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サッカー フットサル コラム 2023年1月18日

【高円宮杯】川崎フロンターレU-18・大関友翔選手インタビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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大関友翔

――まずプレミアリーグファイナルに向かう前の心境はいかがでしたか?
「チームとしては、(ファイナル直前の)マリノスさんと青森山田さんとの試合を勝ち切れていなかったというのは、あまり流れが良くなかったなと思いますけど、1週間準備する時間もありましたし、ヤスさん(長橋康弘監督)からも『もう最後の試合だし、今年1年やってきたことをしっかり出そう』とは言われていたので、そこはチームとしても絶対勝ちたいという共通認識を持てていました。試合に入るに当たってネガティブな要素はほとんどなく、最後の試合で全員の気持ちが入った状態で臨めたかなと思います」

――最後の1週間の練習の雰囲気はいかがでしたか?
「何も変えることなく、今年1年やってきたルーティンをやりましたね。チームとしてやってきたことを1週間準備しましたし、『ファイナルだからこれ』ということはあまり意識することなく、いつも通りの雰囲気だったかなと思います」

――この3年生と一緒にやるトレーニングはもうあと少しだなというような感じはありましたか?
「いつも富士通スタジアム川崎で練習しているんですけど、『ここを使うのもあと何回だな』とか言いながら1週間練習していましたし、『U-18で練習するのもあと何回だな』とか、3年生は特にフロンターレの練習を噛み締めながらやっていました」

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――試合当日の国立競技場の雰囲気はいかがでしたか?
「バスで会場に入っていったんですけど、最初にグラウンドがバッと見えて、その時に鳥肌が立っちゃって、『これはヤバいな』と。ロッカールームも本当に綺麗でしたし、映像で見てきたような場所に自分が実際に入ってみて、気持ちが昂って『やってやろう』と思いましたね。ただ、ピッチに入ってみると意外と狭く感じるというか、ギュっとなっている感じがあったんです。テレビで見ていた分には凄く大きく見えたんですけど、立ってみると『サッカーをするためのグラウンドだな』ということを感じました」

――サポーターの応援はどう感じていましたか?
「国立に限らず、今年1年間スタッフの方々も集客に尽力してくれて、保土ヶ谷でも等々力でもたくさんのサポーターが足を運んでくれて、自分たちを応援してくれて、それがあっての優勝だったことは自分たちも感じていました。そういった方々に恩返ししたいなと思っていましたし、国立でもメチャメチャ人が入ってくれて、声出しエリアのチケットは一度完売したということも聞いて、本当にフロンターレサポーターはトップさながらの応援をしてくれることも感じました。ピッチに入ってみても、声出しエリアに挨拶した時の、あの歌い出しは今でも忘れられないぐらいで、それが凄く力になりましたね」

――個人のチャントを歌ってもらっていたのも良かったですよね。
「メチャメチャ嬉しかったですね。トップにいた選手や、今いる選手と同じ歌を使ってくれるので、自分が聞いていた曲で自分が応援されるというのは感慨深くて、凄く嬉しかったです」

――ファイナルの試合自体はいかがでしたか?
「もちろん勝ちたいと思って臨んだ試合ではあったので、悔しい結果になりました。自分たちのサッカーが少しはできたのかなと思いますけど、少しボールを持たされてしまって、鳥栖さんの方が一枚も二枚も上手だったのかなとは試合が終わって感じましたし、力負けしたなということも感じました。個人としても福井太智選手はずっと意識しながらやってきた相手だったので、自分と役割も似ていましたし、福井選手にゲームを作られてしまったのかなとも試合後に感じました。『これが海外に直接行く選手なんだな』とは肌で体感したので、自分としてはプロに行く前に、世界基準というか、自分の世代のトップを感じられたのは凄く良かったなって。ただ、もちろんチームとしては勝ちたかったので、悔しさの残る試合でした」

――鳥栖の前半の出方は想定外だったんですね。
「そうですね。前から来ると思っていたので、前から来たところをいなして、自分や大瀧(螢)、由井(航太)の中盤の選手で絡みながら、ボールを保持できればと考えていたんですけど、意外と持ててしまったのは計算外でもあったので、そこで自分が下りて受けることが得策だったのかと言うと、あとで試合の映像を見た限りはそうは思わなかったので、立ち位置やポジショニングはもうちょっと前でも良かったのかなと」

