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モーター スポーツ コラム 2021年4月28日

LMP1が終わりハイパーカー時代の到来。トヨタの3連覇なるか?

モータースポーツコラム by 皆越 和也
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トヨタ「GR010ハイブリッド」開幕戦でのデビューウィンを狙う。

プロトタイプカーとGTマシン、4つのクラスの混走による世界耐久選手権(WEC)の2021年シーズン開幕戦「スパ6時間」が、4月 29日〜5月1日にベルギーのスパ-フランコルシャンにおいて開催される。その予選、決勝の模様はJ SPORTSで生中継J SPORTSオンデマンドでもLIVE配信する。

4年ぶりに年を跨がないシーズンとなった2021年シリーズ。新型コロナ感染症(COVID-19)が収束せず、開催日程も修正を繰り返され、ようやく開幕戦がスパにおいて開催されることとなった。今季は4月26〜27日に合同テストとなる“プロローグ”が行われ、その流れで開幕のスパ6時間が開催される。6月に予定されていたル・マン24時間は8月下旬へ順延となり、欧州の4大会、富士、そしてバーレーンと6大会でチャンピオン争いが繰り広げられることになった。

またトップクラスのLMP1は昨年いっぱいで終了となり、新たな規定のハイパーカーがトップクラスとなった。ハイパーカーは参戦コストを抑えてメーカーの参戦を促すための新しいクラスで、今季はトヨタがGR010ハイブリッド、ニュル24時間にオリジナルカーで参戦していたアメリカのグリッケンハウス・レーシングが007 LMHで参戦する予定だったが、グリッケンハウスの車両は開幕には間に合わなかった。また昨年レベリオンが使用していたLMP1車両をアルピーヌが流用しアルピーヌA480として参戦することが認められた。

WEC最高峰カテゴリーへのデビュー・シーズンとなる「アルピーヌ・エンデュランス・チーム」

今季のFIA WECにフル参戦するのはハイパーカークラスが5台(グリッケンハウスが欠場のため当面3台)、LMP2クラスが11台、LMGTE Proクラスが(フェラーリとポルシェ各2台)4台、LMGTE Amクラスが(フェラーリとポルシェが各5台、アストンマーティンが3台)13台の計33台。このスパ6時間にはLMP2に3台のスポット参戦、LMGTE Proに1台(コルベット)のスポット参戦があり、合計35台の車両がエントリーしている。

LMP2クラスはほぼオレカ・ギブソンのワンメイク状態で、今回スポット参戦のG-ドライブ・レーシングが使用するオーラス01というシャシーはオレカ07と同じ。唯一ARCブラチスラバがリジェJSP217を使用する。もちろんエンジンはギブソンのワンメイクだ。したがって車両の性能差が出にくく、昨年以上の混戦が予想される。

混戦が予想されるLMP2クラス。昨シーズン山下の加入で注目を集めたハイクラス・レーシングはベテランのヤン・マグヌッセンを起用した。

LMGTE Proクラスは年々参戦台数が減り寂しい状態だが、今年もフェラーリ488 GTE EVOとポルシェ911 RSR-19の一騎打ちとなる。今回は昨季デビューしたシボレー・コルベットC8.Rが参戦。2メーカーと同等の結果が残せるかチェックしておきたい。

参加台数が最も多く激戦となるLMGTE Amクラスで最も注目したいのは、もちろん日本のD’stationレーシング。アストンマーティン・ヴァンテージのFIA GT3車両でS耐開幕戦の優勝を遂げた星野敏と藤井誠暢のコンビに、アストンワークスのアンドリュー・ワトソンが加わりシリーズ制覇とル・マン24時間優勝を目指す。

スパ・フランコルシャンは、ベルギー東部、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森に1921年に設営された山岳コース。現在のコースは安全面での改修を受け、一周7,004kmと短縮されている。山岳コースのためコースはアップダウンに富み、タイトな1コーナー(ラ・スルス)を抜けた先は一気に急な坂を駆け上る名物コーナーであるオールージュ。コース中盤〜後半にもタイトなテクニカルコーナーが連続するドライバーズサーキットでもある。またコースは山中にあるため、場所によって天候も変わりまた天候の急変もあり、“スパウェザー”と呼ばれ、エントラントを悩ませる。

プロローグでハイパーカークラスを上回るタイムを出したユナイテッド・オートスポーツUSA

スパ6時間を前に行われた“プロローグ”の初日は、ハイパーカークラスがLMP2クラスに埋もれるという事態となった。総合トップとなったLMP2クラスのトップタイムは#22ユナイテッド・オートスポーツUSAの2分4秒968。総合8位にとどまった8号車トヨタは2分6秒896と2秒近い差となった。遅い理由は路面温度とタイヤのマッチングなのか、セットアップが決まっていないのか詳しい発表はないが、フリープラクティスから予選にかけてトヨタがトップ争いに加わってくるのではないかと予想する。

今年も各クラスで激しいバトルが長時間にわたり展開される“シーズン9”。J SPORTSを見逃してはならない。J SPORTSでは、予選を30日深夜1:10〜3:40、決勝を1日20:00〜2日4:00に LIVE放送予定(J SPORTS 3/J SPORTS オンデマンド)。

文:皆越 和也

皆越 和也

皆越 和也

1961年熊本県出身。1980年代後半に富士スピードウェイで観戦した「WEC in JAPAN」で四輪モータースポーツに目覚め、モータースポーツ専門誌編集部等を経てフリーランスのフォトライターに。SUPER GTは全日本GT選手権がスタートした1993年より、ほとんどのレースを現場で取材している。

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