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フェラーリが半世紀ぶりにル・マン総合優勝を狙う!F1とル・マンの密接な関係 | FIA 世界耐久選手権(WEC) 2023 第4戦 ル・マン24時間レース(フランス) プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシしかし、シリーズ消滅後、そこで培った3.5L・NAの技術を活かし「メルセデス」「プジョー」などがF1に参入。2000年代には結局「ジャガー」「トヨタ」もF1になだれ込んでくることになったのです。ホンダも復帰し、自動車メーカーが百花繚乱となったF1はモータースポーツ文化が根付いていない新興国でもグランプリを開催し、F1は急激なグローバル戦略でそのバリューを爆上げしていったのでした。
90年代前半の転機となったSWCの時代には後のF1を牽引する人物達がル・マン24時間レースで活躍していました。1991年に「ジャガー」が走らせた名車、ジャガーXJR-14の設計を担当したのがロス・ブラウン。同年にラリーからスポーツプロトタイプカーレースに大胆な転身を図った「プジョー」を率いたのがジャン・トッド。そして、「メルセデス」の若手育成プログラムで育てられ、3.5L・NAのメルセデスC291で腕を磨いたのがミハエル・シューマッハ。当時はそれぞれがライバル陣営にいた3人でしたが、ジャン・トッド(チーム代表)、ロス・ブラウン(テクニカルディレクター)、ミハエル・シューマッハ(ドライバー)として「フェラーリ」で融合し、90年代後半から2000年代にかけて「フェラーリ」のF1黄金時代を築き上げました。
このように、F1の発展はその前に「ル・マン24時間レース」が関係していることが実は多いのです。レギュレーション面でもF1が2014年から運動エネルギー&熱エネルギーを回生するハイブリッド「パワーユニット」規定を採用したのに対し、ル・マン24時間レースを中心とする「FIA WEC」はその2年前、2012年から最高峰LMP1クラスでハイブリッド車にメリットがあるレギュレーションを導入。F1には参戦していなかった「トヨタ」「アウディ」「ポルシェ」「日産」を呼び込むことに成功しました。
残念ながら「FIA WEC」のLMP1規定は欧州のEV化、フォルクスワーゲングループの不正問題の影響を受け、「トヨタ」だけの参戦になってしまいますが、次なる策として、GTクラスで成功していたBoP(性能調整)を最高峰クラスにも取り入れることを発表。イコールコンディションのレースを演出することで、各メーカーがそれぞれの技術、それぞれのデザイン哲学で製作したマシンで戦うことができる「HYPER CAR」クラスを作りました。
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