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サッカー フットサル コラム 2022年7月31日

「小さい子供たちに『自分のように小さくてもできるんだぞ』ということを見せたい」。前橋育英高校・高足善が最後の最後で見せ付けた10番の矜持【インターハイ決勝 帝京高校×前橋育英高校マッチレビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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その4分後にもFKの流れから三たびチャンスが巡ってくるも、枠内へ収めたシュートはここも相手GKのファインセーブに阻まれる。スコアレスで迎えた後半のクーリングブレイク。山田耕介監督は苦しむエースに、こう声を掛けたという。「大丈夫だ。3回決定的なチャンスを外しても、1回決めればいいんだから。もう1回チャンスは絶対あるから」。3度目の正直がダメならば、4度目の正直で決めればいい。指揮官は10番を信じていた。

もう後半も終わり掛けていた、70+5分。青柳龍次郎が縦に差し込んだパスを、堀川直人が繋ぐと、前を向いた高足は一気にトップスピードへギアチェンジ。マーカーを外すと、ペナルティエリアの外から右足一閃。ボールは懸命に飛びついたGKの手を弾いて、ゴールネットへ力強く飛び込んでいく。

「最後はコースというよりも気合で、それがたまたま入ったという感じで、最後は本当に気合でした」と振り返ったスコアラーは、ユニフォームの胸元に縫い付けられた“10”の数字を指さしながら、アップエリアで待つチームメイトの元へと全速力で駆け出していく。

エースの大仕事にチームメイトも笑顔で駆け寄る

「もうその時は周りが見えなくて、『本当にやってやったぞ』という気持ちが大きくて、結構ウルッと来ましたね。やっぱり人一倍10番への想いと責任感はありました。自分がやらないとチームも勝てないですし、日本一にもなれないと思ったので、10番としての意地を見せてやれたと思います」。悩んで、悩んで、悩み抜いた前橋育英の10番は、最後の最後でゴールという最高の結果を叩き出し、日本一を手繰り寄せるヒーローになってみせたのだ。

以前、高足が話していた言葉が印象深い。「自分はコーチの櫻井(勉)さんからも『試合を見て何かを感じてもらえる選手になれ』と言われているので、大きい選手に立ち向かっていって、負けてもまたどんどんチャレンジして、転んでもまたすぐ立ち上がっていくようなイメージを持って、小さい子供たちに『自分のように小さくてもできるんだぞ』ということは見せたいと思っています」。

公称の身長は158センチ。あるいはもうちょっと小さいかもしれない。それでも、全国大会の決勝で、日本一を引き寄せる貴重なゴールを決め切ってしまう。「小さい子供たちにカッコいいところ、見せられたんじゃない?」と水を向けると、「自分の中でも今日は『小さくてもできるんだぞ』というのは見せられたと思うので、良かったです」と満面の笑顔。チームで一番小柄な男の背中に輝く10番が、この日の試合を見ていた子供たちにとっては、他のどの選手の背中よりも大きく見えたのではないだろうか。

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