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モーター スポーツ コラム 2024年12月3日

SUPER GT第5戦(最終戦)プレビュー 真冬のシーズンラストレース タイトルはどのチームに!?

SUPER GT by 島村 元子
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前回の第7戦もてぎでシーズン2勝目を挙げタイトル獲得が色濃くなった36号車(坪井翔/山下健太)

立冬からまもなく一ヶ月。朝晩はすっかり気温が下がり、寒さが身にしみるようになってきたが、そのなかでSUPER GTの今シーズン最後の戦いが鈴鹿サーキットで開催される。チャンピオンタイトルがかかる重要な一戦は、開幕戦以来のノーウェイトでの戦い。シーズン集大成のパフォーマンスを披露すべく、ドライバーたちが渾身の戦いを繰り広げる!

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・例年とは異なる最終戦

2024 SUPER GT第5戦「SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL」として開催される今大会。全8戦で開催されるシリーズ戦の最終戦にもかかわらず、なぜ”第5戦”となっているのか。元はと言えば、8月31日、9月1日に開催される予定が、折しも台風10号接近による影響を受け、あいにく延期になったためだ。結果、厳しい残暑から一転、冬空の下での戦いが待ち受ける。ちなみに、SUPER GTでは、シリーズが始まった2005年以降、11月中に全イベントを終了しており、12月開催は初めてのこと。また、近年、最終戦の舞台はモビリティリゾートもてぎや富士スピードウェイだったが、今回は鈴鹿。2005年以来の開催となる。予測不能な決戦に向けて、各チームはどのような戦略をもって臨むのだろう。

12月の鈴鹿といえば、例年スーパーフォーミュラのオフシーズンテストが実施されるタイミング。日中、日差しに恵まれたとしても日照時間が短いため、確実に気温や路面温度が低いなかでのレース開催になる。また、晴れていても鈴鹿山脈から伊勢湾へ向けて”鈴鹿おろし”と呼ばれる強い北風が吹き抜けることがある。余談だが、体感的にはかなり寒さを感じやすいため、観戦には十分な防寒対策をお忘れなく。

開催が夏から冬へと時季が変わっただけでなく、レースフォーマット等も一部変更された。もともと350kmだったレース距離は、検討の結果300kmに。これは、日没や気温の低下を考慮してのこと。遅くとも午後3時半までに決勝を終えるべく、短縮に至ったようだ。また、タイヤの持ち込みセット数においては、安全性の確保から通常の4セットから5セットへ。一方、タイヤウォーマーの使用は見送られることになった。使用についてはチームからのリクエストも少なくなかったと聞くが、この件に関して、第6戦SUGOに開催されたGTA定例記者会見において、GTアソシエイションの坂東正明代表がチームによって所有の有無、所有していたとしてもその性能に違いが生じる可能性があることなどを挙げ、公平性を保つために使用を認めないとコメントしている。これを受け、低温度コンディションでのタイヤのウォームアップを考慮し、公式予選の各セッションは従来より5分間延長して実施されることになった。さらに、GT500クラスのタイヤが温まりにくいという観点から、通常は先に行なうGT300クラスに代わり、GT500クラスから各セッションをスタートさせる。Q1からQ2にかけて、徐々に気温および路面温度が下がっていく難しい条件下に見合うクルマを用意する必要があるため、タイヤの見極めをはじめ、エンジニアの腕もいつも以上に試されそうだ。

そのなかで予選の見どころを挙げるとすれば、コースレコード更新の可能性になるだろうか。気温が下がる冬場はたくさんの空気を吸い込んで、エンジンパワーが出やすくなる。結果、ラップタイムが上がるのではないかと言われている。最終戦につき、原則、レース結果によって搭載されてきたサクセスウェイトも撤廃され、開幕戦同様のノーウェイトでのアタックとなる。さらに、今シーズン後半戦からはニュータイヤの使用ルールが見直されたため、Q2でもニュータイヤの装着が可能になった。Q1、Q2ともにノーウェイトの状態でアタックができるドライバーにとっては、”未知の領域”へと挑むチャンスが到来したことになる。まずは、公式練習でのラップタイムの推移をチェックし、予選の”アタック合戦”に期待したい。

