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モーター スポーツ コラム 2023年7月12日

スーパーフォーミュラ第6戦富士プレビュー|予測不能な夏の富士大会、“次の1手”を先に打つのは?

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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予測不能な夏の富士大会。結末はどうなるのか!?

7月に入り、国内モータースポーツも“真夏の連戦”がスタートを迎える中、今週末は富士スピードウェイを舞台に2023全日本スーパーフォーミュラ選手権の第6戦が行われる。

今年も決勝日の翌日が祝日(海の日)で、3連休中の開催となり多くのファンが現地観戦を予定しているとのこと。会場となる富士スピードウェイも『スーパーフォーミュラ夏祭り in FUJI MOTORSPORTS FOREST』と題し、場内でのキャンプ宿泊が可能になっているほか、家族連れ向けのイベントを多数用意するなど、スーパーフォーミュラの集客数向上に向けた試みも実施している。

そんな中で行われる後半戦最初のレースは、前半戦とは少し違う要素が加わっている。今年は毎年問題になっているシーズン序盤の過密日程回避のため、富士スピードウェイで毎年シーズン前に行っているテストを6月に移動。各チームが前半戦を戦い終えたタイミングで、じっくりと検証する機会が設けられることとなった。

今年はマシンの空力パッケージが変更となったSF23を使用しており、大半のチームとドライバーが新パッケージへの理解が進んでいないところもあった。2日間とも概ね天気は良好でクラッシュやトラブルに見舞われる車両もほとんどなく、各陣営とも有意義なテストとなったようだ。

なかにはシーズン中とは異なり上位につけるチームも見受けられたが、富士スピードウェイは当日の微妙なコンディションの変化にマシンが敏感に反応しやすいコース。そのため、このテストの結果が今週末の勢力図になるという可能性は、今のところ低いようで、総合的に見るとランキング上位につける宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)あたりが有力候補となってきそうだ。

富士での開幕戦でデビューウィンを飾ったリアム・ローソン(TEAM MUGEN)

今季の前半戦を振り返ると、4月の開幕大会ではTEAM MUGENの2台が一歩抜け出ている感じではあったが、第3戦鈴鹿からは宮田が速さをみせ、坪井も第2戦から第4戦まで3連続表彰台を獲得するなど、安定したレースを見せている。

第5戦SUGOでのレビューhttps://news.jsports.co.jp/motorsports/article/20190310225263/ でも記した通り、現状では宮田が一歩リードしている雰囲気。特にSUGOのレースを終えた直後はTEAM MUGEN内にも“まずい”というような雰囲気は漂っていた。ただ、ローソンは公式テストの際に「SUGOでは戦略のミスで上位に入れなかっただけで、パフォーマンス面で宮田に劣っているとは思っていない」とコメントしていた。野尻も後半戦で力強い走りをするべく、色々と試していた模様。後半戦でも侮れない存在になることは間違いない。

いずれにしても、最終戦へのカウントダウンが始まっており、この第6戦を誰が制するかでチャンピオン争いの行方も変わってくる。ちなみに第5戦SUGO終了時点でのランキング上位はこのようになっている。

宮田莉朋:75ポイント
リアム・ローソン:63ポイント(トップから12ポイント差)
野尻智紀:58ポイント(トップから58ポイント差)
坪井翔:50ポイント(トップから25ポイント差)
平川亮:28ポイント(トップから47ポイント差)

ランキングTOPの宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

宮田としては、富士でも好結果を残してポイント差を広げたいところだが、それ以外のライバルは今回のレースで宮田とのポイント差を縮めておかないと、終盤戦での逆転が難しくなってくる。仮に宮田が第6戦富士でポール・トゥ・ウィンを飾れば、ランキング2位以下に対して20ポイント(1レースの勝利分)以上の差をつけ、宮田が完全に主導権を握った状態で終盤戦に突入することとなる。

さらにVANTELIN TEAM TOM’Sは、第6戦から笹原右京を36号車のドライバーとして起用する。昨年はTEAM MUGENで2勝を飾り、速さには定評のある彼がチームメイトとなってマシンのセットアップ等で情報共有していくことを考えると、ライバルチームからすれば“より手強い存在”になることは確実だ。

笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)

現状で弱点が見つからない宮田に対して、ライバルたちがどう立ち向かっていくのか。その辺が今回の見どころとなるだろう。

第4戦オートポリスと第5戦SUGOでは、コース上でのオーバーテイク(追い抜き)が難しいサーキットでの開催が続いたこともあり、タイヤ交換のタイミングなど戦略面が重要視されていたが、今回の富士スピードウェイはオーバーテイクの機会が多い舞台ということもあり、戦略に加えてコース上でのバトルをどう制していくかも勝敗を分ける鍵となる。

今回もレース中に使えるオーバーテイクシステム(通称OTS:発動すると燃料の流量を増やして、50~60馬力ほどパワーアップできるシステム)が合計200秒使え、一度使用を終えると120秒間のインターバル(クールダウン)が発生し、その間の使用は制限される。120秒(=2分)となると、スイッチを切ってから約1周半近くは使えなくなる。

例年の富士戦をみると、各ドライバーとも積極的にOTSを使っているイメージで、レース終盤に全て使い切ってしまう人も出てくるほど。この200秒をうまく使うのも、重要な要素となってきそうだ。

いよいよチャンピオン争いも本格化する後半戦最初の1戦。日本最速の座をかけ“次の1手”を打つのは誰なのか? 土曜日の予選、日曜日の決勝ともに目が離せない。

そして、現地観戦を予定されている方は、気温30度に届くほどの暑さが予想される。熱中症の対策をしっかりと施して、国内最高峰のフォーミュラカーレースの迫力を堪能していただきたい。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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