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モーター スポーツ コラム 2020年8月18日

SUPER GT第3戦プレビュー|鈴鹿を制するのは、GR SupraかNSX-GTか?

SUPER GT by 秦 直之
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SUPER GT第3戦プレビュー

SUPER GT第2戦は、KEIHIN NSX-GTの塚越広大/ベルトラン・バゲット組が優勝を飾り、2戦連続の「GR Supra祭り」は回避された。トップ争いもARTA NSX-GTの野尻智紀/福住仁嶺組との間で繰り広げられていたから、その印象はより強いのではないだろうか。

さて第3戦は初めての連戦だった富士スピードウェイから、舞台が鈴鹿サーキットに移されての開催となる。前回もインターバルは3週間しかなかったが、今回は2週間で今後も似たような状況だから、次第に慣れていくのだろう。コースも違えば、手をかけられる時間も少ないことが、果たしてレース展開にどう影響を及ぼすのだろう?

ARTA NSX-GTにリベンジのチャンスあり?

開幕戦、第2戦と悔しいRdが続く、8号車 ARTA NSX-GT。第3戦はホームコースだけに巻き返しを図りたい

クラス1規定に則り、本来のミッドシップからFRに改めたホンダNSX-GTが、わずか2戦で優勝とは正直言って予想外だった。とはいえ、ホンダも以前はHSV-010を走らせており、FRの経験がないわけではない。時代が変わって、また進化の度合いが違うとはいえ、過去のデータが活かされたとも考えられる。むしろミッドシップだから追っていた重量面などのハンデから解放され、その点においては腕の振るい甲斐はかえってあったかもしれない。

いずれにせよ、開幕戦から一発の速さは認められていたNSX-GTながら、スティント後半の落ちが大きいのが弱点とされていた。だが、第2戦のKEIHIN NSX-GTに関しては、それが感じられなかった。塚越によれば、彼らだけが『正解』をつかんでいたようだ。

「開幕戦では僕たち、トラブルがあったけれど、それがなく走り続けていれば、上位に行けたんじゃないでしょうか。他のNSX-GT勢よりも僕らの方が、いいセットを見つけていると考えています」と塚越。このコメントがブラフでないなら、40kgのウエイトハンデを背負ってなお、今回の鈴鹿でも上位につけられるのではないだろうか。

おそらくARTA NSX-GTも、それに近い『正解』を見つけているはずだ。それは一時トップを走ったことで明らかだし、野尻のアウトラップのスピンがなければ、少なくても2位には入れた。あるいは、もう少しタイヤのウォームアップが早ければ、スピンせずに済んで逃げ切れた可能性もある。

鈴鹿はホンダの聖地、NSX-GT勢にとってはホームコースであるわけで、どこで勝ちたいかと聞けば、間違いなく鈴鹿だと答えよう。そこにわずか8kgのウエイトで挑めるわけだから、ARTA NSX-GTにとっては最大の好機到来とは言えまいか。

NSX-GT勢は開幕戦から続くスープラ勢の上位独占をなんとしても阻止したいはずだ。

鈴鹿と富士では、コース特性が異なるのは紛れもない事実であるが、近頃の富士がストレート重視だけでなく、高速コーナーのセクター2、テクニカルのセクター3も含め、トータルで速くないと結果が残せなくなっている以上、先の『正解』はかなりの部分で鈴鹿にも当てはまると考える。過去2戦、予選では2番手、そしてポールだっただけに、「もう結果を残さないことには!」という思いもあるだろうし……。

GR Supra祭りは「後夜祭」がまだまだ続く?

ランキングトップの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(36号車 au TOM’S GR Supra)。サッシャ・フェネストラズ(左)はGT500デビューとは思えないアグレッシブな走りを見せつけている。

KEIHIN NSX-GT圧勝の一方で、au TOM’S GR Supraの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組が、「してやったり」の表情を見せているような気がしてならない。15秒もの差をつけられたとはいえ、2戦連続の2位でランキングはトップ。予選6番手からレースを開始したのだから、最終的に何秒差をつけられようが、痛くもかゆくもないだろう。

KeePer TOM’S GR Supraの平川亮/ニック・キャシディ組もそうだが、こと予選では想像していた以上にウエイトハンデが効いていたよう。42kg積んでいたこともあり、こちらは10番手。それでもレースは4位でゴールしている。さらにWAKO’S 4CR GR Supraの大嶋和也/坪井翔組も2戦連続で3位につけ、ランキングのトップ3までを占めている。ニュアンスとしては、GR Supra祭りの「後夜祭」には成功したという感じか。いずれにせよ、決勝には強い車両であることが改めて証明された。

