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サッカー&フットサル コラム 2026年10月9日

吉田の山並みに勝利の歌を響かせろ!3位の紫熊と首位のクリムゾンレッドが刃を交える現代版郡山合戦! サンフレッチェ広島F.Cユース×ヴィッセル神戸U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第17節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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3位に付けているサンフレッチェ広島F.Cユースと、首位を快走するヴィッセル神戸U-18が激突する注目の上位対決。プレミアリーグWEST第17節の好カードは、毛利元就の居城として知られる吉田郡山城に程近い安芸高田市サッカー公園で、10月12日の11時からその火ぶたが切って落とされる。

沢田謙太郎監督が指揮官に復帰した今季は、いきなり開幕連敗スタートを突き付けられた広島ユースだったが、アウェイで戦った第4節のジュビロ磐田U-18戦で今季初勝利を手繰り寄せると、以降の13試合では9勝3分け1敗という驚異的なペースで勝点を重ね、堂々と優勝争いに加わってきた。

リーグ7連勝を目指してガンバ大阪ユースと対峙した前節は、前半だけで2点を先行される展開を強いられたが、72分に菊山璃皇が、77分に佐藤壯知が、ともに2戦連発となるゴールを叩き出し、追い付く格好で2-2のドロー決着。9戦無敗という状況で、大一番へと臨むことになった。

こちらも昨季までU-15を率いていた山道高平監督が新たに就任した神戸U-18は、開幕戦でサガン鳥栖U-18相手に3-0で快勝を収めると、そこから3連勝とロケットスタートに成功。第5節からまさかの連敗を喫したものの、第7節からも4連勝を達成し、前半戦を首位で折り返す。

後半戦も好調は続き、鳥栖U-18、ファジアーノ岡山U-18、大津高校、神村学園高等部を相次いで撃破。ホームで米子北高校を迎え撃った前節も、やや相手のストロングスタイルに苦しみながらも、キャプテンの上野颯太が挙げた1点を守り切って、怒涛の5連勝。最高に近いコンディションで、今節の90分間へ向かう。

まさにシックスポインターと言うべき、楽しみすぎる一戦を前に、今回は勝敗のカギを握りそうなポイントを3つにまとめ、選手の顔ぶれも紹介しながらプレビューしていきたい。

ポイント①【点を獲るのはオレだ!ストライカーの矜持!】

広島ユースの9番を背負う信重亮二朗が止まらない。ここまでのリーグ戦では7ゴールを記録しているが、後半戦は5戦4発と爆発中。本人はシーズン2点目となった第8節の名古屋グランパスU-18戦の得点を経て、「それまではボールを止めて考えて、それで相手に距離を詰められてシュートを打てないこともあったんですけど、そこから感覚が良くなったのかなと思います」とのこと。すっかり得点のコツを掴んだようだ。

サンフレッチェ広島F.Cユース・信重亮二朗

さらに最近はベンチスタートが続いている菊山も、後半戦に入って途中出場から3得点をマーク。前節も難易度の高いボレーをゴールにねじ込んでいる。「スタメンで出ていない悔しさもありますけど、自分はひたむきに、謙虚に、自分にチャンスが来るまでやり続けることを心がけています」という背番号11も、勝敗を決め得るジョーカーとして、虎視眈々と出番を窺う。

得点ランキング2位の11ゴールを積み重ねている、神戸U-18の川端彪英の存在も語り落とせない。前半戦は11戦10発と大暴れ。夏以降はトップチームでの活動が増え、プレミアの試合は欠場が続いていたが、後半戦初登場となった第15節の神村学園戦では、きっちり1ゴール。J1デビュー済みの実力を改めて見せつけている。

ヴィッセル神戸U-18・川端彪英

興味深いのはインサイドハーフの上野も、決定力を高めていることだ。今季は右サイドバックにトライしていたものの、後半戦から中盤を主戦場に置き直すと、既に3得点。前節も“ストライカー感”のある決勝点で、チームに勝利をもたらした。やはり米子北戦でアグレッシブな仕掛けが際立った右のリージャミソン大和、左の上本佳生という両ウイングも含め、神戸U-18も誰が決定的な1点を仕留めるのかに、大いに注目したい。

