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サッカー フットサル コラム 2023年2月15日

16チームで監督留任のJ1リーグ 今季も横浜と川崎の一騎打ちを予想

後藤健生コラム by 後藤 健生
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等々力競技場

開幕戦・黄金カードの舞台となる等々力競技場

Jリーグの2023年シーズンがいよいよ開幕する。2月17日の金曜日の開幕戦には川崎フロンターレ対横浜F・マリノスという“黄金カード”が組まれた。

2017年に川崎が悲願の初優勝を遂げて以来、昨年までの6シーズン。J1リーグのタイトルはこの2チームが独占してきた。その注目カードがいきなり実現するのである。

開幕直後はまだコンディションが万全でないし、キャンプでトレーニングを積み重ねてきたとしても実戦ではうまく機能しない部分もある。開幕から1カ月ほどの間にそうした不具合は改善されてチーム状態は大幅にアップする。

だから、優勝候補同士の好カードはもう少し後に取っておいてもいいような気もするが、いずれにしても開幕戦は注目である。僕は今シーズンも優勝争いは横浜と川崎の一騎打ちになると思っているからだ。

横浜は、昨年のJリーグMVPに輝いたDF/MFの岩田智輝がセルティックに移籍し、2019年に優勝した時のMVPで得点王でもあった仲川輝人もFC東京に移籍。さらに、昨年、チームトップの11ゴールを決めたレオ・セアラもセレッソ大阪に移籍と中心選手が抜けた。

一方、川崎でも守備の要であり、日本代表としてカタール・ワールドカップでもプレーした谷口彰悟がカタールのアル・ラーヤンに移籍し、FWとして貴重な戦力だった知念慶は鹿島アントラーズに移った。

両チームとも補強も行ってはいるが、中心選手が抜けたことによる戦力ダウンは免れない。少なくとも、新戦力を融合させるのにはある程度の時間が必要となるだろう。

従って、たとえば2021年に川崎が勝点92で優勝した時のような“圧勝劇”はありえない。横浜も川崎も苦戦が増えるだろうし、勝点を失うことも多くなるだろう。

しかし、リーグ戦というのは全34試合を戦う長丁場なのだ。

どのチームも、全選手がシーズンを通じて万全の状態でいられるわけではない。主力選手が相次いで負傷することもあるし、猛暑の中の連戦を乗り切る必要もある。そうした「山あり谷あり」のシーズンを乗り切って勝点を積み重ねる……。それがリーグ戦なのだ。

つまり、選手層の厚さがリーグ戦での戦いでは重要になるのだ。そして、選手層という意味では、主力が何人か抜けたとしてもやはり横浜と川崎が抜きんでている。

川崎は、この数年、次々と主力選手がチームを離れていった。チームのレジェンドである中村憲剛が引退し、若手でチーム加入とともに大きな戦力となった守田英正はポルトガルに移籍。三笘薫や旗手玲央、田中碧も後を追った。

昨年は、さらに主力選手の相次ぐ負傷離脱や新型コロナウイルスへの感染拡大などによってかなり苦しんだ。それでも、なんとか耐えしのぎながら、最終節まで横浜と優勝争いを演じ続けたのだ。

こうした優勝争いを経験し続けていること自体も、横浜や川崎にとっての大きなアドバンテージとなる。

従って、やはり横浜と川崎のマッチレースを予想するのだ。

では、最後に笑うのは横浜なのか、川崎なのか? 非常に難しいところだが、僕は川崎がやや有利と踏んでいる。

FWには期限付き移籍をしていた宮代大聖が成長して復帰。宮代と同期の山田新も加入した。山田は元日に行われた全日本大学選手権決勝で桐蔭横浜大学のCFとして素晴らしいプレーをして優勝に大きく貢献。大学のトップクラスの選手がJ1リーグで即戦力になりうるということは、三笘や旗手が証明してくれている。谷口不在によって守備の不安を感じさせるが、柏レイソルから移籍の大南拓磨は即戦力だろうし、U-20日本代表の高井幸大の成長も期待できる

こうした新戦力の融合に加えて、新キャプテンに指名された橘田健人の成長があれば昨年までの戦力を維持することは可能だ。三笘などもそうだったが、鬼木達監督は新しく加入した選手を生かすことがうまい。

一方の横浜は、フジフイルム・スーパーカップで慣れないサイドバックとしてプレーした上島拓巳などの新戦力もいるが、こちらは既存の中堅・若手の成長に期待したい。

実際、スーパーカップではCBの角田涼太朗が安定したプレーを披露し、後半には自らドリブルで持ち上がって決勝ゴールを演出した。キャプテンの喜田拓也に加えて昨年チームにすっかり溶け込んだ渡辺皓太、そして将来を期待される大器、藤田譲瑠チマがいるボランチはハイレベル。攻撃面では アンデルソン・ロペス、エウベル、水沼宏太の負担が大きいが、トップ下のファーストチョイスとなるであろう西村拓真がカギを握るのはではないか。

さて、横浜と川崎に挑むのはどのチームなのだろうか?

昨年、ミヒャエル・スキッベ監督の下で素晴らしい集団的な戦いをしたサンフレッチェ広島。昨年は安定した戦いを繰り広げ、レオ・セアラやジョルディ・クルークス、さらに香川真司を加えて攻撃力を増したセレッソ大阪。そして、昌子源と植田直通を復帰させるなど着実な補強をした鹿島アントラーズあたりが、優勝争いに加わるのではないか。

評価が分かれるのがアルベル・プッチ監督2年目となるFC東京。

昨年は既存戦力を使いながら堅守速攻型のチームをポゼッション型に移行させる難しい作業を行ったが、今年は昨年1年間で積み重ねてきたことの成果を見せたい。新加入の仲川輝人をどのように生かすのか。そして、高卒ルーキーながら昨年はレギュラーとして経験を積んだ松木玖生がどこまで成長するかも楽しみだ。

今シーズンの大きな特徴は、J1リーグの全18チームのうち、16チームで監督が留任したこと。新監督は、浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督とガンバ大阪のダニエル・ポヤトス監督だけ。ポヤトス監督は昨年まで徳島ヴォルティスの指揮官だったので日本でもおなじみだが、ポーランド代表監督候補にもなったというスコルジャ監督は未知数だ。

大物選手の移籍も横浜からFC東京に移った仲川や浦和から名古屋グランパスに期限付き移籍をしたキャスパー・ユンカーくらいのもの。戦力的には昨年と大きな変動がないだけに、昨年からの積み上げや選手の成長が勝敗を分けることになりそうだ。

また、当初2023年6月に予定されていたアジアカップがなくなったため(2023年12月ないし24年の初めに開催)、長期の中断期間がなく、ミッドウィーク開催も少なくなるいのも今シーズンの特長。本当の実力が試されるシーズンとなるだろう。

また、来シーズンからJ1リーグが20チームに拡大されるため、J2に降格するのは1チームだけ。その分、多くのクラブが早々に降格圏を脱出できるはずで、終盤戦では下位クラブも順位争いを気にせずに優勝を争っている上位陣に挑んでくるだろう。

昇格組のアルビレックス新潟や横浜FCも含めて、下位チームの実力は接近している。下位チームにとっては、開幕直後に出遅れることが最も怖いシーズンとなるだろう。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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