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モーター スポーツ コラム 2023年8月17日

2023スーパーフォーミュラ第7戦プレビュー|最終決戦への前哨戦、真夏のもてぎ戦を制するのは?

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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昨年のもてぎ大会はスタート直前に雨が降り、ウェットコンディションでの決勝戦となった。

今シーズン、一気に注目度が急上昇している2023全日本スーパーフォーミュラ選手権。今週末は栃木県のモビリティリゾートもてぎを舞台にシリーズ第7戦が開催される。

これまで開催されてきたサーキットとは異なり、まとまった距離の直線を低速コーナーがつなぐという「ストップ&ゴー」と呼ばれるレイアウトが特徴だ。中高速コーナーでも安定して曲がることができるダウンフォースよりも、低速状態からの加速力(トラクション)と高速域からの減速(ブレーキング)が重要視される。

それだけに、毎年もてぎでの得意・不得意が分かれやすい傾向があり、ここで強さを発揮するチームやドライバーも少なくない。また、追い抜きが少ないコースということもあり、ピットストップなどの戦略も勝敗を分ける重要な要素となってきそうだ。

そんな第7戦もてぎ大会の注目ポイントは、いよいよ佳境に差し掛かりはじめたチャンピオン争い。第6戦富士を終えて宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が86ポイントでランキング首位をキープ。第6戦で3勝目を飾ったリアム・ローソン(TEAM MUGEN)が1ポイント差に迫り、すっかり若手2人による頂上決戦という雰囲気が高まりつつある。

宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

ここまでの6戦全てで5位以内に入るという安定した成績を残している宮田とローソン。もちろん、今回もチャンピオン獲得のために絶対に落とせない1戦となるのだが、もてぎのコースに対しては2人とも“不安要素”は少なからずあるようだ。

「残り3戦は非常に重要となるのは間違いない。次はもてぎになるけど、僕にとっては初めて経験するコース。もちろん事前準備が重要になるから、オンボードを観て勉強し、できる限りの準備をして臨もうと思っている。まずはチャンピオンシップを争える状況を鈴鹿に持っていきたい。最終大会の鈴鹿はすでにレース経験があるので、それらを活かして、鈴鹿でチャンピオンを決められればと思っている」(ローソン)

「もてぎが一番苦手なコースで、昨年も苦しいレースになりました。もてぎはしっかりとベストを尽くすだけなのかなと思っています。鈴鹿は第3戦で優勝しているサーキットではありますけど、2戦(土日ダブルヘッダー)あるので、土曜日が良くても日曜日も良いとは限らないのが2レース制の醍醐味です。本当に1戦1戦ベストを尽くしていきたいなと思います」(宮田)

両者とも最終決戦の舞台は鈴鹿になることを見据え、今回のもてぎをどう凌ぎ切るかにフォーカスを当てている様子。最終大会が2レース制とはいえ、ここでポイントを取りこぼすとチャンピオン争いでは致命傷となる。チームと共にどのようなパフォーマンスをみせるのかに注目だ。

一方、2年連続チャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEM)は前回の富士で8位に終わったことが響き、ドラバーズポイントでは首位の宮田から25ポイント差となっている。数字上では十分に逆転可能な範囲内と言えるのだが、宮田とローソンが毎回安定して上位入賞を記録していることを踏まえると、今回は優勝してポイント差を少しでも縮めたいところ。前回の富士大会後も、かなり危機感を感じていた様子の野尻が印象的だった。

野尻智紀(TEAM MUGEM)

ただ、打開策がないわけではない。ここ数年、野尻とTEAM MUGENは以前から苦手としていたもてぎを攻略するために、徹底的にマシンセッティングの見直し等を行ってきた。それが功を奏し2021シーズンのチャンピオン獲得に大きく近づく戦いぶりを終盤戦のもてぎで披露していたほか、昨年も堅実な走りで第7戦を3位、第8戦を4位で終えていた。

前述でも触れた通りモビリティリゾートもてぎは、他のサーキットと比べても中高速コーナーが少ない。見方を変えれば、今年の1号車が苦戦しているセクションが少ないとも言える。それらを加味すれば、優勝のチャンスも見えてくるのかもしれない。3連覇を目指す現王者の底力が試される1戦となりそうだ。

もちろん、ランキング上位3人以外にも優勝候補は多数存在する。ここで挙げていけばキリがないのだが、なかでも注目なのは平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だ。基本的にピットストップを後半まで引っ張って、フレッシュタイヤでライバルを追い抜いていく作戦で順位を上げていく傾向にある。前回の第6戦富士でも、この作戦で20番手から4位フィニッシュを勝ち取ったほか、昨年の第8戦もてぎも同様で終盤に2位までポジションアップ。最終ラップでは関口雄飛と同チームバトルで盛り上がった。

2023シーズンも各所で見せ場を作っているが、まだ勝利がないだけに、彼にとって初優勝の地であるもてぎで一矢報いる走りに期待したいところだ。

今大会も「夏祭り企画」として、グランドスタンド裏では様々なイベントが用意されているほか、7月に等々力競技場で川崎フロンターレとのコラボでスーパーフォーミュラのデモランが行われた。そのコラボ企画の一環として、今度はフロンターレサポーター数十名が応援バスツアーでレースを観戦するとのこと。例年以上にアツいもてぎ戦となりそうな予感だ。

等々力競技場での川崎フロンターレとのコラボイベント。

最後に……今回も気温30度を超える真夏日が予想されるもてぎ大会。現地で観戦予定の方は“絶対に”熱中症対策をお忘れなく。

加えて、もてぎは稀に大きなゲリラ豪雨が発生することもあるため、万が一に備えた雨対策の準備もしておくと、いざという時に安心かもしれない。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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