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モーター スポーツ コラム 2019年3月15日

スーパーバイク世界選手権 第2戦タイ ~驚速ドゥカティをライバルは止められるか?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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スーパーバイク世界選手権 第2戦タイ ~驚速ドゥカティをライバルは止められるか?

オーストラリアのフィリップアイランドで開幕した「FIMスーパーバイク世界選手権」の第2戦はタイのブリーラムにあるチャン・インターナショナルサーキットでの開催。「J SPORTS」では3月15日(金)~17日(日)に開催される第2戦の模様を3月18日(月)にオンエアします。

さて、開幕戦のフィリップアイランドは誰もが度肝を抜かれるドゥカティの独走劇となりました。今季から満を持して新型マシン「パニガーレV4 R」を投入してきたイタリアのバイクメーカー、ドゥカティ。これまで「スーパーバイク世界選手権」ではドゥカティを駆るライダーが14回のタイトルを獲得。さらに、98年から設定されたマニュファクチャラーズ選手権(バイクメーカーの選手権)では10回のタイトルを獲得するなど、ドゥカティはF1で言うフェラーリのような、このレースのアイコン的存在と言えます。

しかしながら、先代モデルとなる「1199パニガーレ」と「パニガーレR」の時代には1度もタイトルを獲得することができませんでした。ドゥカティのフラッグシップモデルの伝統であった鋼管トラスフレーム(鉄パイプを三角形状に組んだフレーム)を捨ててまでの挑戦でしたが、残念ながら成功を収めることは最後までできなかったのです。

そしてドゥカティは今季から投入された新型モデル「パニガーレV4 R」でまた新たな挑戦をすることに。これまたドゥカティの伝統であった2気筒のエンジンレイアウトを捨て、MotoGPマシン「デスモセディチ」で成功を収めたV型4気筒を採用してきました。スタンダードモデルは排気量約1100ccですが、レースのスーパーバイク規定では4気筒モデルの排気量が1000ccのため、ドゥカティはサーキット走行に主眼を置いた排気量1000ccのベースモデル「パニガーレV4 R」を発売。まさに「スーパーバイク世界選手権」で再び輝きを取り戻すために、あらゆる手を尽くして挑んできたわけです。

そんなニューモデルのポテンシャルやいかに?という部分が開幕戦の大きな注目ポイントでしたが、ニューマシンであること、エースライダーののチャズ・デイビスが怪我を負っていたこと、MotoGPから転向のアルバロ・バウティスタが市販車ベースのレースが初めてだったことなどを考慮すると、いきなりの活躍は難しいのではないかとも予想できました。しかし、答えは新設されたスーパーポールレースを含む3レースで見事なまでの独走劇に。あまりの速さにライバルたちは完全にお手上げ状態となってしまったのです。

確かにアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)はテストから好調でしたが、彼自身のアグレッシブさがタイムに反映されているようにも見えました。しかしながら、ドゥカティ「パニガーレV4 R」は圧倒的に有利な立場に居たとも言えます。というのも、車種ごとに設定されるレブリミット(回転数制限)を見てみると、カワサキ「ZX-10RR」の1万4600回転、ヤマハ「YZF-R1」の1万4700回転に対し、ドゥカティ「パニガーレV4 R」はなんと1万6350回転という高待遇。全てが新設計であるがゆえ(=性能が推し量れないため)、かなり優遇されました。それがあのストレートスピードの圧倒的な速さに繋がったと言えます。

レブリミットの数値はシーズン中に性能調整されて行くことになりますが、第2戦のタイ・ブリーラムでもドゥカティの速さは変わらないと考えてよいでしょう。コースがフラットで、長いストレートもあるブリーラムのコースではこのストレートスピードの速さは圧倒的な武器になるはずですから。

ということで、勝負は見えたのでは?と誰もが思うところですが、ライバルも黙ってはいないでしょう。パーフェクトなレースを展開したアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)にとってブリーラムは初めてのコース。MotoGPで豊富な経験を持つ彼でもレース未経験のコースですから、このコースを知っているライバルたちはその弱みに付け込めるかが鍵となります。

これまでの実績で言うと、過去8レース行われた中で最多勝はジョナサン・レイ(カワサキ)の6勝。レイはこのブリーラムのレースからシーズンのリズムに乗って行く傾向がありますし、条件的には優位なバウティスタに対し、レイがどんな技を使ってくるかが注目ですね。そして、残りの2勝はチャズ・デイビス(ドゥカティ)とトム・サイクス(BMW)。デイビスは怪我の影響が少なくなっていれば、バウティスタとの1-2フィニッシュも狙ってくるはずです。

そして過去に未勝利ながらも期待したいのがヤマハ勢。ここ数年、日本メーカーは東南アジアマーケットを主戦場としており、ヤマハはタイ・ブリーラムで全ライダーを呼んでグローバルな体制発表を行うほど、タイというマーケットに対して力を入れています。そういう意味では是が非でも勝ちたいレースです。

そんな中、ヤマハには地殻変動が開幕戦で起こりました。なんとベストリザルトを残したのは新規参戦の「GRT Yamaha」から参戦のマルコ・メランドリ(ヤマハ)だったのです。メランドリはレース1で3位表彰台を獲得。現行のYZF-R1での初陣だったにも関わらず、エースチーム所属のマイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)、アレックス・ロウズ(ヤマハ)の2人を上回ったのには驚きました。ヤマハ内での主導権の奪い合いが相乗効果となってドゥカティ、カワサキとの三つ巴につながれば、シリーズがさらに面白くなるでしょう。

そして、日本期待の清成龍一(ホンダ)が走る「モリワキ・アルティア・ホンダ・チーム」は厳しい開幕戦となってしまいました。チームメイトのレオン・キャミア(ホンダ)と共にシングルフィニッシュはならず。バイクを提供するHRC(ホンダワークス)にとっても黙っていられない状況ですから、何とか浮上のキッカケを掴めるレースにして欲しいものです。

速すぎるドゥカティ&バウティスタの勢いを止めるメーカー&ライダーは?今季から始まったスーパーポールレースでも約半分のポイントが与えられますから、このまま独走を許せば、昨年まで以上にポイント差は大きく広がって行くばかりです。そういう意味でも、ライバルたちは早くも待った無し状態!「スーパーバイク世界選手権」第2戦は今季の行方を占う重要なレースになるでしょう。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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