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フレッシュな顔ぶれが揃うスーパーフォーミュラ。
シーズンオフになると、毎年盛り上がるのが、“ストーブリーグ情報”だ。
特に国内レースに関しては、基本的にシーズンが終わってから来季に向けた動きが本格化する傾向にあり、発表は年が明けた東京オートサロン(1月中旬)か、2月に入ってからというのが主流だったが、最近はストーブリーグに対して加熱報道をするメディアが増えてきたこともあってか、年内に発表するケースが増えている。
特に2023年に向けた体制発表は例年以上に早く、トヨタはSUPER GTの最終戦が終了した3週間後の11月25日にプレスリリースで発表。ホンダも12月12日に東京・青山のウエルカムプラザ青山で、新体制の発表会を行なった。
そこで明らかになった来季の体制だが、それぞれの陣営で全く異なる動きとなった。
【基本的には体制維持のトヨタ】
坪井翔、宮田莉朋のコンビ結成で注目を集める36号車。
まずはトヨタ陣営。SUPER GTでは、ライバル勢の先行を許す形となり、No.14 ENEOS X PRIME GR SUPRAの大嶋和也/山下健太組のランキング5位が最上位という結果になった。
この結果を受けて、2023年は組み合わせのシャッフルなどがあるのかと思われたが、フタを開けてみると、6台中4台が体制を継続となった。その分、2022年の経験や反省を活かして来季につなげられるため、それはそれで手強い存在となりそうだ。
動きがあるのは、TOM’Sの2台。2023年からフォーミュラE参戦に参戦するため、国内レースから一旦離れることになったサッシャ・フェネストラズの離脱することになり、それを受けての体制変更のようだ。
36号車は坪井翔に加え、2022シーズンは随所で速さをみせた宮田莉朋が新加入。現在のトヨタ勢の中でも、評価の高い2人がコンビを組むということで、2023年は要注目の1台となりそう。もう1台の37号車は、「TGR TEAM Deloitte TOM’S」と名前を変え、こちらにはジュリアーノ・アレジが入ることとなり、そのパートナーは現時点で未定となっている。
スーパーフォーミュラも、基本的に大きな変更はなく、フェネストラズが抜けたKONDO RACINGの4号車にはスーパーフォーミュラ・ライツ王者の小高一斗が入ることとなった。
ここでもTOM’Sの36号車が未定となっているのだが、その詳細は後述で触れようと思う。
【両カテゴリーとも大幅シャッフルをしてきたホンダ】
ARTAはGT500クラスに2台体制で臨む。
一方、ここ数年は各チームともに安定した印象のあったホンダ勢だが、2022年の王座獲得争いで敗れたこともあってか、“チャンピオン奪還”を大きなテーマに掲げ、SUPER GTでは大幅な体制変更をおこなってきた。
SUPER GTでは5台体制は変わらず、昨年ランキング3位のTEAM KUNIMITSU(山本尚貴/牧野任祐)、同4位のAstemo REAL RACING(塚越広大/松下信治)のコンビは継続だが、ARTAとTEAM MUGENがタッグを組み「ARTA 2台体制」という形で参戦することになった。
SUPER GTには長年参戦し、チャンピオン経験もあるARTAと、スーパーフォーミュラで無敵の強さを誇るパフォーマンスをみせるTEAM MUGENのコラボレーション。しかも、2台ともブリヂストンタイヤを装着することになるなど、勝ちにこだわった体制を構築した。なお、ドライバーラインナップは、8号車が野尻智紀と大湯都史樹、16号車は福住仁嶺と大津弘樹のコンビとなる。
そしてModulo NAKAJIMA RACINGは伊沢拓也の新パートナーに太田格之進が加わることになった。
【気になる“アノ人”の動向は?】
12月の合同テストではトムスから参加した笹原右京。
一方、スーパーフォーミュラも大シャッフルとなる。ドライバーズとチームの二冠を達成したTEAM MUGENは、野尻智紀に加えてレッドブルジュニアチームのリアム・ローソンが加入。野尻は国内トップフォーミュラ史上2人目となる3連覇に向け、ローソンはF1へのステップをかけ2023年に臨むこととなる。
DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは牧野任祐が残留し、太田格之進がスーパーフォーミュラ・ライツからステップアップした。TCS NAKAJIMA RACINGも山本尚貴のチームメイトとして佐藤蓮が加わる。
B-MAXは2台体制となり、松下信治が継続参戦し、相方には2022年のフォーミュラ・リージョナル・アメリカでチャンピオンを獲得し、HPDのスカラシップを獲得したラウル・ハイマンがSFデビュー。THREEBOND Drago CORSEは引き続き福住仁嶺が乗ることとなる。
ここで、気になるのが、2022年はスーパーフォーミュラで2勝を挙げる活躍をみせた笹原右京と、ここ数年目覚ましい活躍を見せている大湯都史樹の名前がなかったこと。これについては、SNSを中心に様々な憶測が飛び交っており、12月に行われたスーパーフォーミュラの合同テストでも、ざわざわした雰囲気がパドックに漂っていた。
この件に関して、関係者らの話を総合すると、2023年に向けてホンダ/HRC側から2人のドライバーに対して、両カテゴリーの参戦に関するオファーがあったことは間違いなさそう。ただ、彼ら2人が求めている条件と合致せず、今回のような形につながったようだ。
笹原は、すでに12月のテストでTOM’Sから参加していることもあり、空席となっているスーパーフォーミュラの36号車とSUPER GTの37号車に入るのではないかという噂が上がっているが、特にスーパーフォーミュラに関してはジュリアーノ・アレジも候補となっており、現在も議論が行われている模様だ。
また、大湯に関しても、現時点では2023年のスーパーフォーミュラ参戦は“白紙”となっているが、開幕までの間に状況が変わる可能性もゼロではないようだ。
今回の発表では、2022年にルーキー2人を起用して参戦していたTEAM GOHの名前がなかったことも気になっているところで、ここが大きなキーポイントとなりそうなのだ。
おそらくではあるが、来季の参戦に向けて“調整中”で、詳細な発表ができる段階にないのが現状の模様。そこで体制が整った時に、大湯が加わるということも、十分にありえるだろう。
ただ、国内レース界のストーブリーグは、年末年始にかけて目まぐるしく状況が動いていくため、最終的にどういった体制になるのかは、各チームやメーカーからの正式発表を待つしかない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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