新型コロナウィルスの影響により来日が遅れていたヘイキ・コバライネン。スープラ勢が好調なだけにその波に乗り今期初のポディウム獲得を目指したい。

これら3台はウエイトのことを考慮すれば、予選は少々厳しくても決勝でどこまで順位を上げてくるか、引き続き注目したいところだ。他にトヨタGR Supra勢の注目どころは、前回のプレビューに引き続きになるが、DENSO KOBELCO SARD GR Supra。今回はヘイキ・コバライネンがようやく復帰を果たし、中山雄一と今年初めてタッグを組む。さらに前回、予選14番手からスタートしながら、決勝への大幅なセット変更が効いて、ドライブシャフトの破損で戦列を離れるまで8番手にまで上げていた、WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資/宮田莉朋組も気になるところである。

昨シーズンからニッサンファンにとっては悔しい結果が続いている。第3戦では復活の兆しを見せて欲しい。

一方、ニッサンGT-R勢だが、2戦終えてまだトンネルからの脱出感はない。カルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/平峰一貴組が、最上位となる6位でゴールしたかと思われたが、終盤に接触があり、これが危険なドライブ行為との判定で11位に降格。再上昇のきっかけをつかめたかと思われたが、どうにも不運続き。よって、またもCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの平手晃平/千代勝正組が最上位となったが、開幕戦よりひとつ落とした8位は、どうあれ納得など少しもしていないだろう。

ボディサイズがライバル車両に比べて大きいという、ハンデは確かにあるのだろうが、それだけではない「根」は予想以上に大きそうだ。鈴鹿でも苦戦が続けば……。

鈴鹿でも引き続き有利か、JAF-GT勢! 

対するは、鈴鹿3連勝の期待がかかるK-tunes RC F GT3

ロータス・エヴォーラMCは待望の初勝利。加藤寛規にとっては実に10年ぶりの優勝だった。

開幕戦では埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹/川合孝汰組が優勝、マッハ車検GTNET MC86マッハ号の坂口夏月/平木湧也組が3位。そして第2戦ではシンティアム・アップル・ロータスの加藤寛規/柳田真孝組が優勝、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組が2位と、今年のGT300はJAF-GT勢が絶好調。かつて富士は苦手と言われていたものだが、すっかりその印象は失せている。

FIA-GT3に対するBoPの影響も大きいだろうが、結果的にオフシーズンが長くなってしまったことで、例年以上に手を加えることが可能となり、ポテンシャルを高めたから……という方が、たぶん要因としては大きいはずだ。逆に、改造の許されないFIA-GT3は、時間がたっぷりあっても、長いオフという恩恵は受けられなかったと考えられる。

富士でストレートパフォーマンスの差を、コーナリングでカバーできたのだから、鈴鹿ではより威力を発揮しそう。ただ、先に記した4台はすでにウエイト30kg超え。埼玉トヨペットGB GR Supra GTに至っては、第2戦でも6位に入って75kgも積んでいるから、しばらくは手堅いレース運びを強いられよう。

初のSUPER GTフル参戦となる小高一斗。予選で見せた驚速タイムは自身に繋がったはず。第3戦でリベンジを果たしたい。

そこで勝負に出られそうなJAF-GT勢として、ADVICS muta MC86の阪口良平/小高一斗組を挙げたい。前回も予選ではトップ、ベテランの阪口がセットを詰め、フル参戦は初となる、若い小高がスピードを突き詰めた。決勝ではタイヤが高い路面温度とマッチせず、結果として9位に甘んじたものの、同じ轍は踏むまい。早々のリベンジに期待がかかる。

一方、FIA-GT3勢としてはレクサスRC F GT3の相性が良く、鈴鹿ではK-tunes RC F GT3の新田守男が、パートナーが中山雄一、阪口晴南と改まってなお2年連続で制している。昨年とはタイヤが異なるのがどう影響を及ぼすかだが、何はともあれ叔父の良平、甥の晴南による阪口家・直接対決も見てみたいものだ。

なお、今回はGT300に対する、タイヤ4本交換の義務づけはなくなり、またJAF-GTに対する燃料補給装置の流量緩和措置はなくなり、開幕戦同様とされている。

第4戦までは無観客試合とあって、がらんとしたスタンドは未だに慣れず、我々取材陣としても観客の熱狂ぶりが、レースを盛り上げてくれることを改めて感じた次第である。今回も画面越しの熱い応援をお願いしたい。きっと気持ちは伝わる!

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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