人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

モーター スポーツ コラム 2020年7月15日

遅ればせながら、いよいよSUPER GTが開幕! 何が起こってもおかしくないシーズンに

SUPER GT by 秦 直之
  • Line

新型コロナウイルスの影響で、スケジュールが大幅に改められ、7月19日に当初の予定より3か月遅れで、ようやく幕を開けることとなったSUPER GT。全8戦でのシリーズ開催となるのは当初のままながら、舞台となるサーキットは富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎのみとなった。しかも、開幕からの4戦は無観客試合に。非常に残念ではあるものの、J SPORTSでは、特にオンデマンドにおいては練習走行、予選、決勝、そしてトークショーなど余すところなくお届けする。
さて、今シーズンの特徴としてはGT500が、全車ニューマシンでの戦いとなる。体制を改めたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、GR Supraを新たに投じることに。開幕戦の舞台である、富士スピードウェイで6月27~28日に行われた公式テストでは、セッション1においてWAKO’S 4CR GR Supraの大嶋和也/坪井翔組が、いきなりトップタイムを叩き出した。今、勢いに乗るドライバーのひとり、坪井と新たにコンビを組んだ大嶋が、連覇に向けて弾みをつけたのは言うまでもない。

セッション1で1位、2日間の総合記録で7位となった14号車 WAKO'S 4CR GR Supra。大嶋は3ヶ月ぶりの実戦走行であったが、ピットアウトした瞬間にすぐに感覚を取り戻すことができたとコメント。

全体的にGR Supra勢は安定感がテストでも見られ、デビューイヤーからの活躍が大いに期待できそうだ。ひとつ惜しまれるのがDENSO KOBELCO SARD GR Supraを中山雄一とともにドライブするはずだった、ヘイキ・コバライネンが入国できず。エントリーを取り消されていることだ。しかし、その代役として起用されたのは、昨年のチャンピオンのひとり、山下健太で本来なら今年はWEC(世界耐久選手権)に専念するはずであった。だが、その山下も出国できぬ状況が続く中、白羽の矢が当てられることに。中山と山下がタッグを組むのはSUPER GTでこそ初めてだが、他のカテゴリーでは同じチームに属した時期は長く、その意味でコンビネーションは問題なし。台風の目となる可能性は十分にありそうだ。
そして、2日間のテストで最速タイムをマークしたのは、RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組だ。今年からホンダ陣営はNSX-GTのままではあるが、駆動方式を変更。NSXと言えば……のミッドシップから、エンジンをフロントに置くFRに改めている。それまでのノウハウが通用しないとなれば、しばらく苦戦が続くかと思われただけに、正直なところ意外な結果でもあった。しかしながら本来、共通のモノコックの、置かれる場所にエンジンが置かれることでバランスが向上したのは間違いない。見た目の上でも、ほとんど違和感がないのは、エンジンがコンパクトであるためだ。王座奪還を目指すホンダのエース、山本から牧野がどれだけ多くのことを吸収できるかが、最大のカギとなりそうだ。

ドライ路面だった前日のセッション2に続き、ウェットコンディションのセッション3でもトップタイムを叩き出した100号車100 RAYBRIG NSX-GTの牧野任祐。

2日目のトップはARTA NSX-GTの野尻智紀と福住仁嶺だった。コンディションの悪化で初日のトップタイムは上回れなかったものの、裏を返せば悪条件にも強いとも。速さではホンダ随一と言われる野尻、そしてGT300チャンピオン福住のタッグは、しっかり歯車が噛み合えば、想像以上の爆発力を発揮しそうだ。
一方、ニッサン勢はGT-Rのままとあって一日の長があるかと思われたが、こと公式テストにおいてはトラブルが多発。しかも、同じパーツが壊れている。ダメ出しができたという点では、その段階であってラッキーだと考えるべきか。もちろん対策が講じられるであろうし。中でも注目は、不動のWエースで挑むMOTUL AUTECH GT-R。松田次生とロニー・クインタレッリが本番に強いは、もはや誰もが知るところ。あっと驚くスピードを期待したい。

トラブル続きのニッサン勢で唯一問題が発生しなかった23号車 MOTUL AUTECH GT-R。走り込みが足りなかったニッサン勢は不安を抱えたまま開幕戦を迎えることとなった。

また、テストでは成果を残せなかったものの、佐々木大樹、そしてGT300からの昇進が許された平峰一貴がドライブするカルソニックIMPUL GT-Rにも注目だ。星野一義監督は、久々に若手日本人ドライバー同士を組み合わせてきた。このふたり、世代は一緒で、カートの時代から同じカテゴリーを戦ってきた、いわばライバル同士。お互い手の内を知り尽くした相手とあって、かえって戦いやすいとも。走りも性格も対照的なふたりであるだけに、予想以上の化学変化が期待できそうだ。

GT300ではSUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組が、公式テストでは総合トップタイムを記している。いかにターボを積むとはいえ、最小排気量車がストレートの長い富士でトップに立つとは、かつて誰が考えただろうか。JAF-GT300とあって、今までも旋回速度の高さには定評はあったが、その持ち味をさらに活かしてセクター2からセクター3にかけ、しっかり稼いできたということか。

昨年は悔しいレース展開が多かった61号車SUBARU BRZ R&D SPORT。2日間トラブルなく走ることができたことに山内は「すごく良い結果で、成長を感じることができました」とコメント。

ただし、決勝での安定感という点においては、やはりFIA-GT3勢の方が有利か。初日のトップはModulo KENWOOD NSX GT3の道上龍/ジェイク・パーソンズ組で、これに続いたのがグッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝/片岡龍也組とLEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/菅波冬悟組だった。そして、2日目の2番手が、GAINER TANAX GT-Rの平中克幸/安田裕信組。このあたりは、いずれも優勝候補と言えそうだ。
まぁ、GT300においては設定されたBoPに対し、どれだけ公式テストで本気の走りを見せていたか定かではないだけに、また違った顔ぶれで上位が占められる可能性もあるだろう。車種のバラエティにも富むだけに、雨でも降ったらよけいにその可能性は高くなる。

ところでタイムスケジュールなのだが、基本は1デイでの開催となることを注意してほしい。
土曜日の16時から1時間50分で公式練習(J SPORTSオンデマンド限定LIVE配信)が行われ、予選、決勝はすべて日曜日に行われる。予選は9時30分からで、GT300はA/B2組に分けての計測となる。それぞれ上位8台ずつQ2進出が可能である。GT500に関しては従来どおりとなる。

群雄割拠のGT300クラス。GT300マザーシャシーで孤高の戦いを展開してきたHOPPY team TSUCHIYAは、今シーズンライバルと同じGT3カー(ポルシェ911 GT3 R)へのスイッチを決断。GT3車両の経験が豊富な佐藤公哉を軸に新シーズンに挑む

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
モーター スポーツを応援しよう!

モーター スポーツの放送・配信ページへ