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モーター スポーツ コラム 2019年9月6日

SUPER GT第6戦プレビュー

SUPER GT by 秦 直之
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この一戦、きっと天下分け目の戦いになる!?

全8戦で争われるSUPER GTは、ご存知のとおり第7戦はウエイトハンデが半減し、最終戦はノーハンデの戦いとなる。つまり、オートポリスが舞台の第6戦は、ランキング上位陣にとって最もハンデが厳しく、我慢を強いられるレースとなるのは必至だ。しかし、そんな状況で少しでも多くのポイントを稼いだチームが、チャンピオン獲得により大きな前進を果たすのではないだろうか。
その一方で、ハンデに苦しんでいないチームの大躍進も十分考えられ、普段とは一味違った光景を見られそうだ。アップダウンに富んだテクニカルコースとして知られるオートポリスは、特に予選ではコーナリング自慢のマシンが有利。それで軽ければ、まさに鬼に金棒も同然だ。

ここまでレクサス勢が2連勝、昨年は4位まで独占!

2016年は熊本地震で、施設の一部に損傷があったため、レースは中止に。過去2年間のリザルトを見れば、ポールポジションを奪っているのは、いずれもホンダNSX-GTで、17年は山本尚貴/伊沢拓也組が、そして18年は野尻智紀/伊沢組となっている。ところが、決勝となると、17年は塚越広大/小暮卓史組が2位、山本/伊沢組が3位となっているが、優勝を飾ったのは中嶋一貴/ジェームス・ロシター組のレクサスLC500。18年に至っては、平川亮/ニック・キャシディ組を筆頭に、LC500勢が表彰台の独占どころか、4位までを占めることとなっていた。

これだけ見ると、NSX-GTが予選に強く、決勝ではLC500が強いということになる。これにはNSX-GTがミッドシップであるということが要素として深くありそうで、一発の速さとして、オートポリスと相性がいいのは間違いない。しかし、オートポリスには名物とも言えるセクター3に、まるで峠のようなステアリングの切り返しの続く登り区間が存在する。ここがタイヤを容赦なく痛めつけることで知られるが、エンジンを車体中央に置く分、リヤタイヤへの負担が大きくなってしまう、ということが考えられる。すると300kmの決勝においては、フロントにエンジンを置くFRの方が少なからず有利なのかもしれない。

前回の富士のように、WAKO’S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組が連勝を飾るという、レースには「絶対」という言葉は当てはまらないため、何が起ころうともおかしくはないが、冒頭で述べたとおりウエイトハンデをたっぷり積んでいるランキング上位陣は、どうあれ我慢のレースを強いられそうだ。そのうえで昨年のウィナーが47kg積んでいたことを思えば、そのあたりがボーダーになるのは確実だ。実際、見てみると……。

ちょうどいいところ(!)にいるのが、48kgを積むau TOM’S LC500の中嶋一貴/関口雄飛組。しかも、中嶋一貴のオートポリスとの相性は抜群で、先にも述べたとおり17年に優勝、18年も関口とともに2位になっている。2年連続でブリヂストン勢がワンツーフィニッシュであることも踏まえ、十分勝ちに行けそうだ。同じブリヂストン勢ということで、準本命はDENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネン/中山雄一。ここもまだ40kgでしかない。

ニッサンGT-R勢では、もうそろそろ! カルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/ロシター組。ここで持てる力の解放がなければ、後はないのではないか? 逆にホンダNSX-GT勢としては非ブリヂストン勢の逆襲を期待したい。MOTUL MUGEN NSX-GTの武藤英紀/中嶋大祐組はヨコハマ、Modulo Epson NSX-GTのナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組はダンロップを装着。軽さを武器として、今季初の表彰台獲得はマストである。

トンネルからの脱出を条件に、HOPPY 86 MCを大本命へ!

かつてGT300ではニッサンGT-RニスモGT3が、安定の成績を残していたオートポリス。それは阿蘇山中に位置し、高地であることから空気が薄く、ターボによって加給できるエンジン搭載車に有利という理由によるものだった。ただし、近年は高地調整が入るようにもなったため、必ずしもそうとは言いがたくなっている。

現状、レイアウト的に間違いなくマッチしているのは、JAF-GT勢である。その成り立ちからコーナリングを得意とするだけに、テクニカルコースであるオートポリスとは相性が悪いわけがない。事実、予選では松井孝允をエースとするトヨタ86MC(マザーシャシー)が2年連続でポールを奪い、17年には山下とのコンビで優勝を飾っている。今年も松井/佐藤公哉組のHOPPY 86 MCは第3戦から2戦連続でポールを奪って、速さは誰もが認めるところながら、決勝ではなぜか結果に結びついていない。

条件はそういった「負のスパイラル」からの脱出ながら、まだ32kgしかウエイトを積んでいないということもあり、HOPPY 86 MCを今回の本命としたい。そして準本命は、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組。九州出身の井口には「ファンシート」が設けられるほどで、声援の大きさでは誰にも負けず。17年の2位を最上位に、まだ優勝はないだけに、勝負に討って出るのは間違いないはずだ。

大穴は、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの嵯峨宏紀/中山友貴組。ここまで入賞を果たせずにいるが、エンジンに何らかの改良が加えられるとの情報が入ってきた。まったくのノーハンデであることとも相まって、久々の大暴れが予想される。

FIA-GT3勢では、それでもGT-Rを、特にGAINER TANAX triple a GT-Rの星野一樹/石川京侍組を推したい。星野とオートポリスとの相性は良く、12年と15年に優勝経験を持つ。攻めどころを熟知する星野が、若い石川をうまくリードすれば、3勝目も決して夢ではないはずだ。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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