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SUPER GTが最も過酷になる一日
全8戦で争われるSUPER GTは、富士スピードウェイでいよいよシリーズ後半戦に突入する。その第5戦の特徴は、500マイル(約800km)での戦いとなることだ。鈴鹿1000kmが終了した現在、シリーズ最長となるレースであり、また時期が時期であるだけに、強烈な暑さとも戦わなくてはならず、過酷な戦いになるのはもはや必至である。
唯一、富士スピードウェイはSUPER GTを、年に2回開催するのはご存知のとおり。その第2戦で優勝を飾ったのは、GT500がZENT CERUMO LC500の立川祐路/石浦宏明組で、GT300がGAINER TANAX GT-Rの平中克幸/安田裕信組だった。しかし、続けて勝つことは、かなり難しいと言わざるを得ない。
タイでキラリ見せた速さが、そのまま富士でも通用する?
第2戦を制したのはGT500がレクサスLC500で、GT300がニッサンGT-RニスモGT3。ともに富士スピードウェイとの相性は良く、マシンとしての連勝はあり得るだろうが、ZENT CERUMO LC500やGAINER TANAX GT-Rが勝つ可能性は、かなり低い。理由は積み重なったウエイトハンデによる、第2戦の頃、それぞれ積んでいたのは3kg、0kgだったが、今では61kg、50kgにまで達しているからだ。
昨年、GT300でARTA BMW M6 GT3が52kgを積んでなお優勝を飾ったが、あれは例外中の例外というか、M6がまるで富士スペシャルのようなマシンだった。それが今年は出場していない以上、先のとおり、きっぱり言い切っても差し支えないだろう。さらに5月と8月では気象条件がまったく異なることも、連勝を許しにくい理由である。
むしろ気象条件というか、前回のタイ・チャーンサーキットのレースも暑かっただけに、その暑さを苦にせず、勢いがあった中でウエイトに苦しんでいないチームが上位にくるのではないか。そこで前回のリザルトを見ると、必然的に目に飛び込んでくるのが、3〜5位に入ったWedsSport ADVAN LC500の国本雄資/坪井翔組、リアライズコーポレーションADVAN GT-Rの高星明誠/ヤン・マーデンボロー組、DENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネン/中山雄一組だ。
この3チームは、前回トップ争いにこそ加われなかったが、その後方ではバトルを繰り広げ、キラリ光る存在感をアピールした。ちなみにウエイトハンデは前回の順位順に、35kg、28kg、40kgとギリギリ勝ちに行ける重さでもある。もちろん、3チームすべてが来るとは言わないまでも、今回のコンディションにそれぞれ異なるクルマとタイヤのマッチング次第で、飛び出してくるチームがあると予想したい。前回、優勝のWAKO’S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組が、第3戦の鈴鹿で3位の勢いをそのまま持ち込んだように……。
なお、今回は500マイルのレースということもあり、ピットの義務回数は4回となる。通常の300kmレースでは1回だから、きっちり半分に割ると150km。今回のレースを5つに分けると160kmであるから、1スティントの単純な負担はむしろ増すわけだが、よりピット戦術が重要な意味を持つのは間違いない。特にタイヤには注意していたいもの。
ダークホースはMcLaren。前回のレーススキップにはきっと理由がある!
GT300においてはFIA-GT3、とりわけターボエンジン搭載車が富士で有利とされてきたが、最近はセクター2、セクター3を速く走れることで、旋回自慢のJAF-GTも侮れないラップタイムを記すようになった。第2戦の富士では、予選2番手をHOPPY 86 MCの松井孝允/佐藤公哉/土屋武士組が、3番手をADVICSマッハ車検MC86マッハ号の坂口夏月/平木湧也/玉中哲二組が奪っていることから、そのことは明らかである。
しかし、依然として決勝でのコンスタントラップに勝るのはFIA-GT3であり、エンジンパフォーマンスに物を言わせ、ストレートで難なくJAF-GTをかわしていくのだから、やはり有利であるか。ただ、絶対とは言い切れないのは4回のピットストップ、すなわち給油回数が多くなるため、燃費では劣る分、ピットでの停止時間は長くなる。すると、JAF-GTにも可能性はある?
翻って、コースとの相性は間違いなくGT-Rがいい。これは断言できる一方で、有力どころは揃ってウエイトハンデに苦しんでいるだけに、それぞれいかに高得点を稼ぐかにターゲットを移しているはずだ。これはポイントリーダーのARTA NSX GT3を駆る、高木真一/福住仁嶺組にも当てはまるだろう。
となれば、前回の勢いで……という点においては、LEON PYRAMID AMGの黒澤治樹/蒲生尚弥組が前回3位とあって、注目すべき存在となる。本来、メルセデスAMGは、チャーンはもちろん、富士といった高速コースを得意としていないが、このチームが長丁場の戦術に長けるということと、マシンはBoPの見直しで15kg重くなるものの、リストリクター径が34.5mm×2から36mm×2に改められることが、いい影響を及ぼすのなら可能性は広がってくる。
また、ダークホースとして注目されるのは、McLaren 720Sの荒聖治/アレックス・パロウ組だ。ここまで目立った成績は残せていないものの、BoPの見直しで5kg軽くなって、車高が前後5mm下げられている。それ以外にも、ここまでの苦境に対し、何らかの対策を施してくると勝手に予想しているのだが、前回のレースをスキップしたのはきっと訳があるとも。いずれにせよGT500以上に、GT300の戦いは混戦になるのではないだろうか?
文:秦 直之
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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