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モーター スポーツ コラム 2022年5月28日

世界に名だたる屈指のテクニカルサーキットでの決戦やいかに?

SUPER GT by 秦 直之
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鈴鹿で開催されたSUPER GT 2021第3戦のスタートシーン

富士スピードウェイで行われたSUPER GT第2戦は、間違いなく記憶に残る一戦になったはずだ。二度のクラッシュにより、赤旗中断も2回。いずれも大事に至らなかったのは、不幸中の幸いだった。

初めての450kmレースということで、戦術にも幅が広がって、思いがけぬ展開になっていた可能性は十分あっただけに、フルディスタンス満たせぬ状態でのチェッカーは残念ではあったが、今年はまだ450kmレースは2戦残されている。お楽しみは、その時に取っておくこととしよう。

シリーズ第3戦の舞台は鈴鹿サーキット。シリーズランキング上位は、そろそろサクセスウエイトが厳しくなってきた状況において、世界に見ても屈指のテクニカルコースが、どんなレース展開をもたらすのか、大いに気になるところである。

前回の記者会見に、笑顔は見られず……

後味の悪い結末となってしまった第2戦。

前回の富士で優勝を飾ったのは、ARTA NSX GTをドライブする野尻智紀/福住仁嶺組で、GT300クラスでは富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組のTANAX GAINER GT-Rが優勝を飾っている。しかし、両チームともレース後の記者会見では喜びを表すことなく、むしろアクシデントに遭ったドライバーが無事だったことに安堵し、かつ観客のほとんどが最後まで残ってくれたことに感謝を述べていた。

特に2回目のクラッシュは、一歩間違えば観客を巻き込んでいた可能性もある。また、勝ったドライバーとて、いつ自分が同じような状況に陥らないとも限らない。神妙な面持ちになる方が自然ではあった。正直、前回のレースから1か月経っていないのだから、まだ誰も意識の奥底に残している。だからこそ、今回はスカッとしたレースを望みたい。

鈴鹿では松田/クインタレッリ組が奇跡の3連勝。果たして今回は?

鈴鹿4連勝を狙う23号車MOTUL AUTECH GT-R。

鈴鹿での過去3年間、4レースのデータを振り返ってみよう。GT500クラスは圧倒的だった。MOTUL AUTECH GT-Rをドライブする、松田次男/ロニー・クインタレッリ組が3連勝。同一のサーキットでは記録という。

2020年の第6戦など、50kg積んだ上に予選でアクシデントがあり、最後尾からスタートしてなお勝ったことから、「テール・トゥ・ウィン」なる造語が生まれたのが記憶にある。セーフティカーが入る直前のピットストップが功を奏して、気がつけば大きく順位を上げていたばかりか、トップにも立っていたという……。

これはもう、強いとか速いとかを通り越して、相性抜群と言わざるを得ない。しかも、昨年の第3戦に至っては2位がCRAFTSPORT MOTUL GT-R、3位がリアライズコーポレーションADVAN GT-Rと、ニッサン勢が表彰台を独占してもいる。ならば今回も……というのは、あまりにも早計だ。

誰もがすぐ分かることは、今年からニッサンはGT-RからZにマシンを改めている。こと昨年のGT-Rはテクニカルコース重視のエアロを装着していた。逆に富士のようなハイスピードコースを苦手としていたからこそ、今年のZはそういった特性をマイルドにしている。まして、2戦連続の入賞で、松田とクインタレッリのMOTUL AUTECH Zは、サクセスウエイトが30kgにも達し、まだ序盤戦で軽いマシンも多く存在する状況においては、勝つのはそう容易いことではない。さりとて「4連勝はない」とキッパリ言い切れないのは、相性というものに、確固たる根拠がないためだ。

第3戦として行われた、過去3回のレースでは10kgにサクセスウエイトが達したマシンは優勝しておらず、ヘアピンとシケイン以外はフルブレーキングを要しないから、ウエイト感度は低いと言われている鈴鹿なのに、結果は裏腹となっているのが興味深いところ。実際、軽いに越したことはないだろう。

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軽いといえば、ここまで入賞がなく、サクセスウエイトを積まずに挑める、Modulo NSX-GTの伊沢拓也/大津弘樹組は、昨年の鈴鹿で2戦ともポールポジションを獲得。これまた根拠はないが、相性はいい。その一発の速さに信頼性が結びついたなら! そして、もう1台ノーポイントであるのが、au TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組だ。前回もトップを争ったが、どうにも展開に恵まれず。両チームとも「三度目の正直」を期待したい。

今年のGT300クラスは、GT-Rが好調。次に続くのは……

第2戦では2位と躍進したBUSOU raffinee GT-R。

かつて鈴鹿でGT300クラスは、GT300車両が強いとされてきた。FIA-GT3車両に比べ、コーナリングスピードが高いのが理由だったが、近年はBoPによる性能調整で、とりわけリストリクターの縮小によって、東コースで作ったマージンを、全開区間の多い西コースで失ってしまっている。ガソリンを少なく積めばいい予選は良くても、決勝で苦戦を強いられるというわけだ。これは鈴鹿に限らず、今年ここまで2戦の傾向でもあり、同じような状況がしばらく続きそうである。

その話を抜きにしても現在、鈴鹿を得意とするマシンはなんだろうと、ふと思ってしまった。過去3年間、4レースで二度勝ったチームはもちろんなく、そしてマシンもない。表彰台に複数回上がったチームも、ごく限定されていてGT500クラスとは対照的に相性ではなく、勝負は時の運なのではないか、とさえ鈴鹿では思えてしまうほどだ。これには根拠があって、ここ2戦は50kg近くサクセスウエイトを積んでいても、優勝を飾れているからだ。

今年の開幕2戦に関していうと、GT-R勢が強い。前述のとおり、前回はTANAX GAINER GT-Rが勝ち、開幕戦はリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rの藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組が優勝という具合に。しかも、両チームとも2戦連続で入賞も果たしている。この安定感は、シリーズを追いかける上では、極めて理想的な展開だ。サクセスウエイトを積んでいても……という、先に述べた理論からすると、引き続きの快進撃もあながち不可能ではなさそうだ。

同じGT-R勢で注目したい、と思わせるのがBUSOU raffinee GT-Rの柳田真孝/井出有治組だ。実に21年ぶりという、このコンビは開幕戦こそ11位と、あと一歩のところで入賞を果たせなかったものの、前回は2位。レース的に目立っていたわけではなく、むしろ渋い展開で得た結果という感も強かった。まだサクセスウエイトも23kgとあって、今度は攻めの展開も見せて欲しいものである。

そして、昨年の最終戦から3戦連続でポールポジションを奪っている、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組。この輝かしい結果が、そのまま優勝に結びついていないのは、ディフェンディングチャンピオンであるからこそ、少々歯がゆくもあるはずだ。GT300車両劣勢というレッテルを剥がせるのは、現時点ではこのチームだけ……という印象もあり、今度こその期待もかかる。

とにかく何が起こってもおかしくないのが、近頃のSUPER GTである。想像の上を行く展開となって、「そう来たか!」と唸らせるようなレースを期待したい。

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文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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