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高星明誠(No.3 Niterra MOTUL Z)「僕たちにとって上出来な週末になった」 | SUPER GT 2024 第7戦 オートポリス【SUPER GTあの瞬間】
SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子高星明誠(No.3 Niterra MOTUL Z)
「あのとき、何があったの?」__ レースウィークの出来事、ドライバーに話してもらいたいと思いませんか? タフなレースを終えたドライバーに改めて話を聞く「SUPER GT あの瞬間」。2024年シーズンもレースの舞台裏に着目し、ドライバーの気持ちをコラムでお伝えします!
土曜日に実施予定だったセッションが悪天候によって延期され、日曜日にはワンデーレースとして朝から予選、そして午後に決勝を行なった第7戦オートポリス。短期決戦を強いられたドライバー、チームスタッフは疲労困憊だったに違いない。そのなかで自分たちのアドバンテージを最大限活かし、かつレース中の流れを上手く引き寄せたチームがある。それが、No. 3 Niterra MOTUL Zだ。予選5位から3位フィニッシュしたその“背景”を、高星明誠選手に語ってもらった。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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SUPER GT 2024 第8戦 モビリティリゾートもてぎ 予選
配信期間 : 2024年11月2日午後1:50 ~
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SUPER GT 2024 第8戦 モビリティリゾートもてぎ 決勝
配信期間 : 2024年11月3日午後0:30 ~
── オートポリスを3位表彰台で終え、シリーズランキングも5位から4位へ浮上。まず、予選で5番手を獲得しました。
高星明誠(以下、高星):3位表彰台以上を狙わなければ実質チャンピオン争いから脱落してしまうと思っていたので、レースウィークが始まる前から、ここが正念場だと思い戦いに臨みました。一方、僕たちは2段階分の燃料リストリクター(燃料流量リストリクター径の調整)が入っているので、すごく厳しい状況で高い目標を掲げているということも分かっていました。とは言え、結果を出したかったので、『何がなんでも表彰台を獲らなきゃいけない』と、強い気持ちでチームと一緒にレースに取り組みました。その甲斐あって、落ち着いてチームとも連携が取ることができ、予選は荒れたコンディションでしたが5番手という順位を獲れたので良かったです。『よくできたな』というのが、予選後の気持ちでした。
── 今回、予選と決勝を1日で行なうワンデーレースになりました。レースに向けていろんなものを組み立てていくなか、何が難しかったですか?
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高星明誠選手「僕たちにとって上出来な週末になった」
高星:特段難しかったというものはないですが、やっぱり予選は、路面が濡れているコンディションでスリック(タイヤ)を履かなきゃいけなかったので、そこでクラッシュしてしまうとすぐあとの決勝に間に合わない可能性があることと、僕たちは表彰台を獲らなきゃいけないから(予選で)前に行かなきゃ、という狭間で、精神的なコントロールが難しかったかなとは思いました。
── レースに向けて、チームミーティングではどのような話になりましたか?
高星:“3位表彰台以上”……っていうのは、僕が個人的に思っていたことで、そういう気持ちでいるのを(コンビを組む)三宅(淳詞)選手には伝えてましたが、チームに言ってたわけではありません。チームの雰囲気としては、“絶対獲らなきゃ”という感じではなかったですね。ただ、チームミーティングでは、今持ってるもののなかでやれるだけのことはやろう、と(話した)。(ランキングを争う)ライバルは、速くて僕らよりもポイントも多く持ってる。だからこそ、彼らよりも絶対前でゴールしようという話だけでした。
──ダンプコンディションで予選セッションがスタート。30分間の計時予選は、どうアプローチしたのですか?
高星:一度様子見のタイムアタックをしました。次に着けるタイヤを再びレインにするか、あるいはスリックタイヤにするかの選択のためです。僕らよりも早い段階でスリックタイヤに履き替えて、ウォームアップの周回数は結構少ないなかでタイムを出していたチームもいたようですが、それを見て、結構(路面が)濡れていてもタイヤのウォームアップが早いんだと感じました。ただ、チームが落ち着いて対応してくれたおかげで、僕らはちゃんとタイミングを見極めることができたし、適切なウォームアップの周回でアタックもできました。
── 様子を見ていた3号車のファンは、まだタイムが出ていないと心配していたかもしれませんが、チームとしてはシナリオどおりにやることをやってタイムを出した、そんな感じだったのですね。
高星:そうですね。結構待ってる時間はありましたが、トラブルとかセット変更していたわけではなく、単純に(ピットで)待っている時間を長くして、適切にウォームアップをしてアタックしようっていう意図でした。
── いよいよレースがスタート。他車とは装着したタイヤの違いもあってか、序盤に一旦ポジションを下げてしまいました。この理由は?
高星:(前日は雨と霧で)練習走行もできず、何を選んだらいいか正直わからなかったんです。気温や路面温度、練習走行もなく(路面に)ラバーも乗っていないなか、結果的に僕たちのスタートタイヤはスタートのコンディションに合っていませんでした。
── その状況を受け、1回目のピットインを他車より早くしたのですか?
