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モーター スポーツ コラム 2022年11月19日

【FIM スーパーバイク世界選手権2022 第12戦 フィリップアイランド:プレビュー】バウティスタの王座決定も見逃せない1戦に

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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バウティスタとラズガットリオグル

バウティスタとラズガットリオグル

リッタースポーツバイクの最高峰レース「FIMスーパーバイク世界選手権」はいよいよ2022年のシーズンフィナーレ。最終戦となる第12戦はオーストラリア、同国のバイクレースの聖地とも言えるフィリップアイランド・グランプリサーキットで開催されます。2年半ぶりの開催となる同地でのレース。今回は11月18日(金)〜20日(日)に開催の最終戦レースプレビューをお届けしましょう。

さて、前戦・インドネシアではアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が2022年のワールドチャンピオンを獲得し、今季の戦いが一区切りとなりました。スーパーバイク世界選手権において、F1のフェラーリのような存在であるドゥカティ。同社のライダーが王座を獲得したのは実に11年ぶり。同じスペイン出身のカルロス・チェカ以来の栄冠となりました。

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MotoGPクラスなどグランプリで長く活躍してきたものの最高峰クラスではチャンピオンになることができなかった点でもバウティスタとチェカの共通点と言えます。レース専用の軽量でピンピンに研ぎ澄まされたマシンから、設計上は街乗りを想定したオートバイをベースにしたレースに転向し、結果を残し続けるのは決して容易なことではなかったでしょう。

チェカが走っていた当時はマルコ・メランドリやマックス・ビアッジなど同じグランプリ出身のライダーとのチャンピオン争いでした。一方でアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)の場合はグランプリ出身ではないトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)、そして6度の世界王者であるジョナサン・レイ(カワサキ)という市販車ベースのレースでキャリアを積み重ねてきたライダーたち、いわばこの道のツワモノたちがライバルでした。

スーパーバイク世界選手権に転向した2019年は新型ドゥカティ・パニガーレV4Rの圧倒的優位性に助けられて前半戦に連勝しましたが、シーズン後半戦には失速。翌年はホンダのオファーを受けるも、勝てる環境にはなく、37歳という年齢を考えてもキャリアのピークは過ぎたと考えられていました。

しかし、アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)は今季、その輝きをまだ失っていないことをレースで証明してきました。トップスピードの優位性は確かにあるものの、MotoGP時代に見せていた後方から追い上げるスーパーアグレッシブな走りよりも、着実に結果につなげるベテランらしい走りが印象的でした。

勝てるチャンスで勝つ。引くところは引く。今季、勝てなかったのは転倒があった英国・ドニントンパークと、チャンピオンを決めにいかなくてはいけなかったインドネシア・マンダリカだけ。シーズン後半に息を吹き返してきた若き王者トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)との戦いは非常に見ごたえがありました。

というわけで王者は決まりましたが、最終戦から来季に向けた戦いがスタートしていくと言っても過言ではありません。来季の「スーパーバイク世界選手権」はメーカーのワークスチームのライダーは今季と変わらないラインナップになります。今季はアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)、そしてジョナサン・レイ(カワサキ)の3メーカーの代表ライダーが抜きん出ていた印象があり、それぞれのメーカーのナンバーツーにとっては来季は契約継続に向けて正念場となるはずです。

マイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)は最高位2位を含む4度の表彰台を獲得してトップ3ライダーに次ぐランキング4位。ただ、今季はまだ一度も優勝がありません。

スーパースポーツ世界選手権で王座に輝いたのちにスーパーバイク世界選手権に転向したアンドレア・ロカテリ(ヤマハ)は2年目の今年、2度の表彰台がありましたが、ルーキーイヤーの昨年は4度の表彰台を獲得していますから、今季はトップ3のライダーたちの影に隠れた印象です。ランキングも昨年の4位より一つ後退しています。

アレックス・ロウズ(カワサキ)は欠場が続いた昨年のランキング8位よりも上のランキング6位につけていますが、今季で目立ったレースを展開したのは母国の英国・ドニントンパークでのレースくらいで、今季もチームメイトのジョナサン・レイ(カワサキ)の後ろを走ることが多かったシーズンでした。

同じメーカーでもライダー間に明白な差が生まれたシーズンでしたが、そこに虎視眈々と来季に向けた準備を進めているのが、ホンダとBMWでしょう。両社ともに来季もライダーラインナップは変わりません。ホンダではイケル・レクオナ(ホンダ)の影に隠れていた印象だったシャビ・ビエルヘ(ホンダ)もシーズン後半戦は安定した結果を残しています。

そして、スコット・レディング(BMW)、マイケル・ファンデルマーク(BMW)というベテラン2人を揃えたBMWは来季にかける思いは強いでしょう。両社のマニュファクチャラーズ4位争いは3点差でホンダがリードしていますが、イケル・レクオナ(ホンダ)はインドネシアのフリープラクティスで怪我を負って欠場。ランキング4位争いはシャビ・ビエルヘ(ホンダ)とスコット・レディング(BMW)の一騎打ちが注目どころと言えるでしょう。

シリーズ最終戦をもって「スーパーバイク世界選手権」を去るライダーも居ます。日本代表選手として2シーズンに渡って参戦した野左根航汰(ヤマハ)は来季からグランプリMoto2に転向が決まっています。また、2013年にはトム・サイクスと激しくチャンピオンを争ったユージン・ラバティ(BMW)が引退レースになります。それぞれが様々な思いを持って挑む最終戦もお楽しみください。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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