さくまとまることもできないし、ミスもできないといういい緊張感を持ってQ2に入ることできました。その相乗効果によっていい緊張感を持って走ったことがいい方向に向かい、(Q1、Q2の合算タイムで)ポールポジションが獲れたと思います。

── だとすれば、今シーズン2度目となるポールポジションスタートに向けて、一番最後にダミーグリッドに向かうときも緊張感はなかったのですか?

元嶋:まったく!(笑)。むしろポールポジションだから考えることがないんで、『よーし、じゃあ気楽にスタートしよう』っていう感じでした。スタート前って緊張というよりも、こういうシチュエーションだったらこうしなきゃとか、いろいろ自分の頭のなかでシミュレーションするんですけど、ポールポジションだとそれがない。もう前だけ見ていればいいんで。逆にスタート前もめっちゃ“お気楽”に『ちょっと楽にレースさせてもらえるといいなぁ』っていう、どっちかというと“他力本願”なほうですかね。周りが楽にレースさせてくれるといいなぁ、みたいな。そういう感じです。

── 小暮選手には、実に頼もしいパートナーですね。

小暮:はい。僕はどっちかというと緊張するほうなんで(笑)。元嶋選手は結構緊張しないって本人が言ってるし。実際のところは、自分のなかにいろいろ“度合い”があると思うのでわからないですけど、まぁでも外から見ててもどっしりしてますし。各々がベストを尽くしているので、その辺はもうまったく心配ない。僕は、『元嶋選手が走るパートはもう必ず大丈夫』といつも思ってやってますね。

── レースでは順調な滑り出しを見せて、クラストップをキープ。一方、65号車が先にピットインしてタイヤ無交換でコース復帰を果たしました。元嶋選手はこの状況を把握していたのでしょうか?

元嶋:僕は無線で聞いたかどうか記憶がないんです。でもまぁ、(65号車が)タイヤ無交換で来ることは間違いないだろうってみんなでもう予想していたんで。ただ、“65号車に対してプラス何秒”っていう無線はありました。ギャップは順調に作れてるなぁと思っていたんですが、僕、どっちかというと(ランキング暫定2位の)2号車(muta Racing GR86 GT)があまりにもミラーからいなくならない(離れない)んで、そっちのほうをすごく気にしてて。『いや、これ65号車じゃなくて、ひょっとしたら2号車との戦いになるんじゃないか』って。それもあって、すごくプッシュしましたが、(ピットイン前の)最後の周にGT500クラスのアウトラップのなかに巻き込まれてしまい、1周で多分5秒以上ロスしたんです。僕はあんまりレース中に感情的になることはないんですけど、そこで、『なんでこういうふうになっちゃったんだ!』って、今シーズン初めてちょっと感情的になったかもしれないですね。2号車と一気に差が詰まったので、どちらかと言えば、65号車より2号車のほうが気になっていたと思います。

No.88 VENTENY Lamborghini GT3

No.88 VENTENY Lamborghini GT3

── この状況を受け、小暮選手は第2スティントに向けて何か特別なミッションを託されたのでしょうか?

小暮:交代する前の時点では、想定外のことはなかったですね。順調にギャップも築いてましたし。“対65号車”というところで見ると、これだけ(のタイム差が)あれば、(作業後は)ギリギリ(65号車の)前でピットアウトしていけるんじゃないか、という思いがありました。ただ、総体的には88号車のほうが速かったと思うんですけど、やはり2号車のラップタイムペースがすごく良くて、パワーというか速さを垣間見ることができたので。(タイヤ無交換の2号車がピット作業で)前に行くのはもちろんわかっていたんですけど、(自分たちが)トップに立たなくちゃいけなかったので、厄介な感じになるなっていうことはすごく感じていましたね。

── ただ、実際の「小暮劇場」は、まずNo.31 apr LC500h GTをパスし、次は2号車をロックオン。心境的には“絶対、仕留められる”という感じでしたか?

