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モーター スポーツ コラム 2023年2月23日

若き新王者候補たちの激しい争いに注目! | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第1戦 フィリップアイランド(オーストラリア) プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ドミニク・エガーター(ヤマハ)

ドミニク・エガーター(ヤマハ)

6つのメーカーのスポーツモデルが参戦する「FIMスーパースポーツ世界選手権」がオーストラリア・フィリップアイランドから開幕。シーズン途中からは日本人ライダー2人も参戦するスーパースポーツ世界選手権をJ SPORTSでは今季も全戦放送します。今回は2月24日(金)〜26日(日)にオーストラリア・フィリップアイランドで開催される開幕戦のレースプレビューをお届けしましょう。

昨年、以前の排気量600ccクラス主体のレギュレーションから性能調整によって様々な排気量のマシンが参戦できる規定に変更されたスーパースポーツ世界選手権。その新時代レギュレーションの2年目のシーズンがいよいよ始まります。

今季は昨年スーパースポーツ300世界選手権で優勝した岡谷雄太(カワサキ)、そして元グランプリライダーでありスーパーバイク世界選手権にも参戦経験がある阿部典史の息子、阿部真生騎(ヤマハ)がスーパースポーツ世界選手権に出場を予定していることもあり、スーパーバイク世界選手権以上に注目が集まりそうです。ただ、上記の日本人ライダー2人はヨーロッパ開催のレースが対象のチャレンジクラスにエントリーしているため、第3戦・オランダ(4月)からの参戦になります。

というわけで、第1戦オーストラリア・フィリップアイランド、第2戦インドネシア・マンダリカに関しては日本人ライダー2人の出場はありませんが、グランプリ出身のライダーが増加傾向にあるスーパースポーツ世界選手権で、彼らがどこまで良い結果を残せるかは今季の注目どころです。日本人2人が参戦するまでの2戦、彼らのライバルとなる選手の走りをじっくりと楽しみましょう。

さて、まずは「スーパースポーツ世界選手権(略称WSSP)」がどんなレースなのかを解説しておきましょう。排気量1000cc以上の最高峰クラスである「スーパーバイク世界選手権(略称WSBK)」に帯同する形で、2023年は全12ラウンド24レースで争われるのですが、次世代のWSBKライダーを探すステップアップカテゴリーという意味合いもあるレースと言えます。

2022年にレギュレーションが変わり、既存の600cc中量級スポーツモデルに加え、性能調整により異なる排気量のバイクが出場可能になりました。これにより参加するメーカーが増加し、ヤマハ(YZF−R6)、ホンダ(CBR600RR)、カワサキ(Z X−6R)の排気量600ccバイクに加え、ドゥカティ(パニガーレV2)、MVアグスタ(F3 800R)、トライアンフ(ストリートトリプルRS765)が参戦するように。車種のバラエティは一気に広がりました。

性能調整が施されるため、基本的にはバイクの速さに関してはメーカー間の差は大きくはなく、ライダーのピュアな速さと実力、そして蓄積したデータをまとめ上げて精度の高いセッティングが出せるチーム力が勝負の鍵になると言えるでしょう。現行レギュレーション下で2年目となる今年はデータと経験も各陣営で揃いつつあり、よりライダーの実力という部分にフォーカスが当たるシーズンになることでしょう。これはWSBKで有力なファクトリーチームからの参戦を望むライダーたちにとってはやり甲斐のあるレースと言えます。

そんな2年目のシーズンは昨年に比べて大きく勢力図は変わるはずです。というのも昨年のシーズンを席巻したドミニク・エガーター、アレッサンドロ・バルダッサーリの2人がWSBKにステップアップを果たし、WSSPを卒業。ランキング3位以降の参戦継続ライダーたちが今季の主役になると予想されています。

昨年のランキング3位はトルコ出身のライダー、カン・オンジュ(カワサキ)。このクラスのマイスターと言われたトルコ人、ケナン・ソフォーグルも所属したカワサキ名門チーム「Kawasaki Puccetti Racing Team」から参戦する19歳です。昨年は8度の表彰台を獲得したオンジュは2018年にMoto3世界選手権のデビュー戦で優勝した経験の持ち主。まだWSSPでの優勝はありませんが、安定してトップ5でフィニッシュする走りを見せるオンジュはチャンピオン候補の筆頭と言えるでしょう。初優勝の期待が大いに高まります。

昨年ランキング4位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)は今季もドゥカティのトップチーム「Aruba.it Racing WSSP Team」からの参戦。Moto3、Moto2と世界選手権(グランプリ)を6シーズン経験し、初のプロダクションバイクレースに転向したシーズンでこちらも8度の表彰台を経験しました。データ不足の中、速さでカバーして表彰台を勝ち取る走りは今季さらに磨きがかかることでしょう。

昨年ランキング5位のフェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)はWSSPで6年目のシーズンを迎える26歳。2019年には4度のポールポジション、3度の優勝でランキング2位になった経験を持つ実力派であり、昨年も後半戦から調子を上げて2位表彰台を連発。開幕戦・フィリップアイランドの優勝最有力候補と言えます。

また、昨年トライアンフに乗って1勝を飾りランキング6位でシーズンを終えたのがステファノ・マンジー(ヤマハ)。今季はヤマハに移籍し、ドミニク・エガーターが2連覇を飾ったチャンピオンチーム「Ten Kate Racing Yamaha」のエースに就任しました。Moto3、Moto2世界選手権でも長く活躍したマンジーは最高の体制を得て、チャンピオン獲得に挑む23歳です。

そして昨年、カワサキ勢として唯一の勝利を最終戦・フィリップアイランドでマークしたヤリ・モンテラはドゥカティに移籍。「Barni Spaek Racing Team」からドゥカティ・パニガーレV2を駆ります。

もう一人、トライアンフで優勝を飾ったニッキー・トゥーリはMVアグスタに移籍。優勝を飾ったトップライダーたちがメーカーを移籍し、昨年のランキング上位勢にどう挑んでいくか、興味が尽きないラインナップになっています。

すでに昨年から始まったレギュレーションに慣れているライダーは序盤優勢と考えられますが、近年のスーパースポーツ世界選手権はMoto3、Moto2でレース専用マシンの舞台で戦ってきたライダーたちがいきなり驚くべき速さを見せる傾向にあります。

そういう意味ではMoto3のベテラン、ジョン・マクフィーがカワサキZX−6Rで参戦することも興味深いですし、今季から新型ホンダCBR600RRが日本の「MIE MS Honda Team」から参戦すること、スーパースポーツ300世界選手権のチャンピオンのアルバロ・ディアスが世界耐久選手権のトップチームである「YART Yamaha」から参戦するなど今季のラインナップはかなり群雄割拠な状況です。

混戦になることは必至の今季のスーパースポーツ世界選手権で、開幕戦オーストラリアで主導権を握るのは一体誰になるのでしょうか。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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