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さらに、レース終盤にはNo.23 MOTUL AUTECH Zと交錯し、立体交差したでコースオフを強いられた12号車。幸いガードレールへの接触は免れたが、フロントの吸気口部分に芝生が詰まってしまった。これでペースを上げすぎると、オーバーヒートも懸念されたのだが、チームは勝利のためにトップを追いかけることを決断。それと同時に、シフトアップのタイミングを変更し、GT300を抜くときも、あまり真後ろにつかないようにするなど、オーバーヒートを食い止める対策も同時に伝えていた。
実際にどこまで余裕がなかったか定かではないが、こういった対策を施していたからこそ、最後までペースを落とさずに走りきれた部分もあったのかもしれない。
これについても、星野監督はチームスタッフの的確なフォローを評価していた。
「トップとの差が縮まって『いける!』と思ったのと同時に、飛び出した影響でマシンの心配もありました。そこでスタッフのみんなが計算して、本当に色々やってくれた。(優勝できたのは)おかげです」
「スタッフが育ったというのが大きいです。エンジニアたちもクルマの状況やタイヤのフィーリングなどを全部計算してやっているから。感心しています。ピットの判断とかも、うまくハマっています素晴らしいチームができたと思います」
星野一義監督(中央)
振り返ると、数年前は星野監督も、ピットストップのタイミングとか色々な作業に対する精度を口すっぱく言っていた印象があったが、それが今年に入って良い方向で結果に表れ始めている。おそらく、今のチームインパルは星野監督が理想としているものに、限りなく近づいている状態なのだろう。この点を加味すると、残り3戦のチャンピオン争いはライバルたちからすれば、かなり手強い存在になることは間違いない。
その中で注目となるのが、今回のSUGO大会。12号車は89kgのサクセスウェイトを背負ってのレースとなり、燃料リストリクター制限も最高段階のステージ3に入る。そのため、今回は優勝争いに絡むのは難しそうだが、その中でどれだけポイントを獲得できるか。安定して強さを発揮している12号車にとっては真価が問われる1戦となりそうだ。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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