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モーター スポーツ コラム 2023年5月5日

F1以上のオーバーテイクが楽しめる! | FIA フォーミュラE世界選手権 2023 第9戦 モナコ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ータースポーツの聖地 モナコ公国・モンテカルロ

ータースポーツの聖地 モナコ公国・モンテカルロ

EVフォーミュラカーの世界選手権シリーズ「フォーミュラE」のシーズン9(2023年)も全16戦中の8戦を消化し、いよいよシーズン後半戦。折り返しとなる第9戦の舞台はモータースポーツの聖地、モナコ公国・モンテカルロでの開催です。今回は1レースのみの開催ですが、今後フォーミュラEはまたヨーロッパを離れるフライアウェイ戦となるため、重要なレースになるでしょう。今回は第9戦(5月6日予選・決勝)モナコのプレビューをお届けしましょう。

世界三大自動車レースの一つ、F1モナコGPで有名なモンテカルロ市街地コース。一部のコーナーの形状が違いますがF1とほぼ同じ3.337kmのコースを使用して行われます。現在はF1と同じ世界選手権クラスのレースになっている「フォーミュラE」はF1と比較されがちですが、ほぼ同じコースを使うという珍しいケースであるため、ラップタイムを2022年ベースで比較してみましょう。

2022年のF1モナコGPでポールポジションを獲得したのはフェラーリのシャルル・ルクレールで1分11秒376が最速タイムでした。一方で、電気自動車の「フォーミュラE」モナコe-prixのポールポジションはミッチ・エヴァンス(ジャガー)の1分29秒839。なんとF1と比べると1発フルアタックのタイムでは18.5秒もモナコで差が生まれてしまいます。

「なんだ、フォーミュラEって遅いじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、それは否定しようのない事実です。2021年にF1の前座で開催されたF2の予選最速タイムが1分20秒985ですから、たった3.3kmのコースでF2と比べてF1は9秒も差ができるわけですから、加減速などの運動性能でいかにF1が飛び抜けているかが分かります。

かつてモナコのサポートレースとしてGP3(現F3)が開催されていた時代がありましたが、2012年のポールタイムが1分28秒922ですから、フォーミュラEのスピードはだいたいF3程度と言えるでしょう。

ただ、ガードレールに囲まれた非常にタイトなモナコ・モンテカルロ市街地コースではスピード域が高い方が面白いのか?と問われれば、決してそうではないでしょう。F1ほどのスピードになるとモナコでのオーバーテイクは至難の業。一方でフォーミュラEはアタックモードを使ってパワーを引き上げ、相手に再び接近し、オーバーテイクを仕掛けることも可能であり、昨年のレース映像を見ていただければ分かる通り、レース中ずっと接近戦が続きます。

昨年のF1とフォーミュラEの決勝トップ5人を比較してみると、F1の上位5人の顔ぶれの内4人は予選でも5位以内でしたが、フォーミュラEでは上位5人の内3人が予選5位以内。5番手でチェッカーを受けたドライバーは10番手からのスタートでした。より緊張感あふれるレースが展開されるのがモナコでのフォーミュラEの魅力です。

今年から新シャシーGen3に変わり、モナコのレースはどうなるかというところも興味深いのですが、日本のファンにとっては見応えのあるレースになりそうです。というのも、前戦ベルリンの第8戦で日本でもお馴染みのニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)がついに今季初優勝。アグレッシブなオーバーテイクと巧みなコントロール能力、レース勘を見せました。

前回大会で優勝したニック・キャシディ

前回大会で優勝したニック・キャシディ

この優勝でニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)はランキング首位のパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)に対して僅か4点差のランキング2位に浮上。獲得ポイントではウェーレインとキャシディが少し抜け出した状態で後半戦を迎えることになりました。

元F1ドライバーも数多く参戦するフォーミュラEですが、日本のスーパーフォーミュラ/SUPER GTで腕を磨き、結果を残してきたニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)の活躍は日本のファンにとって嬉しい限り。今季はすでに表彰台4回と、非メーカーワークスのドライバーながら結果を残し続けています。ここ、モナコでの優勝にも期待がかかります。

争う相手のパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)はなんと5レースも表彰台から遠ざかって、シーズン序盤の勢いはどこへやら。逆にシーズン立ち上がりに調子が良くなかったミッチ・エヴァンス(ジャガー)が2連勝を飾り、ジャガーパワートレイン勢がここ3レースで優勝。ベルリンの第7戦ではサム・バード(ジャガー)が2位に入り、ジャガーワークスの1-2フィニッシュでした。

ここモナコではキャシディのチームメイト、セバスチャン・ブエミ(エンビジョン・ジャガー)が過去2勝していますが、現行のコースとなったのは2021年からで、21年はアントニオ・フェリックス・ダコスタ(ポルシェ/当時DSテチータ)、22年はストフェル・バンドーン(DSペンスキー/当時メルセデス)が優勝を飾っています。

近年、フェリックス・ローゼンクビストがインディカーのシートを掴み、ニック・デフリースはF1へと昇格。ステップアップの王道コースから外れた選手たちがフォーミュラEで結果を残し、ドライバーとして驚きのチャンスを掴んだ例もある中、日本のレースを離れて世界で戦う決断をしたニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)がモナコで輝きを見せられるか。とても楽しみな1戦が始まります。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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