――3失点目はお話のあった福井選手に目の前をぶち抜かれましたね。
「もう鮮明に覚えています。2失点目を食らった直後で、高井(幸大)がナガネ(松長根悠仁)に戻して、ナガネからもらったパスだったんですけど、チームとしてボールを保持したかったので、前に蹴るという判断ではなくて、自分と由井でもう1回ボールを落ち着かせようと考えていました。自分が由井にパスを付けたんですけど、そこをうまく福井選手に狙われていましたし、取られた後に自分の前を福井選手が通り過ぎて行ったらナガネがいて、今年1年でナガネが1対1の対峙で負けるシーンをほぼ見ていないので、信頼を置いていましたし、『ナガネだったら大丈夫だな』と思っていたんですけど、福井選手に抜かれてしまって。自分のパスから失って、ナガネも抜かれてというところで、2人が今年のチームを引っ張ってきたという想いは強い中で、その2人がぶち抜かれてしまったのは、やっぱり福井選手が凄かったですし、3点目が凄く重かったです」

――試合が終わって、松長根選手に声を掛けられたと聞きました。
「最初はピッチに倒れ込んで、そこでは泣いてはいなかったんですけど、終わってしまった気持ちと悔しさもあって、複雑な感情でした。あまり現実を受け入れられていなくて、『終わっちゃったんだ』という感じで頭が真っ白だったんですけど、そこにナガネが来てくれて、『よく頑張ったよ』って言ってくれたんです。今年1年は高井がトップの活動や代表でいない中で、ゲームキャプテンも任せてもらって、自分がキャプテンマークを巻いたりしながら、ナガネと2人でこのチームを引っ張ってきた自負はあるので、そのナガネによく頑張ったなんて言われることはないですし、今年1年一緒に頑張ってきたナガネに褒められたことが凄く嬉しかったのと、『2人で喜べたら良かったな』とその瞬間に思って、抑えられないぐらい泣いてしまいました。ナガネの一言のせいで、と言ったらアレですけど(笑)、ちょっと感情が抑えられなくなりました。あそこで『よく頑張ったよ』とナガネが言うのは結構ズルいですよね」

――ファイナルに出場したのも、素晴らしいリーグ戦での結果があったからですが、2022年のプレミアリーグ自体はいかがでしたか?
「昇格初年度ということで、シーズン前から『残留ではなくて優勝を目指す』ということは言ってはいたんですけど、自分としてはそこまで自信はなくて、『本当にやれるのかな』という不安もありました。それでもヤスさんは『絶対優勝するんだ』と言ってくれていたので、自分としてもそこを目指さなくてはいけないと考えていましたし、10番を背負わせてもらって、自分がやらなくてはいけないと思っていたシーズンだったので、優勝できたことは良かったですね。ただ、そこまでの過程を振り返ってみると、やっぱり前期はうまく行き過ぎたかなと。8連勝だったり、負けなしで終えられたことも凄く良かったですし、他のチームにあっと言わせられた部分はあったと思うんですけど、後半戦に入ってからは苦しかった試合が多くて、相手もリスペクトしてくれて引いていたり、戦う部分も前期よりタフに来ていましたし、そういったところで難しい試合は増えましたね。2連敗してしまった時にも、チームが落ち込んでいく感じが目に見えてわかったので、高井もいなくて、凄く苦しい時期ではあったんですけど、そこをナガネや五木田(季晋)や信澤(孝亮)も、試合に出ていた3年生が練習から良い取り組みを自分たち発信でやれたことは大きかったなと。それで連敗の後に前橋育英戦に勝てたのが、1年間やってきた中でもターニングポイントだったかなと思います。そこで3連敗、4連敗と崩れていくのではなくて、そこからまた5試合ぐらい負けなしで行けたのが凄く良かったですね」

――そうするとホームの前橋育英戦がシーズンの中で一番のキーゲームですか?
「そうですね。キーになった試合はそこだと思います。2連敗していて、そこで勝てたということがチームとして大きかったのかなと。流経柏戦とJFAアカデミー福島戦で点が獲れなかったので、そこでオガジョー(尾川丈)が獲ってくれて、勝てたことが良かったです。後半戦は点が獲れない試合で、相手に守られてしまうことが多かった中で、前橋育英戦に1-0で勝てたことは大きかったです」

