ベルリンで混戦模様に拍車がかかる？ | FIA フォーミュラE世界選手権 2023 第7&8戦ベルリン

第6戦で優勝したミッチ・エヴァンス擁するジャガー・レーシング

電気自動車フォーミュラカーレースの世界選手権「フォーミュラE」のシーズン9（2023年）は今季初のヨーロッパラウンド。恒例の開催地、ベルリンのテンペルホーフ空港・市街地サーキットで行われます。今回は2レース開催のレースということで、シリーズのタイトル争いにも大きな影響を与えるレースになりそうです。今回は第7戦（4月22日予選・決勝）／第8戦（4月23日予選・決勝）ベルリンのプレビューをお届けしましょう。

前半戦ラストとなる2レース制の戦いの舞台、ベルリンのテンペルホーフ空港・市街地サーキットは元ベルリン国際空港の跡地を利用したコースです。コロナ禍でレースが相次いでキャンセルされた2020年はレイアウトを変更しながら一気に6レースを開催したこともある、フォーミュラEにとって馴染みのある場所です。

これまで3レースに渡って初開催の市街地サーキットが続き、Gen3シャシー初年度でデータ不足の中、なんと初開催の3レースともにポールシッターもウイナーも異なるというレースになりました。前半の2戦はポルシェの独壇場になりそうな気配がありましたが、ポルシェワークスの勝利は第5戦ケープタウンでアントニオ・フェリックス・ダコスタ（ポルシェ）が優勝したのみ。ランキング首位のパスカル・ウェーレイン（ポルシェ）はここ3レース表彰台から遠ざかるという事態になってしまっています。

ただ、彼にとってもポルシェにとっても母国ドイツでのレースということですし、負けられない1戦です。一度も表彰台に登っていないベルリンで優勝し、リードをさらに広げて後半戦へと繋いでいきたいでしょう。

ランキング2位のジェイク・デニス（アンドレッティ・ポルシェ）は序盤の勢いはどこへいったのか、ここ3レース全てで無得点に終わり、ベルリンからの立て直しが必要です。昨年は年間ランキング6位で終えたデニスがポイントを取れなかったのは僅か3戦。その内の2戦がなんとベルリンということで、相性の良くないコースでデニスがどんなレースをするのか注目です。

先頭を走るニック・キャシディ

初開催の3レースで最も輝いたのは日本でも人気ドライバーのニック・キャシディ（エンビジョン・ジャガー）。前戦ブラジル・サンパウロでは最後にミッチ・エヴァンス（ジャガー）にオーバーテイクされて優勝を逃しましたが、3レース連続の表彰台でランキング3位に上昇。ここからの展開次第ではウェーレインにチャンピオン争いを挑んでいけそうな勢いがあります。待たれるのはキャシディの今季初優勝ですが、昨年のベルリンでは結果を残せていませんが決勝ファステストラップを記録しているので、その走りが非常に楽しみです。

今季のフォーミュラEには母国ドイツのドライバーが3人居ます。レネ・ラスト（マクラーレン・ニッサン）は3度のDTM（ドイツツーリングカー選手権）チャンピオンということで国民的スター。2年ぶりに復帰した今季は第3戦サウジアラビアで3位表彰台に上がるなどしてランキング7位。コロナ禍の無観客レースでレイアウト変更のレースでしたが、ベルリンで表彰台経験もあります。そして日本でも人気のアンドレ・ロッテラー（アンドレッティ・ポルシェ）は昨年もベルリンで4位を獲得していますし、母国で表彰台争いに絡めるか注目です。

母国ドイツのメーカー＆ドライバーが活躍するレースになるのか、久しぶりの2レース連続開催。後半戦に向けた流れを作り出すのは誰でしょうか？

文：辻野ヒロシ