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モーター スポーツ コラム 2024年5月17日

三宅淳詞選手(No.3 Niterra MOTUL Z)「今までのなかで一番うれしいレースになったのかな」 | SUPER GT 2024 第2戦 富士【SUPER GT あの瞬間】

SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子
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三宅淳詞選手(No.3 Niterra MOTUL Z)「今までのなかで一番うれしいレースになったのかな」

三宅淳詞選手(No.3 Niterra MOTUL Z)「今までのなかで一番うれしいレースになったのかな」

「あのとき、何があったの?」__ レースウィークの出来事、ドライバーに話してもらいたいと思いませんか? タフなレースを終えたドライバーに改めて話を聞く「SUPER GT あの瞬間」。2024年シーズンもレースの舞台裏に着目し、ドライバーの気持ちをコラムでお伝えします!

SUPER GT初となる3時間レースが開催された第2戦富士。予選2番手から理想的なレース運びを見せて独走での優勝を果たしたNo.3 Niterra MOTUL Z。三宅淳詞選手にとって、GT500クラスにおけるうれしい初優勝となった。今シーズンから伝統チームで戦うことになったルーキーには、どんな富士戦だったのか。戦いを振り返ってもらう。

── GT500クラスへのステップアップ2戦目にして初優勝。改めて今の気持ちを聞かせてください。

三宅淳詞(以下、三宅):チームも僕も優勝を目指して精一杯がんばっているなか、僕自身、GT500クラスにステップアップして2戦目で優勝できるとは思ってなかったので、正直びっくりしました。シーズン前のテストではドライコンディションが少なくて、今回はドライでしたのでちょっと不安要素も多かったんですが、予選も決勝のペースも本当によかったし、チーム力はじめ、(コンビを組む)高星(明誠)選手のセッティング能力、僕に対してのアドバイスなどにも助けられたと思います。

── 公式練習から調子が良く、チームとしては予選トップを狙っていたと思います。Q2担当の三宅選手のフィーリングはどうでしたか?

三宅:富士(スピードウェイ)でGTAの公式テストが3月にあったのですが、僕はドライ(コンディションでの走行)を担当できず、結構不安要素がありました。でも公式練習の段階でクルマのフィーリングもよく、それで僕自身も攻めることができたので、予選に向けての不安はなかったのかなという印象があります。GT500クラスの専有走行でも高星選手が2番手タイムを出されたので、クルマのパフォーマンスが高いことはわかってました。ユーズド(タイヤ)でアタックすることに関しては違和感なくできるのですが、ただ、やっぱりABS(アンチロック・ブレーキ・システム)や電子制御のアシストがないので、いきなりアタックするのはちょっと難しいという不安は正直あります。でも、高星選手のQ1のアタック終わった後、タイヤの状況であったり公式練習から予選に向けてのトラックコンディションの変化などもしっかり細かくアドバイスしていただいたので、本当に落ち着いて自分の走りができたと思います。

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三宅淳詞選手(No.3 Niterra MOTUL Z)「今までのなかで一番うれしいレースになったのかな」 | SUPER GT 2024 第2戦 富士【 #SUPERGT あの瞬間

── 緊張やプレッシャーもある中で迎えた開幕戦と今回を比較して、ご自身の心境含め、何か変化はありましたか?

三宅:僕自身、開幕戦ではまだGT300車両を抜くという展開を経験しておらず、不安要素もプレッシャーもあって、どうなるのかなっていう感じでした。でも、しっかり完走することができましたし、(6位入賞して)ポイントも獲得することができたので、そういう部分が自信に繋がったのかなと思います。その一方で、開幕戦では悪かった部分もあったので、クルマ、ドライビングも含めて改善した結果、富士では走り出しから手応えはありました。それで、レースウィークを通じて焦ることなく進むことができたのかなと。メンタル的にもよい状態だったと思います。

── 振り返ってみれば、昨シーズンの第4戦富士では(三宅が参戦していたGT300クラスの)244号車で残念なアクシデントがあり、それ以来、チーム参戦が見送られました。悔しい思いから一転、今シーズンは大きなチャンスを掴んで新たなチャレンジに挑んでいます。今回の富士戦で、なにか感じるものはありましたか?

三宅:去年の(第4戦)富士大会では、クルマのトラブルによってそれ以降の参戦がもうできなくなってしまう状況で、本当に悔しい思いをしました。今年は、周りの方のたくさんのサポートがあって、こうしてGT500クラスにステップアップしてレースに戻ってこられたので、やはり早く結果を出して恩返しをしたいという気持ちはありました。なので、去年トラブルがあった富士で今回優勝することができたというのもびっくりしましたし、運命なのかなと思いましたね。

── 予選は日産勢トップの2位でスタート。3時間レースがSUPER GT初でしたが、チームはどのような戦略を立てたのでしょうか?

三宅:3時間レースのフォーマットは初めてでしたが、やっぱり速くないと勝てないので、決勝ペースで速く走ることを追求しました。スタートダッシュもよかったですし、そのあとの高星選手のペースも本当によく、大量リードを築いてきてくれたので、作戦どおりに進んだのかなと思います。その大量リードがあったので、僕自身は本当に落ち着いて無理することなく、例えばGT300車両との接触だったりイエロー無視とか凡ミスなどに気をつけて、落ち着いて走ることができたので……こういう言い方が合っているかどうかわかりませんが、“ラクな走行”ができたのかなと思います。

── ダブルスティントを終えた高星選手から交代し、後半もトップを走るなか、No.23 MOTUL AUTECH Zがジワジワと追ってきました。総合トップの位置をうまく守ることはできましたか?