ポイント②【築け、堅陣!最終ラインで打ち出したい安定感!】

広島ユースは開幕から2試合を4バックで戦ったが、第3節のアビスパ福岡U-18戦からは一貫して3バックを採用。何パターンかの組み合わせが試されている中で、森井莉人、太田大翔、富田雅翔の3人が並ぶ布陣が9試合と最も多く、結果も5勝3分け1敗とはっきりとした数字が残っている。

「前期よりは後期の方が自分的にもいいプレーが出せているかなと思います」と話した森井は果敢な攻撃参加と強さの出てきたヘディング、太田はディフェンス全体のコントロール、富田は左右両足のキック精度と抜群の飛距離を誇るロングスローと、三者三様の特徴がうまく溶け合っており、今回の試合でもビルドアップを含めた攻守での躍動が、この3人に求められることは間違いない。

サンフレッチェ広島F.Cユース・森井莉人

一方の神戸U-18は、開幕戦こそ山道監督も「あれは鳥栖さん対策でした」と明かす3バックで戦ったものの、第2節からは4バックがベース。センターバックコンビは大半の試合でともに3年生の西村水岐と坂口佑樹が組むことが多く、左サイドバックも菊池謙剛が不動のレギュラーに。右サイドバックは複数人が起用されてきたが、ここ2試合はMF登録の武井賢輔が務めている。

「今年も後ろからビルドアップして作っていくチームなので、自分たちがチームを引っ張ろうという意識は強いです」とは西村。もちろんビルドアップの正確さも目を引くが、とりわけ西村と坂口が大事な局面で身体を張り、ピンチの芽を未然に積むシーンはもはやデフォルト。広島ユースの強力な1トップ2シャドーを彼らがどこまで抑え込めるかは、そのまま試合の結果に直結するポイントとして挙げておきたい。

ヴィッセル神戸U-18・西村水岐

 

ポイント③【3年生 VS 1年生!中盤のキーマン対決!】

過去にも好選手を数多く輩出してきた広島ユースの中盤で、圧倒的な輝きを放っているのが、今季のキャプテンであり、10番を託されている野口蓮斗だ。9月にはホームのエディオンピースウイング広島でJ1デビューも飾っており、本人も「もう凄く楽しかったというのが一番でした。声援も凄かったですし、そういう中で期待に応えることが、よりこれから大事になってくると思うので、ユースからしっかりやっていこうという気持ちになりました」と、その経験の価値を語っている。

今季はここまで全試合にスタメン出場を続けている、レフティの河上颯希と野口で組むドイスボランチの補完関係もばっちり。残されたユースでの活動期間にも「プレミアに関しては絶対優勝したいですし、後輩たちにも伝えられることを伝えて、しっかりとこれからのユースにつなげていってもらえればいいなと思います」と口にした野口がチームに与える安心感は測り知れない。

サンフレッチェ広島F.Cユース・野口蓮斗

好選手が居並ぶ神戸U-18の中盤で、高校1年生ながらアンカーの定位置を確保している花元誉絆も、特別な才覚を持っている選手。チームを束ねる山道監督は「危ないなというところでの危険察知能力がありますし、サッカーIQが高い選手」と評しており、チームに生まれそうな穴は、この人が大半を力強く埋めてしまう。

この夏は『U-21 Jリーグ』のピッチにも立った一方で、少し自分のスタイルを見失いかけた時期もあったようだが、「コーチや監督から動画を見せてもらったり、アドバイスしてもらって、初心に戻るというか、もう一回自分らしさを取り戻すことができました」と、きっちりメンタル面でのリカバリーも完了した様子。この年代トップクラスの実力を有する野口とのマッチアップからは、新しい種類の刺激を受けられるはず。臆せずに、バチバチとやり合う気概に期待したい。

ヴィッセル神戸U-18・花元誉絆

「ヴィッセルとの勝ち点はなかなか縮まっていないので、まだ上がいることは忘れずにやっていく中で、直接対決が残っているのはポジティブなことなので、それも含めて1試合1試合やっていくだけです」(信重)

「ホンマにここが鍵というか、次のステージに向けての一歩になると思うので、みんなで集まった時にいい声をかけたり、コミュニケーションを取りながら、本当にどんな形でも勝ち切る、勝点3を獲って一歩抜け出すという同じ目標を、全員で持って戦いたいと思います」(上野)

吉田の山並みに勝利の歌を響かせるのは、紫熊か、それともクリムゾンレッドか。好ゲーム必至の90分からは、きっと一瞬たりとも目が離せない。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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