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モーター スポーツ コラム 2023年3月4日

宮田莉朋選手(No.36 au TOM’S GR Supra)「バーチャルがリアルに近づく!? モータースポーツ界に見る新たな動き」| 2023年 SUPER GT年男 新春インタビュー【年男、跳ねる!】

モータースポーツコラム by 島村 元子
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宮田莉朋選手(写真右)※昨シーズンはTGR TEAM KeePer TOM'Sに所属

宮田莉朋選手(写真右)※昨シーズンはTGR TEAM KeePer TOM'Sに所属

例年よりも寒さ厳しいオフシーズンとなっているが、2023シリーズ開幕に向けて水面下では着々と準備を進めているSUPER GT参戦ドライバーたち。今シーズンこそ優勝、そしてチャンピオンを! とそれぞれが大きな野望に向け、気持ちを新たに取り組んでいることだろう。

そこで、今年の干支である“卯”にちなみ、卯年生まれの年男ドライバーをピックアップ! 今シーズンの目標はもちろん、年男の話やプライベートに至るまで、オフシーズンだからこそ聞ける話題にググッと迫ってみた。

第1回目はTGR TEAM au TOM’Sの宮田莉朋選手。2021年に伴侶を迎え、公私ともども充実の日々を送る宮田選手だが、今シーズンにかける意気込み、そして将来のことへとドンドン話が広がり……。宮田選手のアツい想いを、めいっぱいお伝けしよう!!

前回のおさらい

バーチャルがリアルに近づく!? モータースポーツ界に見る新たな動き

──ところで、最近はeスポーツでも相当活躍されているのだとか。
宮田:流行ってないわけじゃないですけど、日本ではまだまだ浸透してないかなっていう部分がありますね。でも海外では……僕、よく取材されるときに(2021、22年のF1ワールドチャンピオンの)マックスフェルスタッペンの名前を出してるんですけど、彼は(バーチャルレースで)ものすごい速いし、自分のチームを持つ(フェルスタッペン・ドットコムレーシング)ぐらい。海外ではそれが当たり前な感じもあって、ドイツのメーカーはじめ、いろんなメーカーが……今だとWEC(世界耐久選手権)のハイパーカーとかLMDhの車両を、eスポーツやバーチャル(レース)のドライバーが開発テストをするとか、そういう世界になってきてるんです。僕も(eスポーツ)チームはBMWのワークスチーム(BSプラス・コンペティション)だし。僕はBMWでの活動はできないんですけど、そこでLMDhだったかな? の車両開発をしてるんです。

 今年、GT300に出るブルーノ・シュペングラー(BMW Team Studie×CSLから参戦予定)とはよく連絡を取り合ってるし、それぐらいなんか向こうはリアルとバーチャルの両方をやってるというか。リアルな選手がバーチャルにも行くし、バーチャルで速かったらリアルの世界にもだんだん近づいてくるっていう感じで。彼らもバーチャルだけじゃなくて去年は実際にスパ24時間にも出てるし、トップ争いもしてて、日本とレベルが違うんです。僕としては日本にはないところがすごく刺激的だし、考え方とか臨み方がすごい勉強になって……。納得するまでやって良かったっていう部分があります。

───バーチャルとリアルにおいて、フィジカルの部分以外での大きな違いは何ですか?
宮田:フィジカル的な部分以外で言うと、たぶん(バーチャルをメインとする)彼らの方が(リアルレースがメインとなる)僕らよりも(スキルが)上だと思うんです。 というのも、実は、(バーチャルレースでは)「クルマを作るクルマをセットアップするストラテジーを考える」っていうことを彼らが考えているので。リアルのレースではエンジニア、データエンジニア、監督らがいて、僕らドライバーは、“クルマは今こういう状況だから、車高をいくつにして”とか、“スプリングはこのぐらいにして”とか言えますが、まずエンジニアが考えて“じゃあこうしよう、こういう組み合わせでやろう”、ストラテジーは“燃費がこのぐらいだからこうしよう”、タイヤ的には“この周まで(ピットインのタイミングを)引っ張るけど、周りの状況を見てこの周に入ろうとか”っていう役割分担がしっかりある。

 なので、ドライバーはどっちかというとクルマをしっかりフィードバックして、エンジニアに対して今の状況からさらに速く強く走れるクルマを僕らがオーダーするっていう形なんです。一方、チームにもよりますが一応バーチャル(のチーム)にもエンジニアがいます。僕が関わるチームにもエンジニアがいますが、この前のデイトナ24時間レース(IMSA第1戦)では、1日10時間以上僕らが(バーチャルで)テストして、“タイヤの魔耗がどのぐらい進んでる”とか、“燃費がこのぐらいなので、このセットアップだったら……”とか、全部自分たちでセットアップを考えてやってるんです。

