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2月18日に開幕する2022年シーズンのJ1リーグ。最大の注目点は「川崎フロンターレの3連覇が成るか」であろう。今年で30シーズン目を迎えるJリーグの歴史の中でも、3連覇を達成したのは2007年から2009年にかけての鹿島アントラーズだけ。川崎は直近の5シーズンで4度の優勝と圧倒的な強さを誇っているが、2019年シーズンには4位に終わっている。
昨シーズンの川崎の優勝はまさに圧巻だった。28勝8分2敗で勝点92を記録。挑戦した3つのカップ戦(ACL、天皇杯、Jリーグカップ)はいずれも敗退してタイトルはリーグ戦だけに終わったが、カップ戦での敗退はいずれもPK戦やアウェーゴール・ルールによるものであり、公式戦すべてを通じて1年間に敗れたのはたった2試合だけだったのだ。
さらに、川崎の強さを感じさせるのは、シーズンの途中で主力選手だった三笘薫と田中碧が海外移籍によってチームから抜けたことだった。
田中は昨年の前半に大きく飛躍。中盤から前線の選手にズバッと付ける鋭いパスで川崎の攻撃を活性化させた。一方の三笘はドリブルで相手を崩した。川崎独特のパス攻撃が相手に研究されて封じられることもあったが、そんな時には三笘の個人能力によって打開することもできた。
普通なら、このような主力選手が2人そろって流出したとすれば、当然チーム力は大きく落ちるものだ。さらに2021年シーズン開幕前には中盤で欠くことのできない存在だった守田英正も海外に移籍しており、今やベテランとも言っていい大島僚太は負傷を繰り返して出場できない時期が続いた。
しかも、三笘と田中がいなくなった秋口には谷口彰悟など守備的ポジションの選手が相次いで負傷で戦線を離脱した。
もちろん、川崎の戦力は落ちた。シーズン前半は「1試合3ゴール」ペースの圧勝が続いたが、後半戦に入ると僅差の勝利が多くなった。だが、それでも控えのDFが力を発揮し、どのポジションでもできる旗手怜央がそのユーティリティー性を生かし、さらに新加入の橘田健人が成長して、シーズン終盤にはボランチとして優勝に貢献した。
さて、その川崎。今シーズンも開幕を前に旗手が海外移籍した(移籍先のセルティックで大ブレーク中)。しかし、他には大きなメンバー変更はないようで、戦力は昨シーズン後半から大きな後退はない。
昨シーズンの得点王、レアンドロ・ダミアンや家長昭博、DFの谷口など主力が高齢化しているのが懸念材料だろうが、このチームは運動量を要求するようなスタイルではないだけにベテランも無理なくプレーできる。実際、昨シーズンの家長はこれまで以上に強力で、家長にボールが入れば奪われることはほとんどなく、サイドバックの山根視来も思い切った攻撃参加を仕掛けられた。DFの谷口は1月から2月にかけての日本代表での活動で、吉田麻也と冨安健洋が欠場した代役として十分すぎるプレーを見せた。さらに、GKの鄭成龍(チョン・ソンリョン)は2、3年前には衰えを感じさせたが、一昨年、昨年とプレースタイルを変えながら完全復活。日本語能力も上がって適切なコーチングができるようになった。
こうした常勝軍団にとって最も恐ろしいのは世代交代の遅れとチームのマンネリである。勝っているチームだけにメンバーを変更しにくくなって全体が高齢化。さらに、監督も選手も同じことの繰り返しとなってしまう。それが、常勝軍団が陥りやすい“罠”である。
だが、川崎はその“罠”を回避し続けている。鬼木達監督のチーム・マネージングの成果の結果だ。控え選手にも出場機会を与え、主力に疲労がたまらないようにメンバーを変更する中で新しい選手が育っていく。シーズンの終盤で橘田がボランチとして貢献できたのは、シーズンの前半からさまざまなポジションで起用して能力や適性を把握していたからだった。
また、毎年、主力選手が引き抜かれることはチーム作りの障害となってしまうが、逆にそれがマンネリを防いでいるのではないか。その結果としてメンバーは入れ替わるし、緊張感をチームにもたらすからだ。
今シーズンも「旗手の穴をどのように埋めるのか」、そして「昨年の反省を踏まえてカップ戦で勝ち抜くためにどのように戦うのか」という大きなテーマが存在するので、マンネリとは無縁でチーム作りを進めることができるだろう。
さて、川崎の3連覇の成否は川崎を追う強豪チームの動向にもかかっている。
しかし、この「追走集団」の中で、「大幅に戦力を強化できたチームがあるか」と問われれば、「ノー」と答えるしかない。
たとえば、昨年の準優勝チームの横浜F・マリノス。シーズン途中で現在の横浜FMを築き上げたアンジェ・ポステコグルー監督がセルティックに移籍したものの、後を継いだケヴィン・マスカット監督が攻撃的スタイルを貫いて間違いなく川崎に次ぐ戦力を保った。
だが、昨シーズン、川崎のレアンドロ・ダミアンと得点王の座を分け合った前田大然がポステコグルー監督のセルティックに引き抜かれ、DFの中心だチアゴ・マルティンスも退団。2019年の優勝時から中心選手マルコス・ジュニオールもかつてほどの絶対的存在ではなくなっているし、そのマルコス・ジュニオールとポジションを争っていた天野純も退団。戦力低下は否めない。
昨年の前半、堅固な守備を軸に川崎を負った名古屋グランパス。夏には現在のJリーグでは最高クラスのストライカー、ヤクブ・シュヴィルツォクが入団。うまくまとまれば、2022年には川崎を脅かす存在になるかと思われたが、堅守速攻型のチームを作り上げたマッシモ・フィッカデンティ監督が退団。「攻撃サッカー」を標榜する長谷川健太監督の下でどのように変化していくのか、未知の部分が大きい(ただし、長谷川監督はFC東京でもフィッカデンティ監督の後を継いでチーム強化に成功した実績はある)。
昨年のチームをうまく継続して強化できそうなのはヴィッセル神戸だけ。神戸は、トマス・フェルマーレンが退団したが、代わって元日本代表DFの槙野智章が加わるなど、的確な補強も付詰めており、安定したチーム作りが進んでいる。
注目すべきはリカルド・ロドリゲス監督体制になって2年目の浦和レッズだろう。
昨シーズンの浦和は従来のメンバーを大幅に変わった中で天皇杯を獲得した。今シーズンも、出場機会を失ったベテラン選手を放出した上で、多くの選手を獲得している。
昨シーズンも好調の時期には川崎や横浜FMに匹敵する華麗な攻撃を見せていたが、すべての試合で良いプレーができたわけではなかったし、試合の中でも良いプレーが90分続かなかった。その典型が、昨年12月19日の天皇杯決勝。J2降格が決まっていた大分トリニータを相手に開始直後に先制。その後も素晴らしいリズムの攻撃を続けたが、前半の途中で失速。後半は大分に攻め込まれて終了直前に同点とされてしまった。その後、アディショナルタイムに退団が決まっていた槙野の決勝ゴールが決まってタイトル獲得には成功したものの、チームの不安定さを露呈してしまった。
果たして、今シーズンはそうした課題を克服できるのだろうか?
もう一つの注目チームが一昨年は準優勝したものの、昨年はまさかの13位に沈んだガンバ大阪。大分をJ1昇格に導いて手腕を発揮した片野坂知宏監督を招聘して、どこまで巻き返せるか……。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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