小暮:僕のスティントで懸念していたのは、若干早めにピットに入ってきたことでした。その結果、(小暮が担当する)後半がロングスティントになるんで。ラップタイムも良かっただけに、やっぱりタイヤの負荷が非常にかかるんですよ。グリッグ感はそこそこあったんですけど、速いラップタイムだとタイヤへの攻撃性がすごく強くなると思っていたので、ある程度プッシュしていたものの、“なるべく負荷をかけず、無理せず、だけど速く走る”という感じでした。やはりプッシュしたあとはタイヤ(グリップ)の落ちをすごく感じましたが、そういったなかでも最後までタイヤに余力があったのは、(リヤタイヤ2本を)交換したから。周りのライバルは(タイヤ)無交換をチョイスしていたので、こちらとしては非常に有利な展開でレースすることができました。

── 小暮選手がバトルを展開する様子は、元嶋選手にとっても気になっていたところですよね!?

元嶋:毎回そうなんですけど、(クルマを)降りてからのほうがツラいんですよ(笑)。走ってるときは自分のことは自分でマネジメントできるけど、あとのことは自分じゃ何もできない。祈ることしかできないので。今回も降りてから、『ポジション的によくないなぁ、2号車が思ったより前に行っちゃったなぁ』と思って。(自身のスティントで)乗っていた感じからしても、ペースを刻むには2分00秒前半から中盤が限界かと思っていたし、小暮さんは(リヤタイヤ)2輪交換でもっとツラい状況で走っていて、2分1秒台ぐらいで周回していたので、『あぁこれ、もうツラいんだろうなぁ。今年(のタイトル獲得)は僕らに厳しいかなぁ』って、気持ちとしては諦めムードが僕のなかでもあったんです。だけど、『なんか起きないかなぁ』って思ったりもして、『31号車とちょっとずつギャップは縮まってる。でも時間は足りないよなぁ』とか(感情が揺れていた)。でも、ドライバーの感覚で言うと、“このギャップぐらいになったらそろそろ見えてくるんじゃないか”っていうのがあって、『小暮さん、そろそろ31号車が見えるぐらいのところに入ってきたかな』と思ってセクタータイムを見ていた瞬間、(自己ベストタイムを示す)緑マークがつき始めて。『あれ? 小暮さん、なんかスイッチ入ったぞ』と。もうそこから(1分)59秒台とかで走り始めて(笑)。『これだ! このペースだったらいける(逆転できる)!』と、逆にそこでもう一回チームみんなのテンションが上がって、“小暮さん応援ムード”に急に変わりました。小暮さんのゾーンに入った瞬間っていうのが、見ている側も共有できたんです。いつもだったら『レース、早く終われ』って思ってるところが、逆に『やべぇ、これ時間足んねえ。レース、長くなれ!』と思ったり。でも思ったよりあっさりトップに立ったので、そこからは『早く終われ!』にまた変わって。もう本当、チームみんなで大忙しでした。

── 65号車の結果次第でタイトル獲得が決まる形でしたが、最終的には逆転チャンピオンを達成。小暮選手はいつ知ることとなりましたか?

小暮:いや、あの、僕は実はわかんなかったんですよ。ずっと(苦笑)。(レース)走行中は、何度か『65号車は、まだ4位』っていうのは聞いてたんです。ただ、“まだ”っていう言葉がすごく引っかかっていたんですよね。で、プッシュしたあとはタイヤがすごく垂れてくるのでグリップ感も随分落ちていたし、抜いたあとはまた“セーフモード”で走ってたんですね。走ってるほうとしても、何かあったらイヤだし、もうとりあえず早く抜いてトップに立ったので、『(レースが)終わってほしいな』って。それと同時に、65号車のポジションがすごく気になっていたんですけど、チェッカーを受けて“優勝だ!”ってなったときに、僕は(タイトル獲得が)まだわかってなかったんです。で、『(タイトルを獲れたのか)どっちなんですか?』っていうのを何度か聞いてたんですけど、チームでは……(逆転チャンピオン決定に)盛り上がったので、なかなか返信がね(苦笑)もらえなかったんですよ。

元嶋:そっか。それはひどい。

小暮:そう。それでちょっとしてから何度も聞いて、やっと(返事が)帰ってきて。『チャンピオンだよ』って言われて『やった!』ってなったんですよね。

元嶋:全部知らなかったです。確かにピットは……“わちゃわちゃ”だったんで。一番がんばった小暮さんに、それはちょっと申し訳ないです。

小暮:あっはっはっ。しょうがないけどねぇ(苦笑)。

涙を流す元嶋選手の肩を抱く小暮選手

涙を流す元嶋選手の肩を抱く小暮選手

── 印象的だったのが、クルマをパルクフェルメに停めたあとのふたりのうれし涙の姿でした。なにか言葉は交わしましたか?

