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フェラーリが半世紀ぶりにル・マン総合優勝を狙う!F1とル・マンの密接な関係 | FIA 世界耐久選手権(WEC) 2023 第4戦 ル・マン24時間レース(フランス) プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシまた、自動車業界最大のマーケットである米国のIMSA・ウエザーテックスポーツカー選手権のレギュレーション「LMDh」規定の車両も参加できるように調整をしたことで、各メーカーの関心はさらに上昇。北米市場の予算も使いながら、同じマシンでル・マンにも出場できる規定はメーカーにとって好都合でした。
時を同じくして、F1がトップチームとプライベーターの格差を埋める目的でバジェットキャップ(年間予算の制限)を設けるようになり、余ったメーカー予算の使い道として耐久レースに参戦するという選択肢も生まれました。「フェラーリ」のF1とル・マンへの二刀流参戦が復活できたのはこういった環境の変化も大きいと言われています。
「FIA WEC」そして「ル・マン24時間レース」で走るHYPER CAR、LMDhは性能調整されるため、かつてのハイブリッド・LMP1クラスほどの速さはありません。しかし、メーカー間のプライドをかけた過当な開発競争を避ける現在のレギュレーションは、メーカーが永続的なレース活動を続けるためには必要な要素でもありました。F1も過激な開発競争を避けるために2026年以降は熱エネルギー回生(MGU-H)を撤廃し、よりシンプルなレギュレーションで参入障壁を低くし、多くのメーカーを呼び寄せようとしています。
F1、ル・マン24時間、それぞれにバリューは上昇しています。今後、「フェラーリ」だけではなく、F1チームが独自のHYPER CARでル・マンにも挑戦したり、自動車メーカーも参戦したりして、60年代の激闘を描いた映画「フォードvsフェラーリ」のような世界がまた繰り広げられるかもしれませんね。モータースポーツが盛り上がる歴史的転換点となった1923年のル・マン24時間レースがスタートして今年で100年。次の100年に向けた新時代がいよいよ幕を開けます。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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