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モーター スポーツ コラム 2024年7月25日

SUPER GT 2024第4戦プレビュー シーズン折り返しの一戦 真夏の350kmレースを初開催

SUPER GT by 島村 元子
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今シーズン2回目の富士決戦となるSUPER GT第4戦。

梅雨も明け、夏休み真っ只中に開催されるSUPER GT第4戦富士。今シーズン2回目の富士開催だけに、どのチームも前回のデータそしてこれまでの戦いで掴んだヒントを有効活用し、真夏のレースに挑むことになる。サクセスウェイトが与える影響もあるだろうが、ここぞとばかり強い戦いを見せようと意気込むのは、果たしてどのチームか?

・搭載ウェイトが与える影響は?

現在ランキング1位のau TOM’S GR Supra。

4月に岡山で今シーズンの戦いがスタートしたSUPER GT。6月上旬に行われた第3戦鈴鹿から、ほぼ2ヶ月に渡って”サマーブレイク”となっていた。季節的にはこれからが”暑さ本番”ではあるが、シーズン序盤から好成績を残してきたランキング上位のチームにとっては、搭載するサクセスウェイトの影響を受け、暑さ同様にレース展開でも”ガマン”を強いられる可能性が高そうだ。

GT500クラスでは、ランキングトップ3__au TOM’S GR Supraの坪井翔/山下健太組、Niterra MOTUL Zの高星明誠/三宅淳詞組、そしてDeloitte TOM’S GR Supraの笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組が燃料流量リストリクターの併用が義務付けられる。なかでもランキングトップに立つau TOM’S GR Supraは、いわゆる”2リスダウン”のコンディションとなるだけに、ライバルに比べると、富士特有の長いストレートで肝心のスピードを得ることがより難しくなるはず。リストリクターを併用するチームにとっては、それに該当するウェイトが”相殺”されるとはいえ、やはりガマンの戦いになりそうだ。なお、GT300クラスでは、今大会からサクセスウェイトに関するレギュレーションが一部改訂され、最大サクセスウェイト搭載量の上限が80kgから50kgに。muta Racing GR86 GTの堤優威/平良響組と、JLOC Lamborghini GT3の小暮卓史/元嶋佑弥組の2台がこの対象となる。SUPER GTでは安全性向上策のひとつとしてスピード速度の抑制に取り組んでいるが、サクセスウェイト等で追加される重量が増えて車両過重なのでは、という声が上がっていたとされ、今回の改訂は安全面を鑑みた最善策だと言えるだろう。

・2回目の富士は、スプリントレースに

前回の富士大会の悔しさを晴らしたいAstemo CIVIC TYPE R-GT。

時間制と距離制という、2種類レースを採用する今シーズンのSUPER GT。さまざまなレースフォーマットによる戦いでは、クルマのセッティングやタイヤの使い方、そしてレースペースの配分などを都度考慮した戦略が求められる。もちろん、舞台となるサーキットの特性や開催時期も意識しなければならない。併せて、今シーズンからは新しい予選フォーマットやタイヤレギュレーションも採用されている。各陣営にしてみればすべてが新たなチャレンジであり、これまで収集したデータをどう応用させていくのか、悩ましい状況であることには違いない。

そんななか、第4戦富士では距離制が採用されており、今シーズン初の350kmレースとなる。ちなみに、前年の夏の富士は450kmだった。2023年シーズンでは、開幕の岡山はじめ、SUGO、もてぎの3大会で300kmレースを実施しているが、今大会の”プラス50km”にどうアプローチしていくのか、その点がポイントになってきそうだ。距離的には、ほぼスプリントレースとはいえ、真夏の一戦しかも今シーズンからは予選で装着したタイヤでスタートを切るため、コンディション的にタイヤへの負荷は今までよりも大きい。夏の路面を上手く攻略することが不可欠となる。

一方、シーズンの戦いを重ねてさまざまな条件が増えるなか、これまで序盤の3戦で本来の速さや強さを結果で残せていないチームにとっては、腕の見せどころとなるのが今大会。ライバルよりもサクセスウェイトが軽く、タイヤへの負荷も少ないメリットを活かせるチャンスがついに到来! というわけだ。とりわけ注目したいのが、現在、ランキング8位につけるAstemo CIVIC TYPE R-GTの塚越広大/太田格之進組。前回の富士ではポールポジションを獲得するも、決勝は3位に留まった。この悔しさをバネに、そして安定感ある速さを武器に、シビック・タイプR-GT初勝利を狙ってくるのではないだろうか。なお、トヨタ陣営は開幕戦と第3戦で勝利しているが、ホームサーキット開催の第2戦では、予選、決勝ともにトップ3入りを逃している。今大会ではそのリベンジとなるのだろうか。そして、前回富士では、ニッサン陣営のNiterra MOTUL Zの高星明誠/三宅淳詞組が勝利したが、今回は、MOTUL AUTECH Zの千代勝正/ロニー・クインタレッリ組が気になるところ。富士との相性の良さはもちろん、46kgのサクセスウェイトをものともしない速さを見せる可能性も。いずれにせよ、各チームが立てるスプリントレースならではの戦略にも要注意だ。

とりわけ、GT300クラスでは各チームが車両の特性や強みを活かすアプローチを見せてくるはず。真夏とはいえ、チームによってはタイヤ無交換で大量得点を狙うことも十分想定される。7月14、15日には宮城・スポーツランドSUGOでGTエントラント協会主催のGT300テストが実施されており、ロングランを含むタイヤテストを精力的にこなすチームも多く見られた。テスト2日目の午前中は降雨となり、両日とも酷暑とは言い難いコンディションではあったものの、収集したデータを最大限活用し、富士の戦いに向けて粛々と準備を進めていることだろう。サクセスウェイトを搭載してもなお、速さを見せるチームも多いのがGT300クラスの特徴とも言えるが、そろそろ表彰台を待ちわびるチームが本領を発揮するのが、ここ富士戦ではないだろうか。

参考までに、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が開催された7月下旬、決勝スタート直前の気温は32度、路面温度は45度というコンディションだった。梅雨明け後、レースウィーク中は快晴ともなれば、灼熱の暑さが待ち受ける今回の一戦。このタフな条件をどう戦い抜くか、見どころたっぷりの一戦になるはずだ。

■ドライバーからひと言!

富田竜一郎(No.11 GAINER TANAX Z)

GAINER TANAX Z

僕自身、富士にはよくレースを見に来ましていました。スタートはホームストレートかヘアピンで見届けて、そのあとはセクター3あたりに移動したり、あちこち出かけていました。富士はいろんなところでコースが見られるのが魅力。それに、スタンド裏の屋台やお店も楽しみですよね。今回は暑いなかでのレース観戦になるでしょうが、夏休みだし、家族の皆さんで散歩がてら、いろんな場所に出向いてサーキットを満喫してもらいたいですね。

前回の鈴鹿では、デブリなのか、異物が刺さりラジエターに穴が開くトラブルで完走できなかったのですが、レース自体は周りと比べてもそれなりに速いペースではしれていたのは自分たちにとっても大きな驚きでした。第2戦の富士では、セットアップもままならない状態でまさにぶっつけ本番のレースでしたが、今回は鈴鹿戦、そしてGTエントラント協会主催の合同テストで得たデータをもとにフィードバックして戦うことができると思います。どのくらいクルマがポテンシャルを持っているのか、楽しみでもあります。最後までライバルたちとレースをして、しっかりとポイントを獲れるような戦いがしたいですね。心待ちにしてくださっている皆さんには、カッコよく走るところを見せられるよう、がんばります!

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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