 逆に、リアルで“どんなクルマでも乗れます。速く走らせます”っていう人が、バーチャルに行ったらたぶん走れるかもしれないけど、能力的にはバーチャル(ドライバー)の方がレベルは高いと僕は思いますね。だからバーチャルの人の方がたぶん開発は向いてるし、WECのポルシェやBMW、最近はベンツとかもそうですけど、そういうバーチャルのドライバーにテストをさせるっていうのは、そういうとこだと思うんですよね。ストラテジー(の組立て)もできるから。逆になんでもできちゃうところまで成長してるし、向こうはすごくレベルが高い。だから、僕も“こういうことができるんだ、あぁいうこともできるんだ”っていうのを経験できてるからこそ、去年サッシャと組んで(レースをしても)、全然未知の領域(レース状況)になったときに、その経験があるからこそ(エンジニアやチームにその状況下で)提案することができるというか、エンジニアが考えがなかったところを提案してみたり……。そういうところはバーチャルの方がすごくレベルが高いなって思っているんです。

──バーチャルで能力の高い人は、リアルレースにも適応しやすいということですか?
宮田:そうですね。去年のスパ24時間にバーチャルとリアルの両方に出たドライバーなんですが、彼はリアルでもう普通にクラス内のトップ争いをしていました。たとえばポルシェカップやスパ24時間もそうだし、そういうところで活躍したら、ワークスドライバーになれるって道もできちゃってる。もうあとはリアル(のレーシングカー)に乗って、速度感……まず目の慣れとかG(重力加速度)に耐えるとか、もうたぶんそのレベルなんです。実際、バーチャルもすごい体力使うし。僕も(バーチャルの)耐久レースに出るときはトリプルスティントぐらい担当するんで3時間半ぐらい乗るんですけど、もう1レース終わったら、2キロ以上は痩せてるんで。今やバーチャルチームでも(フィジカル面をサポートする)トレーナーがいたりするし、目さえ慣れれば本当にリアルに行けちゃう世界ですね。ただ、海外ではそういう人もいて、能力も高いから適応できてんじゃないかなっていうふうに思いますが、まだ日本はそこのレベルにないってのが正直あるので、やり方次第ですよね。

開幕目前! 近づく事前テストに向けて

──3月に入ると、公式テストが控えています。事前準備としては今のところ順調ですか?
宮田:僕らはまだ去年の12月のもてぎテストが最後で(※3)。 まだ23年に入ってから走行してなくて。なので、正直(昨年)12月の段階ではまぁ悪くないというか、普通に(坪井との)コンビとしては問題ないかなって思ってる部分はあるんですけど、ただ冬(のテスト)だったし、そのときはトヨタとホンダの開発車両しか走ってなかったんで。シーズン中に暖かくなった時期とか、実際のところどんなレベルかっていうのもわかってなくて。なので、まだ未知な部分はありますが、僕は37号車から移ってきて、想像していた36号車の……ここがやっぱり速かったなっていう部分も勉強できたし、37号車のいいところを36号車に入れたいなっていうところも見つかっているし。そこはテストをしていく段階でどんどん良くしていきたいなっていうところで終わってる状態です。今年の公式テストもメーカーテストも全部含めてレースまで全部いい意味で楽しみだなって感じてます。

※3:取材は2月6日に実施。その後、2月8、9日には岡山国際サーキットにおいてテスト走行をおこなっている。

──楽しみが広がる中、開幕戦の岡山での目標は“てっぺん”(優勝)ということでしょうか?
宮田:au(36号車)は岡山でなかなか勝ててないんで……。あと、これは僕個人の思いですが、岡山やオートポリスとか、移動距離が長いところは(レース後に)いい思いで帰りたいんで(笑)。去年、岡山は予選がダメで決勝はポイントを取れずに終わり、すごい気持ちがダウンしてる状況で帰ったので。今年こそ、特に飛行機移動のサーキットでは優勝とか表彰台に乗って、“あー良かったな”っていう気持ちで帰りたいなと思います。岡山は(21年に)GR Supraになってから(TGR勢が)ずっと優勝してますが、(2年連続で)ルーキーレーシング(14号車)が優勝してるので、次こそは僕らが優勝できたらなと思います。Supraが勝てばトヨタとしてもすごくハッピーなんですけど、そこで僕らが優勝できたらなと思います。

──では、シーズン開幕を心待ちにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
宮田:今シーズンは36号車で戦うことになりました。相方が坪井選手となり、チャンピオンの経験のあるドライバーなので、しっかり彼についていけるように……と思います。頼れるドライバーなので、僕は僕らしく走って優勝……GTはたぶん2回優勝できればチャンピオンが一番近づくと思ってるので、優勝2回目指してしっかり一戦一戦戦って、チャンピオンを獲れるようにがんばります。応援よろしくお願いします!

──最後に恒例の「この24時間であった幸せなこと」は?
宮田:えっ!? ちょっとした幸せ? いや、全然ないっす。なんかつねに幸せです(笑)!

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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