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2019年まではスプリント耐久と呼ばれる鈴鹿8耐に特化したワークスマシンをホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキが作っていました。これらのワークスマシンだけが持つ最大の武器は特別に最適化された電子制御システム、具体的に言うとECU(エンジンコントロールユニット)にありました。メーカーワークス以外のプライベーターにはそういったマシンが回ってくることはそうそうなく、ワークスが主役のレースになっていました。
しかし、近年は各メーカーでそれぞれのアプローチが変わってきています。スズキは2020年から24時間レース3回と鈴鹿8耐の全4レースを闘うFIM EWCのチーム「Yoshimura SERT MOTUL」にワークスマシンを供給。8時間耐久だけでなく、24時間耐久を想定した強いバイクを作るようになったのです。ヤマハも同じで「YART YAMAHA」をトップチームとして位置づけ、ワークスマシンに近い仕様のマシンを供給しています。コロナ禍を機にヤマハワークスが撤退したと思われがちですが、鈴鹿8耐だけに特化したマシンに資金投入するのではなく、グローバルな耐久選手権であるFIM EWCに各メーカーが注力しようとしていた流れがコロナ禍前からあったのです。
メーカー予算で開発されるワークスマシンが持つECUはマレリ製のものが使われており、MotoGPでもマレリ製のECUが全メーカー共通で採用されています。非常に細かい設定ができるECUで、FIM EWCでも鈴鹿8耐でも全日本でも圧倒的な強さを誇るブリヂストンタイヤとの組み合わせは最強です。
実はマレリ製ECUとブリヂストンタイヤの最強パッケージを使用するチームはメーカーのトップチームだけではありません。「#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC」(ジョシュ・ウォーターズ/渥美心/マーセル・シュロッター)、そして「#76 オートレース宇部 Racing Team」(津田拓也/ハフィス・シャーリン/ダン・リンフット)の2チームは「#12 Yoshimura SERT MOTUL」が使用するスズキGSX-R1000Rのワークス仕様と同等のマシンを使っています。
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