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モーター スポーツ コラム 2020年9月9日

SUPER GT第4戦プレビュー|ここまでの3戦とは、また違った風景になる!?

SUPER GT by 秦 直之
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SUPER GT第4戦プレビュー

本来1年間かけて行うシリーズを半年に凝縮したこともあり、2週間から3週間という短いインターバルで開催されるSUPER GT。第4戦の舞台であるツインリンクもてぎは近年、最終戦として開催されてきただけに、従来はまったく暑さを苦にせずに済んだ。しかし、今回ばかりはそうもいかず、その暑さに対するデータがないことが、果たしてどう影響を及ぼすか。

タイヤはそれほど酷使されないサーキットであるだけに、GT300に限らずGT500でもタイヤ無交換、あるいは2本のみ交換を作戦として採るチームはありそう。しかし、ブレーキは徹底的に痛めつけるレイアウトであるだけに、暑さが加われば厳しさは倍増。普段以上にマネージメントが重視されるに違いない。

いったい本当に速い車両は、どれなのか?

今シーズンはRd毎に勝利メーカーが異なるだけに、2勝目の行方が大きな注目を集める。

開幕戦では圧倒的なトヨタGR Supraの強さが披露され、第2戦ではホンダNSX-GTの逆襲があったかと思えば、富士ではまったく劣勢を強いられていた、ニッサンGT-Rが鈴鹿での第3戦で息を吹き返した。日替わりならぬ「ラウンド替わり」メニューのようになっているが、果たしてGT500で最初に2勝目を挙げるメーカーはどこなのだろうか?

まず、ここまでの3戦で明らかになったのは、GR SupraとNSX-GTはストレートパフォーマンスを重視し、GT-Rはコーナリングパフォーマンスを重視していたということだ。要するにエアロパーツの特性の違いであるのだが、富士のレースが8戦中4戦あることを思えば、ストレートパフォーマンス重視の方が、シリーズを通した戦いを有利に戦える。あえてGT-Rがコーナリングパフォーマンスを重視したのは、開幕2連戦での苦戦を見越した上で、ライバル車両のウエイトハンデが厳しい状態で、鈴鹿を確実に獲ろうという考えによるに違いない。

だが、今回の舞台である、もてぎは富士とも異なれば、鈴鹿とも異なる特性のサーキット。ストップ&ゴーが繰り返されるレイアウトだ。今までは最終戦とあってノーハンデ、過去のデータが参考になるかと思われたものの、これが毎年勝つメーカーが3年間異なっている。しかも、GT500は全車ニューマシンになっているのだから、仮に勝ち続けているメーカーがあったとしても、今年そのまま当てはまることはないだろう。予想は極めて困難だ。

運も味方に、どこまで突っ走るかau TOM’S GR Supra!

現在ランキングトップ。開幕戦から3戦連続表彰台と安定かつ力強い走りをみせている関口 雄飛-サッシャ・フェネストラズ組(au TOM’S GR Supra)

さて、ストップ&ゴーが繰り返されるということは、それだけ重さが効くということでもある。そこで視点を変えて、ウエイトハンデに苦しんでいないチームが有利だと考えることとしよう。

今年は意外とポイントが分散されており、ノーハンデはカルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/平峰一貴組だけ。十分勝ちに行ける体制ではあるのだが、いかんせん運に恵まれていないという印象は強い。最後の優勝は2016年の第5戦・鈴鹿。ポールポジションを奪えれば、星野一義監督が現役時代に得意としていた「先行逃げ切り」も不可能ではないはず。4年ぶりの優勝に期待がかかる。

不運なレース展開が続いているTEAM IMPUL。青い新幹線の復活をファンは待っている。

そして開幕戦でポールを奪うなど、速さは実証されているARTA NSX-GTの野尻智紀/福住仁嶺組は、今回のレースをわずか8kgのハンデで挑めることになる。果たして「三度目の正直」なるか、大いに注目したい。もてぎはホンダにとって、どうしても押さえたいコースであるだけに。