・気になるタイトルの行方は

タイトル獲得の可能性を残している88号車

前例のない12月開催の鈴鹿は、当然のことながらシリーズチャンピオンが確定する一戦でもある。GT500クラスでは、前回の第7戦もてぎでシーズン2勝目を挙げたNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)のタイトル獲得が色濃くなった。とはいえ、レースは”水もの”。チェッカーを受けるまで何が起こっても不思議ではなく、予測不可能だ。2020年シーズンには、最終戦を勝利すればタイトル獲得という流れのなか、ゴール直前でトップを快走するクルマにまさかのトラブルが発生、大逆転劇が起こった事例もある。今年は、36号車がランキング2位のNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)に対して18点の差をつけているとはいえ、万全を期して鈴鹿に臨むことに違いはない。もちろん、100号車やランキング3位のNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)もシーズン初優勝の達成を兼ねて、そして同4位のNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)も僅かながら勝負権があるため、最終決戦で起死回生を狙って奮励努力することだろう。

一方、GT300クラスは、第4戦富士と第6戦SUGOで連勝(第5戦鈴鹿は延期)したNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)がランキングトップにつける。これに、11点差でNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が続く。ランキング3位のNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)はトップと20点の差があるが、タイトルの可能性は残っている。そのなかで勢いがあるといえば、88号車か。第2戦富士での勝利後、第7戦オートポリス、第8戦もてぎで連勝する健闘を見せている。一方、開幕戦岡山で待望の勝利を遂げた2号車だが、その後はあと一歩歯車が噛み合わず、65号車と88号車に対して少しずつ遅れをとってしまったことが結果に響いている。いずれにせよ、鈴鹿では締めくくりにふさわしい力走を見せることができるか否か、いずれのチームも総合力の高さが勝敗のカギを握ることになるはずだ。

さまざまなドラマを生み出してきた2024年シーズンのラストレースとなる鈴鹿では、いつもと異なるコンディションのなかでどのようなエンディングが待ち受けるのか。楽しみは尽きない。

■ドライバーからひと言!

蒲生尚弥(No.65 LEON PYRAMID AMG)

今シーズンは、予選方式やルールが変更されるなか、序盤から結構安定したパフォーマンスを見せられたことは良かったと思います。12月の鈴鹿での戦いは、どのチームにも言えることだと思いますが、とにかく寒い時期でのレースを経験していないので、タイヤのチョイス含め、クルマのセッティングも未知数。まさにぶっつけ本番という感じですが、そのなかでいい準備をして臨むことが大事だと考えています。

レースでのタイヤ無交換はこれまでもやっていますが、今回も出来るならやりたいですね。まずは公式練習でしっかり確認することになるでしょう。サーキットにお見えになるお客さんには、各チームがどんな走り方をしているか、チェックすることをオススメします。ずっとタイヤを替えずに走っているな、とか、ピットインしてタイヤ交換しているな、とか。それぞれどういうタイヤ選択するのか、それを見比べるのも面白いと思います。

寒いなか、気温が下がればタイヤのグリップが上がるので、1〜2コーナーやS字ではかなりコーナリングスピードが上がると思われます。GT500クラスだけでなくGT300クラスもスピードアップするので、ぜひアグレッシブな走りを見てほしいですね。予選では、今まで以上のアタック合戦になるんじゃないでしょうか。

僕自身、鈴鹿は好きなコースですし、過去のレース(2017年第6戦)でも優勝しているので、相性も悪くないと思っています。レースでは、いつも周りを意識よりも自分たちができることをしっかりやりきることに目標をおいて取り組んでいます。鈴鹿はシーズン最後のレースなので、タイトル争い含めライバルも気になりますが、まず自分たちの力を出し切るというか、100%のレースをしたいと考えています。

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文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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