高星:ちょっと厳しい感じだったので、『早めにピットに入りたい』とリスクエストしていました。ただ、燃費のことや、今回は(3時間の)時間レースなんで、スティントの配分としてどこが(ピットインの)一番ベストなタイミングかをチームが考えてくれていました。そんなとき(23周目に)ちょうどSC(セーフティカー)が入ったんで、『SCが数周引っ張ってくれるのであれば、SC明けにすぐ入ろう』となりました。予想外ではありましたが、いいタイミングでSCが入ってくれたので、ギャップが詰まっているなかでニュータイヤの恩恵を受けることもできました。それに、着けたタイヤもコンディションにすごく合っていて。僕らのあと、他のクルマがピットインしてコースに戻りましたが、そのときに僕らは2番手へとポジションを上げることができたので、結果的に良かったと思いますね。
── 中盤は2番手で走行。2回目のピットインは61周終わりでした。
高星:結果的に(2スティントを担当して)1時間55分強走ったので。時間レースではひとり2時間までしか走れないわけで、このタイミングになりました。僕らはファーストスティントが短かったので、セカンドスティントが長くてタイヤの摩耗も結構厳しかったんですが、そのなかでしっかりと耐えて2番手を守り抜くことができたのは、(成果として)大きかったんじゃないかなと思います。
── 三宅選手へと交代したその直後に、レースは3回目のセーフティカー導入となりました。“1周違えば大違い”という状況でしたね。
高星:そうですね。2番手を走っていただけに、あのタイミングでピットに入れていなかったら、致命的なものになったと思います。最初のピットインもそうですが、このときもSCが入ってラッキーでした。僕らがピットアウトした時点でまだSC中のため、周りのクルマはオーバーテイクができないなか、僕らは従来タイムロスするウォームアップを結果的にロスせず済みました。運が良かったなと思いますね。本当に神様に感謝したいぐらい大きな差でした。
── 第3スティントは三宅選手が担当。彼にとってはGT500で迎える初めてのオートポリス戦でした。さらに土曜日は走行がなく、日曜日も予選を走らずウォームアップ走行だけでレースをすることになった三宅選手を、どんな気持ちで見守りましたか?
No.3 Niterra MOTUL Z
高星:もともと彼は結構冷静だし、荒い運転はしないドライバーです。ピットを出るときにSC中だったので、ウォームアップそのものに関しては別に気にしていませんでした。4位でコースに戻り、1台抜けば僕らの目標としていた表彰台……という状況のなかで走りを見ていましたが、ただ、今シーズンは、多分レース中(ポジション争い)に1台も抜いてなかったんじゃないかなぁ、と思って……(笑)。他の誰かが走行中にトラブルでいなくなったりして順位を上げたことはあっても、自力でオーバーテイクをして順位を上げたのは、多分まだ1回もなくて……。そういう意味では、どういう状況であってもオーバーテイクすることが彼の自信に繋がると思っていたので、それができればいいなと思っていました。終盤、長い間、100号車(STANLEY CIVIC TYPE R-GT))の山本尚貴選手にずっと前を塞がれていましたが、1回のチャンスで落ち着いてオーバーテイクできたことは、彼のキャリアにとっても良かったことだと思います。結果的に4位から目標だった3位を引き寄せることができたので、彼のなかでも自信になっただろうし、僕たちにとって上出来な週末になりました。
表彰台で手を振る高星選手(左)
── タイトル争いが絡むなかで迎えるもてぎ戦の目標は?
高星:今、トップ(No.36 au TOM’S GR Supra)と7点差ですが、それが10点差とかになるとちょっとね(状況的に厳しくなる)。(ランキング上位の)36号車、37号車(Deloitte TOM’S GR Supra)、100号車がレース中に作業ミスやドライビングミスでノーポイントになるっていう可能性は考えづらい。つまり、“他力本願”は通用しないので、自力でポイントを重ねてチャンピオンを獲るという意味でも、もてぎでは彼らより前でチェッカーを受けなきゃいけない。これがマストですね。そんななか、僕たちは燃料(流量)リストリクター(径の調整)が入らないクルマとして最上位にいます。確か、(獲得ポイント)が50点から(燃料流量リストリクターが)入るのかな? 僕らは46点なので、燃料リストリクターが入らない。これはすごく大きなことなんじゃないかなと思います。もてぎは“ストップ&ゴー”(のレイアウト)なので、その違いは少なからず出ると思います。今回、意図せずこのポイントになりましたが、(燃料流量)リストリクターが入らない状態でオートポリスを終われたのは運が良かったのかもしれません。 そのもらえたチャンスを活かして、もてぎではトップ3のみんなより前でゴールしたいと思います。
── そのもてぎですが、Zとの相性はどうなんですか?
高星:過去2戦(22、23年)走るなか、速さを見せているので悪くないと思います。ただ、今年は(ライバル勢の)クルマが変わっていますよね!? ホンダはシビックになったし、トヨタはスープラがほぼ新しくなった感じみたいだし。そのなかで僕たちにパフォーマンスがあるのかどうかは、正直走ってみないとわかりません。それに、今年に関してはスープラが6戦中4勝して速さを見せているなかで、もてぎだけ遅いというのは考えづらいですよね。なので、僕たちももてぎとの相性がいいからと言って安心できないとは思います。
── では、最後に。今一番興味・関心のあることは何か、教えてください。
高星:ゴルフですかね。ゴルフクラブを自分で買ったのは2019年ぐらいですが、そこからはあんまり練習してなくて。コロナ明けから真剣にやり始めました。ゴルフを始めたきっかけは、ずっと佐々木大樹選手にやれと言われていたからなんです。ゴルフって“接待”のイメージがあるから、『絶対やらない』って言い続けてたんですけどね(苦笑)。ところが、いざ始めてみたらすごく楽しかったし、奥が深いなと。自分の技量次第でどうにでもなるっていうところもおもしろい。そのせいか、どんどんハマっているところですね。ただ、ハマっているけど全然上手くならないんで、どうしようか悩んでる最中です。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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