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モーター スポーツ コラム 2018年4月20日

【スーパーフォーミュラ第1戦・鈴鹿プレビュー】~注目のルーキーを集め、いきなりの300kmレースで開幕!~

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の2018年シーズンがいよいよ4月21日(土)~22日(日)に鈴鹿サーキットで開幕。J SPORTSでは「スーパーフォーミュラ」を予選、決勝ともに生中継で放送。また、J SPORTSオンデマンドでもLive配信されます。場内実況と同じ現地からの放送でお楽しみ頂きます。開幕戦を含む見所をご紹介していきましょう。

2016年はストフェル・バンドーン(現マクラーレン)、2017年はピエール・ガスリー(現トロロッソ・ホンダ)と前年の「GP2」(現F2)チャンピオンが参戦し、グローバルな注目を得ることになった「スーパーフォーミュラ」。バンドーンもガスリーも国内最高峰フォーミュラカーレースを卒業し、F1への昇格を果たしたことで「F1への最終関門」という役割で存在感を高めつつあります。

2018年は新たなメンバーが加わり、これまた興味深いラインナップになっています。ここ2年はバンドーン、ガスリーという日本のF1エンジンサプライヤー「ホンダ」と密接な関係を築いた外国人ドライバーたちが話題を独占しましたが、今年はF1ドライバーへの最終関門突破を狙う日本人ドライバーが注目を集めています。

その一人が名門「DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ」から参戦する松下信治(まつした・のぶはる)。ホンダ系注目の若手ドライバーとして鈴鹿サーキットレーシングスクール時代から注目を浴び、「GP2/F2」に参戦した松下がいよいよ国内トップフォーミュラに参戦します。既に24歳になった松下は3年間の「GP2/F2」参戦でF1昇格に必要なスーパーライセンス取得条件を満たせずに帰国となりましたが、3年間でトータル5勝と近年の日本人ドライバーではなかなか達成できなかった実績を残した逸材であることに変わりありません。トップレベルで武者修行できる環境で過ごしてきた松下が国内トップフォーミュラでどこまで勝負できるか大いに注目です。

そして、松下と同じホンダ系の若手として、最もF1に近いと言われている福住仁嶺(ふくずみ・にれい)が「TEAM 無限/ホンダ」から初参戦。福住は徳島県出身の21歳で、昨年は「GP3」で優勝するなどしてランキング3位に。高い評価を獲得して「F2」への昇格を果たしたと同時に「スーパーフォーミュラ」へのスポット参戦も実現。異例の待遇で2018年のレースを戦うことになりました。「スーパーフォーミュラ」への参戦はF2と日程が重複しない4戦のみの出場となりますが、福住はレッドブルアスリートにも選ばれ、ガスリーと同じレッドブルカラーのマシンを引き継いでの参戦ということで注目度は今季最も高いと言えるでしょう。

かつてホンダの若手がヨーロッパと日本の最終登竜門レースを戦った例としては1986年に中嶋悟が「国際F3000/全日本F2」に参戦したケースを思い出します。30年以上無かった高待遇を得て、福住はヨーロッパと日本を往復しながら「スーパーフォーミュラ」を戦うことになります。福住が参戦できない時は全日本F3選手権に参戦中の阪口晴南(さかぐち・せな)が代役に決定していますが、まずは初陣となる開幕戦・鈴鹿では福住の走りに注目が集まります。

他にもルーキーとしては「インディカーシリーズ」へのデビューも果たしたブラジル人、ピエトロ・フィッティパルディが「SUNOCO Team LeMans/トヨタ」から参戦。こちらもスポット参戦になりますが、元F1ワールドチャンピオンのビッグネーム、エマーソン・フィッティパルディの孫でもあり、スーパーフォーミュラの同格レースでもある「ワールドシリーズV8フォーミュラ3.5」のチャンピオンの参戦は国際色豊かな風を「スーパーフォーミュラ」に運んでくれます。

さらに伏兵的ルーキーとして注目を集めそうなのが、「B-MAX Racing Team/ホンダ」から参戦が決定した千代勝正(ちよ・かつまさ)。SUPER GTでは日産系のトップドライバーとして活躍する千代が31歳にして「スーパーフォーミュラ」にデビューします。監督はSUPER GTのチームメイトである本山哲。昨年はアンバサダーとして中継・場内放送の解説も務めた本山がチャンピオン経験者として千代を強力にバックアップします。

ということで4人のルーキーの名前をまずはピックアップしてみましたが、今年もまたルーキーがルーキーらしからぬ活躍をいきなり鈴鹿から見せてくれそうなのです。鈴鹿のファン感謝デーで行われた最初のフリー走行では福住が8番手。続く鈴鹿の第1回合同テストでは松下が総合5番手のタイムを記録。さらに富士での第2回合同テストでは総合5番手に千代が入り、10番手にフィッティパルディとルーキーたちそれぞれがトップ10に食い込むパフォーマンスを見せているのは驚きです。

というのも、「スーパーフォーミュラ」はSF14シャシーとNREエンジン(2L・4気筒直噴ターボ)を導入してから5年目のシーズンを迎えており、5年も経つと経験者が上位を独占するのが当たり前になってくるのがセオリーとも言えるからです。これまでもバンドーン、ガスリー、ローゼンクビスト、関口らがルーキーイヤーからいきなり優勝争いをする構図はありましたが、5年目の今年も誰にでもチャンスはあり、一発逆転の機会が潜んでいる「スーパーフォーミュラ」の魅力はキープされているということが分かりますね。

ルーキーがもたらす下克上。これもまた「スーパーフォーミュラ」の魅力ではあるのですが、今季は好評の「タイヤ・2スペック制」を全戦で導入することになっており、チームのエンジニアリング力、総合力もさらに必要に。横浜ゴムが持ち込むタイヤは「ミディアム」と「ソフト」。ソフトタイヤのサイドウォールには赤いマーキングが施され、よりグリップの高いソフトタイヤで攻めるドライバー、硬めのミディアムで耐えるドライバーが一目瞭然となり、各サーキットで予想が困難なほどの面白いレース展開が期待できます。

そして、開幕戦となる鈴鹿は決勝レースの走行距離が300km。F1よりは2周少ない51周となりますが、F1とほぼ同じレース距離でレースが行われます。ドライバーたちはただでさえコーナリングスピードが強烈に速い「スーパーフォーミュラ」のマシンでの300kmレースに、体力的な部分での不安を口々に語るほどです。F1では当たり前のレース距離でも、国内ではこれだけのスピード域で一気に走り続けるレースはありませんから(昨年は35周)、多くのドライバーにとっては未知の領域。2スペック制のタイヤチョイス、戦略、ピット作業も相まって、レース後半にはこれまでにないドラマが待っているかもしれません。

来季から新型シャシー「SF19」を導入する「スーパーフォーミュラ」。現行型マシンで行う最後のシーズンということにもなりますので、開幕戦から展開される300kmレースはエンジニアリング面でもその集大成に相応しいハイレベルなレースを期待しましょう。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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