三宅:チームからも23号車とのギャップ、タイム差の連絡はあったんですが、僕自身、マージンを持って走ってましたし、走り出しの時点で30秒以上の差があったので、追いつかれたとしてもこちらもペースを上げられる状態ではあったと思います。確かにタイムはどんどん縮まってはいましたが、リスクも取らず、焦ることなく落ち着いてレースを進めることができたと思います。

── チェッカーが近づくなか、ご自身の心境の変化はありましたか?

トップチェッカーを受けるNo.3 Niterra MOTUL Z

トップチェッカーを受けるNo.3 Niterra MOTUL Z

三宅:富士スピードウェイはメインストレートで経過時間が見えるんです。チームからも「残り大体何周だよ」と連絡があるんですが、やっぱり残り15分ぐらいは本当長く感じました。(メインストレートに)帰ってきても、「まだ13分あるのか」みたいな(笑)。結構そういう気持ちでしたね。例えば、このタイミングでセーフティカーが出てしまうとギャップも縮まってしまいますから、アクシデントなくレースが進んでほしいなと思っていました。走りに集中しないといけないんですけどやっぱり初優勝ってこともあるし、時計が見えてしまうだけに気になりました。確かに(他の車両と)争ってるよりはラクですけれど、トップを走ってるからといって油断はできないので、そういうところはちょっとドキドキしてましたね。

── 最終コーナーを過ぎて長いストレートが見えてきた時の気持ちは、どういうものでしたか?

三宅:ピットウォールにいるチーム関係者の皆さんの姿が見えて、うれしい気持ちや感謝の気持ちがありました。GT500クラスにステップアップして優勝を目指していましたが、2戦目で優勝できるとは正直僕も予想はしてなかったので、本当に優勝したんだなっていう実感が湧いてきました。優勝したこともびっくりでしたが、さらにニスモとしてワン・ツー(フィニッシュ)じゃないですか。3号車と23号車で最後は並走して走ることもできたので、僕自身としては夢のような時間でした。

── 表彰台の真ん中でシャンパンファイトをして、スタンドからも大きな歓声を受けました。

三宅:今回は、お客さんも結構入られてるなか、また、僕たちのピットの前にはたくさんの日産応援団の皆さんもいらっしゃいましたし、そういうなかで優勝できたのは僕としても本当に一番うれしい……今までのなかで一番うれしいレースになったのかなと思います。

── 帰宅したら、もう携帯にはたくさんメッセージや着信もあったことでしょう。どんな翌朝になりましたか?

三宅:やっぱり疲れてたので、結構早く寝ちゃったんです。なので、翌日は早朝5時ぐらいから起きてたんですが、本当にたくさんの方からメッセージをいただきました。僕自身、順風満帆ではないレース人生だと思うんですが、今回、お世話になったたくさんの人へいい報告ができたのはよかったなと思います。現地では、(昨年のチーム監督だった)田中哲也さんにも直接報告ができてよかったです。

No.3 Niterra MOTUL Z

No.3 Niterra MOTUL Z

── 開幕戦では、コンビを組む高星選手からたくさんのことを勉強して吸収していきたいと語っていました。1戦目から2戦目にかけての自身のパフォーマンスをどう評価しますか?

三宅:予選はトップではなかったですが上位に食い込むことができましたし、レースも、高星選手のリードがあって、僕自身も大きなミスなくチェッカーまでクルマを運ぶことができたので、今回に関しては本当に僕のレース人生のなかでもうまくいった方なのかなと思いますね。でも、レースをしていくなかで絶対に“完璧”というのはないですし、「ここをもう少しこうした方がタイムが出たよね」というようなポイントもありました。今はうれしい気持ちもありますが、次戦の鈴鹿に向けて悪かった部分をしっかり見直して準備していけたらいいなと思います。

── 次の鈴鹿はサクセスウェイトが54kgになり、今回と同じ3時間レースです。三宅選手の地元である鈴鹿で、どんなレースがしたいですか?

三宅:鈴鹿サーキットは地元のサーキットですし、僕自身、GT300クラスで初優勝したのも鈴鹿サーキットなので、やはり思い入れのあるサーキットです。クルマ自体が重くなり、今回のようなハイペースで走ることは難しくなってしまうと思いますが、地元のレースですし一番走ってるサーキットでもあるので、そういうものも味方につけて、今回の流れを崩さずに戦っていければいいかなと思います。

── では、最後に「あの瞬間」恒例の質問を。「今、一番興味や関心のあること」を教えてください!

三宅:興味があるというか、僕、もともとゲーム好きで最近はポケモンにハマってまして、結構真剣にやってます。今、“ポケモンユナイト”っていうゲームをがんばってます(笑)。ポケモンによって得意・不得意な部分があるので、そういうことをしっかり考えながらやってますね。5対5のチームを組んでオンラインで戦うので、レースと一緒にしていいかわからないですけど、チームプレイだなと思います。ポケモンもディフェンス型とかアタック型みたいなものがあって、それぞれの役割があるので、しっかりチームを組まないと相手に勝てないっていうところはちょっとレースと似てるのかなと思いますね。

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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