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モーター スポーツ コラム 2022年11月20日

【FIM スーパースポーツ世界選手権2022 第12戦 フィリップアイランド:プレビュー】エガーターが2連覇!ヤマハ独走を止めるのは?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ドミニク・エガーター(ヤマハ)

ドミニク・エガーター(ヤマハ)

今年から様々な排気量のスポーツバイクが混走する新スタイルとなった「スーパースポーツ世界選手権」もいよいよ最終戦。2年半ぶりの開催となるオーストラリア・フィリップアイランドにていよいよシーズン最終戦を迎えます。今回は11月18日(金)〜20日(日)に開催される「スーパースポーツ世界選手権・最終戦」のプレビューをお届けしましょう。

さて、前戦・インドネシアではシリーズをリードしてきたドミニク・エガーター(ヤマハ)が昨年に続き、2連覇となるワールドチャンピオンを獲得。MotoEと合わせて2つのワールドタイトルを獲得することになりました。ランキング2位のロレンツォ・バルダッサーリ(ヤマハ)はチャンピオンシップに敗れた形にはなりましたが、2人のヤマハライダーは来季は「スーパーバイク世界選手権」へと昇格することになります。

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最終戦はチャンピオン争いとしては消化試合ということになるわけですが、今季からレギュレーションが大幅に変更となり、バラエティに富んだ車種が登場することになった新生「スーパースポーツ世界選手権」のファーストシーズン締めくくりとなる1戦です。

舞台はオーストラリアのフィリップアイランド。2020年のコロナ禍で世界がロックダウンされる直前に開催されて以来のレースとなります。そう、かつてここは開幕戦の舞台としてお馴染みでした。

ということで、MotoGPオーストラリアGPの舞台としてもお馴染みのフィリップアイランドは多くのライダーがグランプリ時代にレース経験があるのです。それでは過去のフィリップアイランドでの戦績を見ながら最終戦のレースを予想していきましょう。

まずはチャンピオンのドミニク・エガーター(ヤマハ)。Moto2で長く走っていたエガーターはフィリップアイランドで豊富な経験を持つライダーの一人です。ただ、表彰台は一度もありません。しかしながら、エガーターは何度かシングルフィニッシュを果たしています。ベストフィニッシュは2012年の4位完走で、最近では2018年に6位でフィニッシュしています。2018年はシーズンベストのリザルトだったということで、彼自身、得意としているサーキットと言えるでしょう。

ランキング2位のロレンツォ・バルダッサーリ(ヤマハ)は2015年に3位表彰台に上がった経験を持ち、トップ5でのフィニッシュが合計3回。フィリップアイランドとの相性はかなり良さそうなので、今季の締めくくりにエガーターとのトップ争いを期待したいですね。

ランキング3位のカン・オンジュ(カワサキ)はMoto3時代に1回、そして2020年のスーパースポーツ世界選手権デビュー戦となったのがここフィリップアイランドでした。排気量の大きなマシンに上がって初のレースながらも9位フィニッシュを果たしています。オンジュはインドネシアでも2レース続けて3位表彰台を獲得しており、ランキング3位をこのまま守ることができそうなマージンを築いています。

ランキング4位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)は今季がルーキーイヤー。Moto3時代に2回、そしてMoto2時代に1回のレース経験がありますが、残念ながらどれもトップ10には入れていません。ブレガのコースとの相性はちょっと未知数ですね。シーズン前半戦は非常に調子が良かったブレガですが、シーズン後半に入ってからは表彰台から姿が消え、第7戦・フランス以来表彰台がありません。

ブレガを3ポイント差で追いかけるランキング5位のステファノ・マンジー(トライアンフ)はこちらもルーキーイヤー。しかし、第9戦ポルトガルのレース1で初優勝を飾り、初レースのインドネシアでも2位表彰台を得るなど調子を上げています。過去にはMoto2時代に9位フィニッシュを果たしていますが、今の勢いを考えるとマンジーがブレガを逆転する可能性は非常に高そうです。

