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しなやかに発揮するリーダーシップ。日の丸の意味を熟知する闘将【モーリスレベロトーナメント U-19日本代表・桑原陸人(明治大学)】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史U-19日本代表・桑原陸人
どのチームにいてもキャプテンを任されるような、生粋のリーダータイプだ。左腕に腕章を巻き、大声でチームメイトを鼓舞し、的確な指示を送り、誰よりも勝利を喜ぶ姿は、所属チームでも、代表チームでも、何度も目にしてきた。
家長昭博や宇佐美貴史を輩出した京都長岡京SSで小学生時代を過ごすと、やはり彼らと同じようにガンバ大阪アカデミーの門を叩く。ジュニアユースとユースの6年間で身につけた基本技術の高さには定評があり、左右両足から正確なキックを繰り出していく。
高校3年時には2種登録選手として、トップチームの練習にも頻繁に参加。同じポジションの昌子源や三浦弦太、クォン・ギョンウォンといった代表選手たちから小さくない刺激を受けながら、JリーグYBCルヴァンカップの鹿島アントラーズ戦でトップチームデビュー。天皇杯の舞台にも立ったものの、結果的に昇格は果たせず、明治大学へと進学することになった。
ユース時代に師事した元日本代表の明神智和コーチから強調されてきた『ポジショニング、予測、準備』を、プレーヤーとしての軸に置いている。175センチというサイズを感じさせない空中戦の強さと、ビルドアップの巧みさを生かしてセンターバックでプレーすることも多いが、ボランチやサイドバックも高いレベルでこなせるポリバレントさも兼備。この世代の代表では右サイドバックでプレーする機会も増えている。
印象に残っているシーンがある。ユースのキャプテンを務めていた2年前。苦しみながら勝利を掴んだ、プレミアリーグの試合後。桑原は運営を手伝ってくれていたジュニアユースの1年生へ歩み寄り、ハイタッチを交わして労をねぎらっていた。その一連に現れるような視野の広さと周囲を気遣えるメンタリティも、実にリーダー向きだと言っていいだろう。
今回のモーリスレベロトーナメントでは、2戦目のU-20インドネシア戦の終盤に10分あまり登場したのみ。ピッチに入ると同時にキャプテンマークを託され、右サイドバックの位置でゲームクローズに貢献したとはいえ、十分な出場時間はここまで得られていない。
U-15世代から常に年代別代表へ選ばれてきただけに、日の丸が縫い付けられたユニフォームに袖を通し、戦うことの意味は誰よりもよくわかっている。しなやかに、力強く、周囲を束ねる闘将。チームが苦境に陥った時こそ、桑原陸人の真価がより発揮されることに疑いの余地はない。
ガンバ大阪ユース時代の桑原陸人
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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