――特に前期は8連勝もありましたが、より優勝を意識したタイミングはどのあたりでしたか?
「僕としては青森山田さんに勝った時に『オレたちもやれるぞ』と感じました。その前にマリノスさんに勝って首位に立てたので、青森山田さんに勝って首位を守れたというところで、『自分たちも優勝が狙えるんじゃないか』と感じましたし、僕としてはあの勝利から優勝が現実味を帯びてきたのかなと思います。高校生のチームで一番ガツガツ来て、一番プレッシャーの厳しいチームで、自分のサッカーやチームがどれだけ通用するのかが楽しみでしたし、その相手に2-1で勝てたことは凄く良かったですね」

――個人としては、この1年のパフォーマンスをどのように感じていますか?
「自分が求められることとして、目に見える結果ということはわかっていたので、そこでゴールがあまり前半戦は付いてこなかったですし、終盤戦でようやくゴールが増えたので、目に見える結果は自分自身もっと増やさなければいけなかったなとは思います。ただ、プレー全体としては通用することの多い1年でしたし、試合ごとに自分が成長していることは感じました。何より一番感じたのは、高井がいない時にゲームキャプテンをやらせてもらって、『チームを勝たせるんだ』という想いも試合を追うごとに強くなっていきましたし、チームを引っ張っていくリーダーシップの部分は、今年1年で凄く成長させてもらったなと感じています」

――リーグ戦を通じて“6ゴール8アシスト”という数字に関しては、どう思いますか?
「8アシストできたのは凄く良かったですし、自分も『アシストはできたな』と感じて終える試合が多かったので、そういうところは自分もそこで結果を示せたのは良かったと思っています。ゴールも終わってみれば意外と獲れましたけど、もっともっとゴールも増やしたかったですし、“深掘りレポート”を見て知ったんですけど、福井選手はそこまで試合に全部出ていたわけではなくても11アシストしていて、得点も自分と一緒で、そういう意味では数字でも福井選手には負けていたんだなと。リーグは違いますけど、もっともっとやらないとプロでも通用しないのかなと思いました」

――やはり福井選手は相当意識する存在ですか?
「そうですね。1回U-17日本代表で一緒だったんですけど、その時に『絶対個人昇格していくな』とは思いましたし、ポジションも一緒で、話題になっている選手なので、意識は絶対しますね。プレースタイル的にも、チームの中の役割も、同じようなものを担っているので、意識はしています」

――プレーで言うと、大関選手の身体の向きとは全然違う場所に、足首の角度だけで出してしまうパス、素晴らしいですよね。
「身体の向きで相手を惑わすというのは、もう小さい頃からパスを出す時に意識してやってきたことですね。身体を開くと相手の目線も変わりますし、パスを受ける側もわからないというのが理想ではあるので、ピッチの全員を騙すには身体の向きから考えていかないといけないですから。あのパスもシーズンの最初の方はオガジョーも『それ、出すんですか?』というような感じだったんです(笑)。こっちは『入ってよ』と思っていても、オガジョーは『それ、出せないでしょ』というような感じで、今年1年を掛けてチームメイトとすり合わせながら、あのパスの出し方はみんなと話しながらやってきたので、受け手があってこそのあのパスで、相手を騙すにはそういうところが大事なんだなと思っています」

――あのパスの出し方は中村憲剛さんに似ている気もしますが、中村さんが練習に来た時にはいろいろアドバイスをもらったりするのですか?
「身体を開いたパスの出し方についてはあまり言われていないですけど、自分がアドバイスを求めに行った時には真摯に答えてくれますし、パスの出し方やパスを出す時に見るところは憲剛さんから教えてもらいました。2連敗していた時に、チームも点が獲れなくて、自分がシュートまで持っていかせられていないというのは感じていたので、そういう時に憲剛さんに『相手がブロックを敷いてきた時に、パスの出しどころがないんです』という話をしたら、僕は『パスコースが空いていない』と思うような時でも、憲剛さんは『それでも空いてるよ』って。『0.5歩だけでも相手と離れていれば、パスは刺せるよ』と言われて、『自分が刺せないと思っているところでも、刺せるんだ』という価値観の変化はありましたね。そこで憲剛さんに言われたことで自信になったり、『やってみよう』という気持ちにもなったので、憲剛さんが来た時にアドバイスを聞きに行けたことは良かったですね」

――気さくなレジェンドですよね(笑)
「最初の頃は緊張して全然話し掛けられなかったですけど、練習にもたくさん来てくれて、憲剛さんからも話し掛けてくれるので、だんだん慣れてきて、自分からも話し掛けに行けるようになりました(笑)。フロンターレに入る前だったら『中村憲剛と話せる!』というだけで舞い上がっちゃいそうですけど、今ではお会いしたら話に行ける関係になれたことが感慨深いですね」