小暮:もうね、元嶋選手は言葉になってなかったですから(笑)。相当泣いていて。でも、(様子を見て)感動しましたね。チームメイトとしてずっとやってきたし、そこまでこのレースに思いがあるんだと。まぁ自分もそうなんですけど、チャンピオンっていうのは、やっぱり“思い”の結果ですよね。すごく大きいというか。それを見て、僕もやっぱりうれしくなりました。ガンガン泣かなかったですけど、すごくウルっときたのを我慢しながら、同時にうれしさも……。これ、やっぱりチャンピオンを獲った人でないとわからないような、ちょっと特殊な気持ちというか。で、ふたりで顔を合わせて、“良かったね”って、もう目ですぐわかる感じでしたね。

元嶋:パッと(コンビを)組んで、はい、勝ちました、チャンピオン、獲りました! っていうコンビ、チームではなかったので。組んだときから手応えはあったんで、最初から速いチームだというのはわかってたんですけど、やっぱりいろいろ噛み合わないところが多くて。みんな勝つために、チャンピオンを獲るためにやるなかで、僕らも同じように人生かけてやっているんですが、それが結果として形に残った瞬間は、本当に言葉じゃ言い表せないです。(タイトル獲得したときは)安堵感ではないんですけど、やってやった! っていう気持ちと、チームのみんなへの感謝の気持ちとか、いろんな気持ちが入り乱れて。小暮さんの言うように、僕も言葉に詰まっちゃってたな。なんて表現していいかがわからなくて……っていうぐらいうれしかったです。ほんと不思議なんですよね。うれしいけれど、“みんなありがとう”っていう感じのいろんな感情が一気に出てきましたね。

── コンビを組んで掴み獲った逆転でのタイトルですが、今、改めてお互いパートナーに伝えたいことは何でしょうか?

小暮:僕としては元嶋選手(の存在)がモチベーションになっているところでもあるんですよね。やっぱり負けちゃいけないっていうか。レーサーをやる上で、年代によって多分いろんな目的があるし、いろいろな役割もあると思うし、立ち位置によっていろいろ違うと思うんですが、やっぱりSUPER GTを楽しみたいと思ったときに、僕は速いドライバーと組んで切磋琢磨することが面白さでもあると思っているんです。もちろん、苦しいところもあるんですけどね。そういう意味で言えば、(元嶋は)ものすごく僕に刺激を与えてくれる存在なので、感謝してます。決して“上から目線”じゃなくて、僕が追いかけることのほうが多いんですよ(笑)。そういう意味でも感謝してます。さっきも話が出ましたが、長かったんですよ、この5年間っていうのは。それまでいろいろ紆余曲折あるなかで獲った(タイトル)っていうのは、やはり感慨深いものがある。だから、ひと言で言うならば、“お疲れ様”と(タイトルが獲れて)“良かったね”っていうのが心からの言葉ですかね。

元嶋:僕、(コンビを)学生時代とかにテレビの前で見てたスター選手(小暮)とチームを組ませてもらうってなったとき、『小暮さんって難しい人なのかな?』と思ったんですよね。『どういう人なんだろう』って。それまで接点もなかったので。『やっぱりトップドライバーだから、ストイックで難しいとこあるのかな?』とか思ってたのに、一緒に組み始めたときから、どちらかというと僕が良くなるように『ニュータイヤ使っていいよ』とか、いつも僕を優先してくれてやってくれて。そうなると、自分もやっぱり小暮さんのことを考えながらレースだったりテストを進めていくことになっていきました。多分、小暮さんの人柄だと思うんですけど、小暮さんのおかげで、チームの雰囲気作りもそうですが、相方(元嶋自身)にも気持ちの余裕を生ませるんだって、すごく勉強になって。なので、相方より速く走らなきゃ、とかそういう変なプレッシャーもないです。もちろん、足を引っ張ることは絶対にできないと思っていて、小暮さんのドライビングをいつも見ながら自分を追い込んでいる部分もあるんです。それが小暮さんと組んで僕が一番勉強になったことかなと思います。スピードはもう皆さんご存知の通りだし、文句もないです。個人的に言わせてもらえるのであれば、『まだまだこれからもよろしくお願い致します』と。学びたいこともたくさんありますし。結構、小暮さんと海外レースも一緒に行ってたりしてるので、これからもまた一緒にチャレンジできたらうれしいなと思います。

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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