一方、GR Supra勢は、ここまで総じて高得点。最もウエイトが少ないのが、WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資/宮田莉朋組の6kgだが、ここはクルマやドライバーより、タイヤの問題が大きそうだ。GR Supra勢の中ではいちばん軽くても、同じヨコハマタイヤを使用するチームよりは重い。ただ、そのヨコハマも連戦だったため、先々の対応が遅れたものの、方向性を見出して新スペックを投じるという情報もある。うまくハマれば、大躍進も不可能ではないだろう。

GR Supra勢で次いで軽いのが、ZENT CERUMO GR Supraの立川祐路/石浦宏明組で24kg。ここも今年は運に恵まれていない。前回も勝負に出るかと思われた途端に、マシントラブルが発生。ただ、次回のレースが得意とする富士だけに、そう重くない状態のまま必勝体制で臨むという可能性も。

第3戦鈴鹿では3位につけていたものの、ギヤシフトのトラブルで無念のリタイヤとなったZENT GR Supra。第5戦を見据えてのレース展開となるのか気になるところだ。

逆に展開に恵まれているのが、au TOM’S GR Supraの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組。ここまで優勝はなくとも、2位、2位、3位と表彰台を一度も逃さず、ランキングのトップ。82kg積んで、どんなレースを見せてくれるのだろう? 後先考えず、このまま突っ走っていってほしいものだ。

タイヤ無交換がGT300のカギを握る?

ランキング2位の2号車Cars Tokai Dream28。3年ぶりにSUPER GTへ復帰した柳田真孝と加藤寛規のベテランコンビが躍動している。

GT300も、ここまで予想外の展開が続いている。これまでのセオリーであれば、富士を得意とするのがFIA-GT3で、鈴鹿を得意とするのがJAF-GTだった。ところが、第1戦は埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹/川合孝汰組が、第2戦はシンティアム・アップル・ロータスの加藤寛規/柳田真孝組が、そして第3戦はGAINER TANAX GT-Rの平中克幸/安田裕信組が優勝と、まったく正反対の展開となっている。

それは「たまたま」であるのかもしれないが、今やJAF-GTもコーナーだけが速いのではなく、またFIA-GT3もストレートだけが速いのではなくなっているのかもしれない。それぞれに進化があるということなのだろう。また、今年からGT300は獲得したポイントの3倍となるウエイトが積まれることから、ひとたび勝てばライバルが同等のウエイトを積んだ後に、また上位につけるという展開が予想されたが、この3チームに関して言えば、積んでなお入賞を重ねており、こう展開を呼び寄せる術にも長けている、ということができよう。

ただストップ&ゴーの繰り返される、もてぎに関しては重さが致命傷になりかねない。加速にもブレーキングにも大きな影響を及ぼすからだ。特にGAINER TANAX GT-Rは、早くも100kg超えとなっており、1ポイントでも稼げれば御の字ということにもなろう。

第3戦では終盤の荒れた展開を制し、ランキングトップとなった11号車GAINER TANAX GT-R。

今回はまた、JAF-GTに最低重量の見直しがはかられ、10〜15kg重くなってしまう一方で、燃料給油リストリクターの緩和も実施される。となれば、タイヤ無交換作戦に討って出るチームが確実に現れるはずだ。前回、ポールポジションを奪った、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの嵯峨宏紀/中山友貴組は、かなりの高確率で! スタートからトップを走りながら、セーフティカーランでマージンをなくして7位に甘んじたものの、復活の速さを大いにアピールしただけに、今回も面白い存在といえそうだ。

そして、もてぎに絶対の自信を持つのがLEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/菅波冬悟組。もてぎでは優勝も含め、表彰台に上がり続けており、また3戦連続の入賞も57kgと、ぎりぎり許容範囲のウエイトだけに、ここも注目すべきチームだ。そして同じメルセデスAMGの、グッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝/片岡龍也組は、まだ15kgしかハンデを積んでおらず、この重さはまだまだ十分武器になるはず。そろそろ……の期待もかかる。

4号車GOODSMILE RACING & TeamUKYOは現在ランキング12位。

なお今回まで無観客試合で、どうやら富士での第5戦から5000人を上限に観客の入場が可能になる予定。もうしばらくの辛抱であるだけに、今回はJ SPORTSでの視聴をお楽しみいただきたい。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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