――FC東京U-18に勝って優勝を決めた時に、“優勝フロ桶”を掲げていたじゃないですか。プレミアリーグはEASTで優勝してもカップはないので、普通はああいう光景はないんですけど、ああいうものを用意するのがさすがフロンターレだなと思いましたよ。
「プレミアリーグの歴代の優勝の映像を見ても、みんな手を上げているだけで、リーグ優勝で何かを掲げているのは見たことがなかったので、フロ桶が出てきた時に『やっぱりこのクラブは凄いな』と思いました(笑)。『これだけやってくれるんだ』って。アレがあったことによって優勝の実感がより出てきましたし、トップチームがJ1で初優勝した時にフロ桶を掲げるのを見て、『自分もアレを掲げたいな』と思ってやってきたところもあったので(笑)、それを掲げられたのは自分としても凄く嬉しかったです」

――今シーズンのプレミアで「凄い選手だな」と感じた選手はいましたか?
「柏レイソルの山本桜大選手です。前期はそこまで感じなかったんですけど、後期で対戦した時に、『1人で持って行けて、1人で決められちゃうんだ』と思いましたし、結果は5-1で勝ったんですけど、終始苦しめられましたし、自分としてもやってきたフォワードの中でも一番脅威を感じたので、そのシーズン中に進化した部分も含めて山本選手は凄かったですね」

――新しいシーズンから足を踏み入れるプロの世界に対する自信は現時点でいかがですか?
「U-18でやってきたことの中で、今年1年はプレミアリーグでも通用したことが凄く多かったので、自分も自信を持ってプロの世界に入れますけど、プロの舞台に入る前にサガン鳥栖に負けた経験や、福井選手のように自分より上の選手がいたという事実を感じられたのは、凄く大きいなと思っています。ああいう選手より上のレベルの選手がゴロゴロいる世界に入っていくというのは、自分としても楽しみではありますし、1年目から試合に出たいとは思っていますけど、自分がどれだけコテンパンにされるのかも楽しみです」

――自分のこれからについては、どのように考えていますか?
「トップチームのキャンプや練習に参加させてもらって、『フロンターレのレベルは凄く高いな』と思いましたし、その中でスタメンを勝ち獲らないことにはその先も見えてこないので、まずはフロンターレでスタメンを獲ることと、Jリーグで活躍することは、今自分が考えている一番の目標です」

――ワールドカップでフロンターレU-18の10番を付けていた先輩が活躍していたのを見て、自分の中で感じたことはありますか?
「フロンターレの自分たちがやっていた環境から育っていった先輩が、ワールドカップでああいう形でヒーローになっているというのは自分も凄く憧れました。(三笘)薫さんのパスから(田中)碧さんが決めたシーンは、自分たちの先輩が日本のヒーローになってくれたことで、『自分もいつかはああいう場所に立てるんじゃないか』と思わせてくれましたし、フロンターレU-18から10番でトップに上がってきた選手は、見られ方の基準があそこになるので、活躍しないと『フロンターレU-18の10番ってあんなものなのか』と思われてしまいますし、そこは自覚を持ってプロの世界でやっていきたいですね。『自分たちもワールドカップに行けるんだ』ということを示してくれた先輩には凄く感謝して、そこに追い付きたいなと思います」

――来年のプレミアリーグを戦う後輩たちに、メッセージはありますか?
「自分たちが昇格初年度で優勝したことで、2年目なのに追われる立場になるというのは凄く大変だと思いますし、後輩のみんなには頑張ってほしいんですけど、今年1年は3年生より2年生の方が多く出ている試合もありましたし、自分自身も一緒にやっていて凄く頼もしかったんです。今の2年生がチームを引っ張っていってくれるはずですし、1年生や新しく入ってくる選手も上手い選手や戦える選手がいるので、自分は優勝できると思っています。特に由井は、ファイナルが終わってからずっと泣いていたので、本当に頑張ってほしいですし、今年1年はチームでも代表でもずっと一緒にやってきて、由井がいたからこそ自分のプレーが出せた部分も多かったので、由井には来年1年チームを引っ張って、ファイナルで悔しさを張らせるように頑張ってほしいなと、個人的には凄く思っています」

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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