ランキング6位のフェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)は不調のブレガとは対照的にインドネシアでもレース1で2戦連続の2位になるなど、フライアウェイ戦に入って元気になってきています。シリーズランキング2位を獲得した2019年にはポールポジションも獲得していますから、フィリップアイランドでは良いイメージでレースができそう。ブレガから19点差ということで、今季初優勝を飾ればドゥカティ勢の最上位でシーズンをフィニッシュできるかもしれませんね。

ランキング7位は前戦・インドネシアでポールポジション、優勝を果たしたニッキー・トゥーリ(MVアグスタ)。今シーズンは欠場が続いた中でランキング7位につけているのは復帰後も着実にポイントを重ねてきたからと言えますが、シーズン終盤に来ての躍進ぶりは最終戦でも要注目です。フィリップアイランドでは2017年の5位が最高位。当時はヤマハでしたが、まだカワサキが強かった時代に表彰台争いを展開するようになり、のちには優勝も飾るなど躍進の1年を過ごしたシーズンでした、

来季は共に「スーパーバイク世界選手権」へとステップアップすることになったエガーターとバツダッサーリ。同じヤマハのライダー2人の闘いは、昨年も参戦していたエガーターがコースを知っているという意味でもインドネシアで決着が付く可能性が高いでしょう。

ヤマハライダーの独走が続いた今季ですが、シーズン後半戦に入り、ヤマハ以外のライダーたちも輝きを見せつつあります。前戦アルゼンチンで連続表彰台を得たのがフェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)です。レース1で今季2度目の3位表彰台を獲得した後、レース2では2位表彰台を獲得。今年速さを見せるグランプリからの転向組、ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)やステファノ・マンジー(トライアンフ)が苦戦をする中、過去にもアルゼンチンでレース経験があるカリカスロは今季ベストの結果を残すことになりました。

フェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)は2016年から「スーパースポーツ世界選手権」に参戦したイタリア人ライダーで、昨年まではヤマハでチャンピオンを争っていました。2019年にはランディ・クルメナッハーやジュール・クルーゼル(ヤマハ)とタイトル争いを展開し、ランキング2位を獲得。惜しくもチャンピオンを逃しました。

今季、新規参戦のドゥカティに移籍。アルゼンチンでは彼自身のコース経験はあってもチームとしてもマシンのデータが皆無な中で強さを見せたドゥカティ・パニガーレV2とフェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)の走りはインドネシア戦でも輝くことになるでしょう。なぜなら昨年、カリカスロはインドネシアで3位表彰台を獲得しているからです。

マニュファクチャラーズランキングではすでにヤマハがチャンピオンを決めていますが、新興勢力のドゥカティはカワサキを凌駕し、トライアンフとMVアグスタを引き離しています。しかし、ヤマハ以外の優勝という意味ではトライアンフに先に勝たれていますので、ドゥカティは今季中になんとか1勝したいところです。

現在ランキング6位につけているフェデリコ・カリカスロ(ドゥカティ)は16点差でステファノ・マンジー(トライアンフ)を追いかけます。グランプリからの転向組はこれまた未経験のコースとなるだけにランキングを一気に上げてくるかもしれません。ドゥカティの活躍に大いに期待です。

そして、「スーパースポーツ世界選手権」のニュースとしては来季から2人の日本人ライダーが参戦する見込みであることがわかりました。スーパースポーツ300世界選手権からのステップアップが決まった岡谷雄太、そして全日本ロードレース選手権を戦ってきた阿部真生騎(あべ・まいき)です。

18歳の阿部真生騎の父はグランプリやスーパーバイク世界選手権で活躍したのリックこと阿部典史(あべ・のりふみ)。後の世界チャンピオン、バレンティーノ・ロッシも憧れたという偉大なライダーを父に持つ阿部真生騎ですが、阿部典史は交通事故により彼が3歳の時に死去。祖父で元オートレーサーの阿部光雄から指導を受けてロードレースに挑戦してきました。体制発表はこれからですが、ロッシのスクールを受講して来季はスーパースポーツ世界選手権に参戦する予定です。来季、日本人ライダーが参戦するという意味でも注目が集まりそうなスーパースポーツ世界選手権。チャンピオンを争う2人が今季限りで卒業するということもあり、日本人選手がどこまで活躍できるかを占うという意味でもスーパースポーツ世界選手権の残り2戦は要注目でしょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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